山行記録

【平成12年8月154日/刈田駐車場〜熊野岳〜ライザ(山形DS)】


【熊野岳西側のコマクサ 撮影H12.8.15】


【メンバー】 佐藤勇人 ほかお客様2名

【山行メモ】 

 山形ディスティネーションキャンペーンの企画「蔵王のお釜・花・風・音トレッキング」の2回目の案内山行です。前回の8月6日は、お客様10名のグループで雷雨を警戒しながらの案内でしたが、今回は東京都荒川区から参加の2名様の案内です。8月上旬に続いた雷雨の心配もなく、熊野岳付近で雲がかかったものの天候に恵まれた山行となりました。

 9:50分の集合時間にお客様とライザレストランのインフォデスクでお会いいたします。そこから、乗用車で刈田駐車場まで向かいます。標高1100mのライザレストランから1600mの刈田駐車場までのエコーライン沿いは垂直分布に伴った樹木の植生の説明や、ライザスキー場の説明をしながらドライブです。今日は、あいにく雲が多いようで本日の中丸山コースの稜線や、飯豊・朝日連峰は車窓から見ることが出来ません。お盆休みとあって刈田駐車場はいつもより駐車が多いようです。刈田リフトに挨拶をし、リフト乗車。リフト周辺に高山植物の名前を書いた立札がありますが、もう花の時期は終わっています。

 リフトを降りるとここから徒歩となります。まずガイドブックを広げて蔵王連峰と本日のコースの説明をします。馬の背からお釜を眺めながら、熊野岳山頂に向かいます。馬の背には、シラネニンジン・マルバシモツケ・ミヤマコウゾリナ・シロハナトウウチソウ・ガンコウラン・コメバツガザクラなどがあります。お釜の眺めも最初は良かったのですが、熊野岳方面からの眺望の時には雲が湧いてきてしまい、まったく見ることが出来ませんでした。お釜は見る角度によってその迫力が違いますが、ぜひ熊野岳方向からのお釜をお見せしてかったです。熊野岳まではトラバースコースを登ります。山頂の熊野神社に手を合わせます。蔵王山は、古くから山岳信仰のために登られた山であることを説明します。熊野岳の標柱の前で記念撮影をし、茂吉の歌碑の横で小休止をとります。山頂はあいにくの雲の中で展望は得られません。まさしく「陸奥をふたわけざまに聳えたもう 蔵王の山の雲の中に立つ」のとおりです。ここまでは、多くの登山者や観光客が蔵王登山を楽しんでおります。

 中丸山コースに向かいます。石畳を少し下れば雲は切れました。これから進む尾根筋が見えます。飯豊・朝日連峰、月山、吾妻連峰は依然雲の中です。石畳の脇にオノエランを探しますが見つけられません。10日前の8月6日にはまだコマクサの花は残っていましたが、今日はどうでしょうか。まだ残っていました。ワシ岩をパックに可憐なコマクサが花をつけています。高山植物の女王「コマクサ」は他の植物に混じらないと言う特徴をもっています。ここから亜高山帯に入ってゆきますが、火山荒原とは違って多くの植物を見ることが出来ます。最初に立ち寄るところが通称「ワシ岩見」です。畳6畳ほどのスペースの周辺には、シラタマノキ・コケモモ・アカモノ・ガンコウラン・タカネヒカゲノカズラ・ミヤマホツツジ・ネバリノギラン・シラネニンジンなどがみられます。先に進みますと、ナンブタカネアザミが咲いています。エザオヤマリンドウの花はまだのようです。S字カーブを曲がると通称「箱庭」です。ここも植物の多い場所です。まず、コバイケイソウの花が現れました。イワカガミ・ウラジロヨウラク・ハクサンチドリ・キソチドリ・アカモノは花が終わっています。中に一輪くらいづつ残っているものもあります。熊野岳を見上げれば、山頂付近は相変わらず雲の中です。低木帯のなかに所々白い花が見えます。ノリウツギの花だと思います。ここで昼食の時間を取りました。弁当は蔵王のお釜をあしらった「お釜弁当」(釜飯)です。器がせともので出来ているので重量がかさみます。お釜弁当とはアイディアは良いようですがこの重さは考えものです。

 この後尾根道を進みます。「ケルン」の石もだいぶ崩れています。雪に押させて崩れたのですが、吊橋崩落による登山道通行止めの為入山者が少なかったのでほとんど積み上げられなかったのでしょう。ミヤマシャジンが咲いています。ここを過ぎるとアオモリドドマツ(オオシラビソ)の樹林帯に入ります。オオカメノキ・サラサドウタン・マイヅルソウ・ゴゼンタチバナがあります。ここから中丸山の鞍部までうっそうとした林の中の下りとなります。鞍部につけば木道歩きで少し登り返せば中丸山山頂です。鞍部の湿地にはキンコウカが咲いていました。エゾオヤマリンドウの花もまだ早いようです。コバイケイソウの花は終わり茶色に枯れています。山頂で小休止をとります。木道脇にはハナヒリノキ・ハクサンシャクナゲ・クロヅルがあります。南側の仙人沢右股沢には「糸滝」が見えます。木道を進むと今日の目的地ライザスキー場が見えます。ここで尾根道ともお別れです。これからの仙人沢までの下りがお客様には一番効くようです。「ひざが笑う」状態になります。低山帯に入るとブナ林です。ここで隊長から無線が入り現在地の報告をします。「いろは坂」看板で小休止。休憩の回数を増やして膝への負担を軽くしてゆきます。ブナからミズナラへと植生が変わります。まもなくツバメ滝を眺める「滝見場」です。タケシマランの赤い実が目に止まります。ギンリョウソウとシャクジョウソウもあります。雑きのこも2週間前に比べて多く目に付きます。タマゴダケを2箇所で見かけますが、これが食用とは知りませんでした。沢筋への急なくだりにかかるとカニコウモリがあります。アジサイも咲いています。立ち枯れした木や倒木にはマンネンダケが生えています。沢の上部に不動滝が見えてきました。音を聞くだけでも涼しさを感じます。ここまで来れば下りも終わりです。冷たい沢の水で汗を拭き一休み。不動滝を見に来たというご夫婦とすれ違います。

急な階段を上り「仙人橋」の崩落後の痕跡を見て最後の登りです。ヤマジノホトトギス・カニコウモリ・ヤグルマソウを見ることが出来ます。ゆっくりさえ登ればそう辛くはありません。5回ほど上り坂を折り返せばスキー場です。熊野岳山頂の涼しさが懐かしくなってきます。お清水の森に立ち寄り「お清水」を飲み喉を潤してライザレストランへ向かいます。パラグライダースクールが大繁盛のようです。ゲレンデにはネジ゙バナが可愛らしく咲いています。3時15分予定どおりにライザレストランに到着です。お客様に怪我のないことを確認してお別れをします。

 レストランで斎藤さんに到着を報告し、管理センターの隊長へトランシーバーを返して向かいます。管理センターで一服すると熊の肉を煮込んだものを出してくれました。時間をかけて煮込んだ肉は、癖もなく軟らかく仕上げっていて大変においしかってです。斎藤さんも合流し、9月2〜3日の南蔵王縦走登山の打ち合わせをした後帰宅しました。


[2000山行記録]