ザックスの冒険〜黄金のチョコボ伝説〜
DUNGEON10・ウータイ
タイニーブロンコは、軽快に西へと飛んで行った。 最初のうちこそ乗物酔いを恐れて酔ってもいないのに青い顔をしていたクラウドも、意外にも快適な空の旅に今ではすっかりくつろいで、窓の外の景色を楽しんでいる。 「飛行機ってのもいいもんですねえ、先輩。早いし楽だし風は気持ちいいし。タイニーブロンコ、借りられて本当によかったですね」 「だが・・・・・・・・・・こいつの夢って、そんなにご大層なものだったか?」 「あんたも男のくせに男の夢が理解できないなんて淋しいヤツだな、セフィロス。しっかし、ほんとーに空ってのはいいよなあ・・・・・・・・・・。ミッドガルに帰ったら空軍に志願しちゃおうかな、俺」 「・・・・・・・・・・・・・また簡単にその気になる」 そうこうしているうちに、眼下に異文化の香り漂う街並みが見えてきた。ウータイである。 「よし、ターゲットロックオン!近くの草原に着陸する。俺の華麗なる操縦テクニックをしっかりと見ていろよ!!」 ぐいんっ、と機首が急激に下がった。地面が真正面に見える。 「せんぱい〜〜〜、どこが華麗なんですか〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」 一瞬胃がひっくりかえりそうになったあと、クラウドは酔うのも忘れて叫んだ。 ぐるんっ、と見事なアクロバットを披露したのち、タイニーブロンコはほとんど衝撃を感じることなくスムーズに着陸した。確かに華麗なるテクニックだ。−−−−−やらなくていいことではあるが。 「ぜーぜーぜー・・・・・・・・・・・・せ、先輩、なんであなたはそうやってくだらないことばっかり−−−−!」 「でも、ジェットコースターみたいでおもしろかったろ?」 「俺はジェットコースターもシューティングコースターも大嫌いなんです〜〜〜〜〜!!」 いつもならセフィロスがリミットブレイクするところをクラウドが代わりにやっていると、誰かが拍手するのが聞こえてきた。ふりむけば、手を叩いているのはひとりの少女だ。 「おにいさん、すっご〜〜〜い!かっこいい〜〜〜〜!いやあ、みとれちゃったよ〜〜」 「へへ〜〜ん、すごいだろ?いやあ、俺ってほんとーに天才だよなあ」 おもいっきり、しかも女の子にほめられたとなると、ザックスがさらにつけあがるのは当然である。 「アタシ、ユフィ。おにいさん、飛行機の操縦がうまいだけじゃなくて、腕っぷしのほうも強そうだねえ。そこをみこんでお願いがあるんだけどなあ」 「なんだ?言ってみな」 「アタシ、ウータイの街に帰らなきゃならないんだけど、この道の先にバカでかいモンスターがいすわってて困ってるんだよね。街まで送ってくれたらうれしいんだけどなあ」 「いいぜ。どうせ俺たちもウータイに行くとこだったからな」 また安請け合いをする−−−−とセフィロスとクラウドはあきれた。しかし、断る理由はないし、第一、困っている一般庶民を助けるのが治安維持部の仕事である。3人はユフィを連れてウータイへと向かった。 草原を涼しい風が吹き抜けていく。じつにのどかな光景だ。それなのに、ユフィはいやにそわそわしていた。モンスターが突然飛び出してくるのを警戒しているようにも見えるが・・・・・・・・彼女の目はどちらかというとザックスたちの方に向けられていた。 やがて街はずれの民家が見えてきた。 「もうすぐ街に着くみたいだな・・・・・・・・・。なあ嬢ちゃん、モンスターなんて本当にいたのか?」 「え?あ、あはは、うん、あのさ、さっきの木のとこにいたんだけど、なんかいなくなっちゃったみたいだね。もう大丈夫。ひとりで帰れるよ。ありがとね、おにーさん。じゃあね〜〜〜」 そう言ってユフィは街の方へと駆けだした。