MOVIEtonbori堂

その男は深い闇に己を落とした
男を追うもう一人の男は自らの生み出した影に対峙する

HUNTED

監督 ウィリアム・フリードキン

CAST L..T/トミー・リー・ジョーンズ アーロン・ハラム/ベニチオ・デル・トロ
アビー・ダレル/コニー・ニールセン

トミー・リーファンとまではいかないが彼の出ている映画でアクション系はよくチェックしている。もちろんそれは「逃亡者」からでハリソンくんより目立っていたしなによりカッコイイ(笑)しかしその続編「追跡者」はちょっとパワーダウン。話が無難な方に行こうとしているしウェズリーくんの描写かトミー・リーの描写かどちらかに絞れば良かったのにと悔やまれる一本だった。なんせウェズリーくんのワンマン映画「ブレイド」とか「パッセンジャー57」は彼の独壇場で面白かったから。しかしだ「スペースカウボーイ」でも魅せたオヤジ魂は健在でこーゆう偏屈で頑固だが切れる男をさせると途端に輝く人である。一方トミー・リーとがっぷり組んだオスカー俳優(つーてもトミー・リーもそうなんだけど)ベニチオ。正直「ユージュアル・サスペクツ」のときは全然ノーマークだったんだけどその後味のある演技と風貌(?)を買われた様であちこち引っ張りだこ。そして彼のキャリアはソダーバーグの「トラフィック」で決定的に高まりオスカー受賞となったんだけどパンフのインタビュー記事を読むとそれ以前にこの作品に出ることが決まっていたそうだ。そうそう監督もオスカーを「フレンチコネクション」で受賞しているしそれだけ聞くと凄いが割りと淡々と作られている小品(といっても日本だと充分大作レベルだけど)の趣がある作品。正直盛り上がりに欠けるテンポだがドキュメントタッチが持ち味の監督だからそれに固執しているのかといえばそうでもないようだ。ただリアリズムにはこだわっているがトラッキング(野外での追跡術)というのは実際に見ていてもよく解らない技術。高度に構成されたものなのですこし説明カットを入れればと感じたがそれをやると途端に陳腐になるんだろうなぁ。まじ難しいよこーゆう題材は。ちなみにこの作品伝説のトラッカー(追跡者)トム・ブラウンJrがテクニカルアドバイザーとして参加。主人公T.Jのモデルでもあるらしい。その筋では超有名人らしいけどそういった人がフリードキンとツレっていうのも凄い。ちなみに私の持っている冒険小説のトラッカーも明らかに彼をモデルにしている主人公がいる。その映画化はスタローンがするとか書いてたけどそれよりはこっちの方が多分あとあとDVDになっても面白いんじゃないだろうか(笑)あとこの映画での格闘術(マーシャル・アーツ)はカリという最近ハリウッド映画では引っ張りだこの(このフレーズ2回目だよ)格闘術が使われている。あのチャリエンのルーシー・リュ-も学んだことがあるとインタビューで語っていた。これは異様な迫力があるし圧倒された。しかし驚くべきはベニチオである。彼の表情は語るより沢山のことを教えてくれるのだ。もっともなぜハラムがボスニアの体験でおかしくなったの説明がOPのシーンのみでしか語られないがそれ以前に彼は精神を病んでいた(と思わせる)顔を見せるのだ。ただ超級の俳優を揃え巨匠が撮った作品だけど地味でマニアックな印象は否めない。こういった映画の好きな人向けか(笑)
6/8東映パラスにて

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