MOVIEtonbori堂

その男最凶につき、

座頭市

監督/脚本/編集 北野 武
音楽/鈴木慶一
キャスト
座頭市:ビートたけし/服部源之助:浅野忠信/おうめ:大楠道代/
おしの:夏川結衣/おきぬ:大家由祐子/おせい:橘大五郎/新吉:カダルカナル・タカ/
銀蔵:岸部一徳/扇屋:石倉三郎/飲み屋のおやじ:柄本明 

予想外に面白かったといえば失礼になるか(笑)北野作品はそんなに観ていないけれどこの「座頭市」は勝新太郎の代表作。それをたけしがどのように料理するのかということとやはりチャンバラ映画が好きということもあり観てきた。お話はわりとオーソドックスな作り。ふらりとある宿場町にやってきた市。村は新興のヤクザ銀蔵一家と扇屋が結託して支配していた。そこに用心棒を引き受ける浪人夫婦、仇討ちを探す旅芸人の姉妹(実は弟)が絡み血の雨が降るという作り。もっともウエットになりそうな部分はバッサリ落としてドライにしながらも(仇討ち)淫靡なにおいも(姉妹が実は・・というくだり)させるところは北野監督の真骨頂というべきところだろう。殺陣はかなりスピーディに撮っており流れるがごとくで正統派なもの。ただ見せ方が今風でCGでの血糊の飛ばし方などは面白かった。そう見せ方は革新的だがネタは古典をなぞっているのである。それゆえ面白い。音楽も楽しい。残念なのは一部流れにそっていないシーンがある。それはタップにつなげるためなのだが出来がいいのでもったいない。鈴木慶一の音楽がこれほどの躍動感をもって迫ってくるところは圧巻でさえある。たけしがインタビューで「市はアメリカみたいなもん」とか「ターミネーター」という発言があったが西部劇でいえば「ペイルライダー」(蒼ざめた馬にのった騎士)イーストウッドなどが演じる名の無い男で神のように鉄槌を下して去っていくものなのだ。このコメントを聞いたときやはりたけしはインテリだなぁと思いましたね、ええ(笑)万人向けの北野映画でしかもベネチアでもしっかり賞を取っているところで映画会社の人たちもあんしんしたんじゃなかろうか(爆笑)でも面白かったんでこれはアリでしょう。
アポロシネマ鑑賞

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