その姿をそのまま見送るかと思いきや、ザックスは彼女を追って走り出したかと思うと、また余計なアクロバット宙返りをやってユフィの行く手をはばんた。 「な、なに、おにーさん。なんかアタシに用があんの?ナンパならお断りだよっ」 「じつは、ちょっと言いにくいんだけど・・・・・・・・・。クラウドのふところからこっそり持っていったものを返してくれないかな?」 「な、なんだよっ、アタシをどろぼう呼ばわりする気!?」 「女の子を疑いたくはないんだけどさあ。おとなしく返してくれたらそれ以上なんにも言わないからさ。な?」 「先輩、俺が持ってたマテリアがないです〜〜〜〜!」 クラウドは自分の荷物を調べ、叫んだ。 「そんなの知らないよっ!どっかで落としたんだろ!?」 「なあ、頼むからさあ。あの銀髪のおにーさんが暴発しないうちに返してくれよ。あいつが怒るとマジでこわいんだ」 ザックスは深刻な顔で、セフィロスには聞こえないよう小声で言った。 ユフィはおろおろと3人の顔を交互に見比べた。そして、あきらめた。 「わ、わかったよ、アタシが悪かったよ。マテリアは返すよ。−−−−これでいいだろ!?」 ユフィはマテリアをほおりなげると、脱兎のごとく逃げ出した。 「やれやれ・・・・・・・。いきなりとんでもないのにひっかかったな」 「よく気がついたな、ザックス。おまえ、女のやることには甘いと思っていたが」 「見そこなうなよな。俺にだって好みってもんがある。あんなお子ちゃまには興味ないね」 「では、マテリアをスリとったのがグラマー美人だったらどうだったんだ?」 「う〜〜ん、あぶなかったかも・・・・・・・・・って、そんなわけないだろっっ!」 「・・・・・・・・・・だそうだ。クラウド、怪しい美人が近づいてきた時には持ち物に気をつけろ」 |
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3人はウータイの街に入った。観光でなりたっている、美しい街だ。 この街に何度か来ているザックスだが、壱番の観光目玉、ダチャオ像に登ったことすらない。この街で彼の目に入るのは異国情緒あふれる衣装の美人さんたちと、うまい地酒だけだ。 いつものくせでまっさきに亀道楽に行きそうになったザックスだったが、いっぱつで石にされてしまいそうなセフィロスの視線に、さりげなく足の向きを変えた。 そしてあちこちでクリスタルのことを訊いて回ったが、誰も知らなかった。ここに伝わる伝説のことで聞けたのは、ウータイの守護神・水神様のことばかりだ。 まるっきり収穫ナシ。やがてザックスが亀道楽で休もうと言い出したが、さすがのセフィロスも今度は反対しなかった。 亀道楽のカウンター席に座ると、ザックスは慣れた様子でウータイの名物地酒『水神』とつまみを適当に注文した。ただし、クラウドにはジュースである。クラウドは子供扱いされたことに怒っていたが、酔っぱらいの介抱はごめんだとザックスにぴしゃりと言われ、それ以上何も言い返せませなかった。 「さて・・・・・・・・これからどうしようか」 「これだけ訊いて回って何もないとなると、『火のクリスタル』があるのはここじゃないのか?」 「地図ではこのあたりなんですよね。だけど、このへんには他に街はないし・・・・・・・・」 ザックスはごそごそとポケットをさぐると、カウンターの上に『土のクリスタル』と『だいちのマテリア』を並べてみた。 「こうやって見比べると、クリスタルとマテリアってよく似てるんだよな。連中が『水神様のマテリア』って呼んでるのがクリスタルかも知れないってことも考えたけど・・・・・・・。探してるのは『水』じゃなくて『火』のクリスタルだもんなあ」 などと3人が考えこんでいると、新たな客がやって来た。 それだけなら気にとめるほどのことではない。が、カウンター席によじ登ってきたのは、どこから見ても子供だ。