映画ファンとして観た「踊る大捜査線」

今回オールスターキャストにしたせいか、テンポが微妙に乗っていない。それは最後まで続いてしまった、それがまず一つ。ところどころ映画的な構図を見せて「これは映画ですよぉ」という画面が出てくるがそれがどうにもうまく機能していない。主なところではまずオープニングのSATとの訓練シーンだがSATの突入シーンがあまりにもちゃちなんである。いやあんまり完璧にしろとは言わないけれどたった一人で人質に近づくなんてそんなことは無いでしょう(苦笑)もっともこの映画は「踊る」なんだから「SWAT」じゃない!と言われればそうです(^^;でもプロであるSATを現場の知恵で切り抜けるなら相手はもっとそういうところを見せたほうがいいと思うんだけどなぁ。それとリンクのためのリンクが重なりすぎて映像を散漫なものにしている。ファンサービスも大事だけどもっとさりげなく配置するべきだと思う。そして犯人グループ。とってもネタバレなんだけど彼らの動機もさることながらそれがうまく伝わらない。踊るの醍醐味は犯人より警察内部でのそれぞれのキャラクターの動きが魅力になっているのだが映画ではほんとに関係ないまでに存在を薄くするか(動機が薄い副総監誘拐犯と発作的にわが子を守ろうとする母)か大筋に関係なく濃いキャラだけで印象付けるだけの日向真奈美。これらはいずれもTHEMOVIEの犯人達だが今回の岡村ふんする増田喜一やジョビジョバのマギーが扮した犯人達いずれも中途半端なんである。何故なら岡村のオチはありかもしれないが殺人犯達は青島達へのアンチテーゼなるはずだったのに違った道を歩んだ青島達になってしまった。そこらへんを突き詰めれば面白くなったかもしれないのに「踊る」テイストという呪縛に捕らわれそこを突っ込まなかったためなんとも言えない間の悪さがついてまわるのだ。これはラストシーンまで続く。そんなわけで予備学習なしに観るのはキツイ一本かもしれない。

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