MOVIEtonbori堂

彼はパーフェクト、だがライバル登場
すこしづつ歯車が噛みあわなくなってくる
この物語の着地点は何処に?

狂っちゃいないぜ

監督/マイク・ニューウェル
キャスト
ニック/ジョン・キューザック ラッセル/ビリー・ボブ・ソーントン
コニー/ケイト・ブランシェット メリー/アンジェリーナ・ジョリー
バリー/ジェイク・ウェバー ティナ/ビッキー・ルイス

この映画は1999年に公開された映画で当時から気になっていたけどなんとなくそのままにしていたら忘れていた。で去年あたりからまた気になってきてとうとうレンタルで借りました。で、感想は「映画館に観にいけばよかったぁぁぁ・・・」でも多分大ヒットするような映画ではないと思う。お話は航空管制官であるニックが主人公。過度のストレスを抱えながら日々膨大な量のトラフィックを捌く彼らの中でもナンバー1の実力を持つ彼の前に変人ながらその実力はニックに迫る新人ラッセルが着任する。そんな彼を意識するニックは次第に心のバランスを欠いてるというストーリーだがニックの実力ナンバー1からくる尊大さ。まるで東洋の哲学者のように寡黙だがどこか危険な感じのするラッセル。ニックとは愛し合っているがちょっとしたことから彼が信じられなくなる妻のコニー。そしてラッセルの若くて美しい妻メリー。そして仲間の管制官達。どのキャラクター達も生き生きと映し出されとても観ていて飽きさせない。何気ない日常を描いているお話だが彼らの職場が航空管制というストレスの非常に高い職場。だからこその面白さがある。ニック演じるキューザックははまり役でこの役を嬉々として演じているしラッセル役のソーントンも「アルマゲドン」のミッションリーダーよりこっちのほうが似合っている。特にニックと対峙するところはその存在感が十二分に引き出されていた。それにこの映画気が付くとけっこう豪華な配役なんである。妻コニーのケイト・ブランシェットにメリーのジョリー姐さん(笑)実力派女優の共演ですぜ。このときはまだ貰っていなかったと思うけどジョリーは確かオスカー貰ったし。ビリー・ボブともこの映画が縁で結婚した(略奪愛だった)ディティールも丁寧に撮られているのも○。ニックが冒頭に着陸コースを頭に描きながらぎりぎりのニアミスを起こす一歩手前で誘導するところが頭の中でレーダースコープのグリッドを描きながら指示する。その頭の中のヴィジョンをCGで描いたり。ラッセルが着任早々着陸待ちの飛行機一本のラインに並べるあたりなどそういった映画的に見せるのも面白かった。あとネタバレになるので伏せるがニックとコニー、ラッセルとメリーの二組の夫婦の物語でもある。そういう点を含めていやほんといい映画だった。ちなみに原題の「PUSHING TIN」とは業界用語で航空管制を指す言葉だそうだ。

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