少年は『水神』を注文し、酒場のおやじも当然のように酒を出した。 「な・・・・・・・・・なんでこんなガキが堂々と酒を飲んでやがんだ?」 少年はいやに大人びた視線をザックスに向けた。 「ガキってオラのことか、にーちゃん?見てくれで人を判断するのはよくないぜ」 「そうですよ、お客さん」酒場の主人が説明した。「この方はウータイ五強聖のおひとり、速の強聖シェイク様です。なりは子供ですが、ウータイを守るお役目を立派に果たしておられます」 「五強聖のひとり・・・・・・・・?こんなガキ・・・・・・・・いや、子供が!?」 突如、ザックスの脳内コンピュータがフル稼働を始めた。そして一瞬のうちにひとつの結論を出した。 「そうとは知らず、失礼しました。こうしてお近づきになれるなんて感激です〜〜〜。ま、どうっすか、おひとつ?」 そう言ってザックスはとっくりを傾けた。 「にーちゃん、なかなか礼儀ってもんを知ってるじゃん。じゃ、遠慮なくごちになろうかな」 「いや〜〜、ウータイってほんといいトコっすね〜〜。伝統の香り、歴史を感じる街並み・・・・・・・・。住人のみなさんもこの街に誇りを持ってらして、五強聖のみなさんや水神様のお話をいろいろと聞かせてもらいましたよ。それでですね、ここでは火の神様も祀っていると聞いたんですがあ」 「火の神様ってのはいないよ」 「あれっ?そうなんですかあ??」 「でも、火の聖域ってのはあるよ。ダチャオ像の奥の方に。でも、そこにはウータイの頭領一族しか行けないんだ。ゴドー様とユフィ様しかな。だから、オラもそこには行ったことがないんだ」 「へ〜〜〜、そうなんですか・・・・・・・・・・・・・・」 ユフィ・・・・・・・・・。どっかで聞いたことのある名前だな。 「だけど、ユフィ様ってのはとんでもないはねっかえり娘でね。ゴドー様もほとほと手をやいておられるんだ。この間も観光客からマテリアをくすねて、鐘撞堂の隠し部屋にしまいこんでたよ」 ユフィ・・・・・・・・・。さっきのどろぼー娘か! 何度か酒を酌み交わしたあと、ザックスは五強の塔に帰るシェイクをにこにこしながら見送った。 そして、少年の姿が見えなくなると、彼は大きなため息をつき、首をぐりぐり回した。 「あ〜〜〜、疲れた。ガキの相手は肩こるぜ」 「なにか考えがあってのことだったのか、ザックス?あんな子供に突然へこへこし始めるから、錯乱したのかと思ったぞ」 「まさか!クリスタル、もしかしたら五強の塔にでもあるのかと思って情報を聞き出そうとしただけだよ。あそこ、ウータイの人間でないと入ることもできないんだ。あいつ、なんだかんだ言ってもやっぱしガキだよな。あんなに簡単にいろいろとしゃべってくれて。−−−−だけど、五強の塔じゃなくて、あのユフィとか言う小娘になんか鍵がありそうだな。あいつを探してみるか」 |
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鐘撞堂、というのはすぐにわかった。しかし、隠し部屋は全然見つからない。 「やっぱりあの子本人を探した方が早くないですか〜〜〜?」 「それで見つからなかっただろう。隠し部屋で待ち伏せしてりゃそのうち来るぜ。いいから探せ」 しかしセフィロスは、さっきからずっと鐘を興味深げに見ていた。 「セフィロス、なんだ?この鐘になんかありそうなのか?」 「ウータイには本当に珍しいものがいろいろあるな。さすがは忍者の里。こういう鐘の存在も知っていたが、実物を見るのは初めてだ。ザックス、この鐘にどんな意味があるか知っているか?」 「なんだよ、そんなことどうだっていいだろ?」 「いや、大事なことだ。ちょっとこっちに来い」セフィロスはザックスを手招きした。「そこに立て」 ザックスはわけがわからないまま、言われたとおりに鐘のすぐそばに立った。 「人間の煩悩ってのは108あってな。