装甲騎兵ボトムス

ブログでのエントリーを再掲載(一部加筆)
「ボトムズというトゲ」Vol.1
H16.12.05

以前にもVOTOMSというエントリーをWeb-tonbori堂で上げたのだが今更ながらにこの装甲騎兵ボトムズという物語は自分の中に刺さったトゲなんだなと実感する。

すくなくともこの物語はキリコの物語でそれ以上でも以下でもない。
そして物語のバックグラウンドはARMORED TOROOPERと言われるロボットが自然にたたずむ世界である。
そんな稀有な物語は他に無かったし今に至るもお目にかかっていない(少なくとも私は)。

物 心ついたころから戦争という状態が普通だった主人公キリコ・キュービー。選抜されたギルガメス第24メルキア方面軍機甲兵団特殊任務班X−1において過酷 な任務をくぐり抜け終戦間際で突然の転属命令。しかもそれは自分を抹殺するための罠。しかしその最後の作戦で友軍の小惑星基地リドから奪取したカプセルの 美女を見たときからキリコの長いそして果て無き旅が始まった。
爆弾で吹き飛ばされ漂流していたキリコを捕らえたギルガメス軍の情報将校ロッチナは執拗に作戦内容、素体の行方を追及する。しかし裏切られたキリコは知る由もない。その驚異的な戦闘能力で一瞬の隙をついて逃げるキリコ。物語はこうして始まった。
この第1話ですっかり虜になった。
まず主人公はなにも知らされないまま作戦に参加させられその上で仲間たちから爆弾で吹き飛ばされそうになり本来の所属の軍からは一派だと思われなにも解ら ない状態に放り込まれる。まさに我々視聴者もその只中に放り込まれたようなもの。まさに掴みはOKという状態だ。しかもデザイン画が発表されたとき「ダサ いデザイン」「顔がない」といわれたスコープドックというロボットがこの物語では普通にある兵器の一つということがガンダムのザク以上に強調されたことに より違和感なく世界に馴染んでいたのも特筆に価する。昨今のものもそうなんだけれど結局兵器、としてリアルロボットを前面に押し出した作品は多かったがこ こまで道具に徹した描写をしてのけたものは他には無い。しかもMSやバルキリーなどと違ってATは消耗品なのだ。例えて言うと戦闘機と兵士の持つ個人兵装 としての突撃銃に匹敵する(いささか威力がありすぎるが)ものなのだ。そしてキリコは殆ど笑わない。流れ着いたウドの街でそのあともくされ縁が続くゴウ ト、バニラ、ココナと出会ったことで徐々にときほぐれていく描写があるがほとんど笑わないし無口だ。感情表現が乏しい。だからこそちょっとした感情表現や しゃべった言葉が重みを増す。なにからなにまで型破りな主人公キリコ。関係ないけれどWガンダムのヒイロ・ユイに多分影響を与えているんじゃなかろうかと考えるのは邪推だろうか?
ちなみに上の特殊任務班X−1の下りは本編の中では自身が昔所属していたということとそれが元で窮地に陥ったり(惑星サンサ編)、悪夢にうなされたり(宇宙編)するが転属どうこうというのはOVAのレッドショルダー編で語られることになる。
続くクメン篇ではサイドストーリーとして近代化を推し進める惑星メルキアの国家クメン王国が舞台となる。そこで繰り広げられるのはまさにフランシス・コッポラが自身も狂気の縁を覗く羽目になった「地獄の黙示録」さながらのジャングル戦が繰り広げられる。キリコはウドでの体験したこととその間に起こった事(ザ・ラスト・レッドショルダーで語られる出来事)によって全てを忘れるために旧来の信仰によって立つ神聖クメン王国を掲げるビーラゲリラとの激しい内戦が繰り広げられるクメンにやってくる。そこでウドで出会った3人組と再会するのだがキリコはここでも戦いの中でしか安らぎを見出せない。しかしこのクメン篇があったからこそ後の宇宙篇、サンサ篇、クエント篇が生きてくることになる。これについてはまた次回ということで。

今でも思い出すアニメの筆頭でありこれを越えるロボットアニメは自分の中では未だない。
これからも少しづつボトムズの想いをつづっていこう

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