吟詠(初代瓜生田山桜)
 

  【題  意】

  「吟詠」とは何か。

  香雲堂流吟詠の真髄・大道・吟風・奥義が示されている。

 

  【詩  意】

  体中から血が沸き立つ様な激しい情熱が、

  口をついてほとばしって声となるのが吟詠である。

  日毎、繰り返し力強く吟詠することに依って、

  心は詩と詠の本質に触れ、限り無い感動を覚える。

  この日本古来からの伝統で、魂を大いに奮い立たせて、

  更に余裕ある大らかな気持ちをも養おう。

  詩は一言一句が詠者の飾り気や偽りの無い真心の表れであり、

  吟ずる時も全く同様な心がまえで詠うのである。

 

  ここには香雲堂流吟詠の大道、根本的吟風が示されており、

  ”日本の正気を養うのが吟詠である”

  との意が篭められている。初代の意気盛んな情熱を痛感する。

 

  【語  釈】

  満腔…からだじゅう。満身。

  鼓舞…「つづみ」を打ち「舞」を舞うの意から

                  〜大いに励まし気持ちを奮い立たせること。

  浩然…心などが広くゆったりしているさま。

       物事にとらわれない大らかな心持ち。

  丹誠…飾り気や偽りの無い心。誠心。赤心。心をこめて物事をすること。 

 

  数多くの優れた初代宗家の作品が愛吟されている中で、「吟詠」は秀逸の作とされる。

  尚、この詩を吟ずるには相応の修練、香雲堂流の精神を熟知した上で、吟ずる場所等

  にも留意して臨むこととされている。

  更に、教本第1集掲載の「吟道を往こう」は、全員の集会時の閉幕前に大合唱されること

  が多い。

  初代が吟道一筋に生きられる中で、その豪放磊落な人柄をして、老若男女を問わず熱情

  を以って教導された姿が眼前に甦る。

 
和歌 吟いつつ(初代瓜生田山桜)
 

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