大晦日に鐘を同じ数だけついて煩悩を払うそうだ。こんな風にな」 そしてセフィロスは鐘をついた。ごわ〜〜〜ん、と大きな音が響き、その音はザックスの耳から頭蓋骨の中に入りこんでいつまでもいつまでもこだましていた。 「せ、ふぃ、ろ、す〜〜〜〜〜〜〜」ザックスは耳を押さえて座り込んだまま叫んだ。「なんてことすんだよ!耳が壊れたらどうする!!」 「おまえ、そんなにヤワだったか?それより、煩悩のひとつぐらい吹き飛んだか?」 「煩悩を払うのは大晦日だってあんたがさっき言ってただろ?今日は大晦日か?!」 「ふむ。つまりおまえは、自分が煩悩の固まりだということは否定しないんだな?」 「うっ・・・・・・・・・・」 「先輩!隊長!そんなとこでどつき漫才をやってないでこっちに来てください!!」 クラウドが叫んだ。 鐘撞堂の土台に、隠し扉が現れていた。 「鐘をついても煩悩は払えなかったが、扉は出てきたか」 「あのガキが言っていた隠し部屋ってのはここだな。よし、入ってみよう」 中に入ると、人の気配がした。待ち伏せるまでもなくユフィがすでにそこにいたかと思いきや、聞こえてきたのは・・・・・・・・・・。 「ほ、ほ、ほ・・・・・・・・・・ほひ〜〜〜〜〜〜〜!!!」 「そ、その声は・・・・・・・・まさか・・・・・・・・・・・コルネオ!?」 「ほひ〜〜〜〜、これでまた新しいおなごが手にはいったぞ〜〜〜〜〜!」 よくよく見ると、コルネオが肩にかついでいるのはユフィだ。 「離せ!離せってば!コラ、あんたアタシを誰だと思って・・・・・・・・・あ〜〜〜〜っっ!!」 「ほひ〜〜〜〜!今夜の相手は、この元気なおなごだ!!」 そう言ってコルネオは、裏口の方からどこかに逃げていってしまった。 「な・・・・・・・・なんであの変態野郎がこんなところにいる??」 「そんなことはそれこそどうでもいい。それより、ユフィをさらわれたぞ。どうする?」 「どうするって・・・・・・・おっかけるに決まってるだろ?」 「別にそんなことしなくても、ここを家探しすれば用は足りませんか?」 「そうもいかないだろう。あの野郎、あの程度の顔のくせに次から次へと女に手をだしやがって。なんてうらやましい・・・・・・・・もとい、男の風上にも置けんヤツだ。行くぜ!あの子を助けよう!」 ユフィには興味ないと言いながらも結局、女の子と女の敵をほおっておけないザックスだった。 |
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コルネオの行き先はすぐにわかった。あの性格だ、めだつところに逃げたに決まっている。あんのじょう、ウータイで壱番めだつダチャオ像、その中でもとりわけめだつ中央の像の手のひらの上にいた。そしてユフィは、像につるされてもがいていた。 「見つけたぞ、コルネオ。さ、おとなしくあの嬢ちゃんを解放してもらおうか」 「ほひ〜〜〜、きさまら、どこかで見たことが・・・・・・・・・。そうだ、思い出したぞ!スラムの俺の館に殴り込みをかけてきた女装3人組だな!」 「ば・・・・・・・ばかやろう!んなこと思いださんでいい!!」 「ほひ〜〜、あれはあれでなかなかよかったな・・・・・・・・。では、あのおなごはあきらめてやってもいいし宝の地図を奪ったことも許してやるから、おまえら、またおなごの恰好をして俺の相手をせんか?ほひ〜〜〜、新たなシュミになりそ〜じゃの〜〜〜」 「誰がするかっっ!いいから早くユフィを降ろせ!!」 「ほひ・・・・・・・・おまえら、本気だな・・・・・・・・・・。えらいえらい。俺もふざけている場合じゃねえな。これ以上俺の花ヨメ探しのジャマをさせんためにも、俺のペットと遊んでもらうぜ。−−−−ラプス、カムヒア!!」 コルネオの呼びかけに応えてモンスターが現れた。その力強い羽根と尾でザックスたちを襲う。 しかし、女の敵を目の前にしてひるむザックスではない。バスターソードが宙でキラリ、と輝いたかと思うと絶え間ない攻撃をモンスターにあびせかけ、ラプスはあっと言う間に谷底へと落ちて行った。 「さ、おまえのペットと遊んでやったぜ。その礼に嬢ちゃんを返してもらおうか」 「う・・・・・・わ、わかった・・・・・・・と言うと思うだろう。だが、こうなったらあのおなごを道連れにしてやる!いいか、このボタンを押せばなあ・・・・」 止める間もなく、コルネオは何かのリモコンのスイッチを押した。しかし、何も起こらない。 「ほ、ほひ〜〜〜!壊れたか??」 「何をするつもりだったのか知らないけど、これが年貢の納め時だぜ、コルネオ」 「ほひ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 ユフィはザックスたちの手で無事ダチャオ像から降ろされた。そして入れ代わりに、ぐるぐる巻きにされたコルネオがつるされた。 「で、あの男どうするんですか、先輩?」 「う〜〜〜〜ん、そうだなあ・・・・・・・・・」 ザックスはちょっと考えて、おもむろにPHSを出した。そしてどこかの番号を押した。 「あ、神羅カンパニー治安維持部?ソルジャー部隊のザックスだ。指名手配中のドン・コルネオをウータイで捕獲した。ダチャオ像にぶらさげておいたから引き取りに来てくれ。んじゃ」 「本社に引き渡すのか。おまえ、男にも甘かったんだな、ザックス」 「ま、これでいいんじゃない?ここでつぶれトマトにしてやってもいいけど、そんなんはウータイ市民のメーワクになるだけだし」 「それもそうですね」 「ということだ。コルネオのスケベ野郎、しばらくそこでおとなしくしてろよ。あんまし暴れると兵士が来る前にロープが切れて、マジでつぶれトマトだぜ」 「ほひ〜〜〜〜〜〜!!!」 |
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ダチャオ像を降りていくザックスたち3人のあとを、ユフィは少し離れて黙りこくってついていった。そして唐突にザックスに駆けよると、蚊の鳴くような小さな声で言った。 「あ・・・・・・・あの、さ。その・・・・・・・・まさか、あんたたちが助けに来てくれるなんて・・・・・・・・・」 「ん、なんだ?聞こえねーぜ」 「だ、だから・・・・・・・」ユフィはまだもじもじとしていたが、突然大きな声で叫んだ。「ありがと、って言ってんの!!」 「よしよし。女の子はそーやって素直にしてた方がいいぜ」 「だけど、あんたたちもなんか下心があったりしてね。いくらアタシがカワイイからってさ」 ザックスはユフィを上から下まで吟味した。そして、言った。 「確かに下地は悪くないよな・・・・・・・。だけど、もうちょっと育ってもらわないとナンパする気にゃなれねえや」 「わ・・・・・・・・・悪かったね、ガキで!!!」 「まあ、別の意味で下心があることはあるんだけどな。−−−−なんか恩を着せるみたいで言いにくいんだけど、あんた、この街の実力者の娘だって?だったら、そこらへんの住人が知らないことも知っているだろ。それでさあ、『火のクリスタル』ってヤツの話を聞いたことない?」 「クリスタル・・・・・・・・?し、知らないね」 なんか知ってるな・・・・・・・・・・。ザックスはそう感じ取った。 「そっか。あんたでも知らないなら、ここにはないのかもな・・・・・・・・・。すまなかったな、嬢ちゃん」 そう言ってザックスはあっさりとあきらめたふりをして、山道をすたすたと降りて行った。その姿をユフィはしばらく呆然と見ていたが、あわてて叫んだ。 「あ〜〜〜、もう!ホントは知ってるんだってばっっ。・・・・・・・・・たぶん」 「ほんとか?ほんとうに知ってるんだな??」 「・・・・・・・・・だから、たぶん。アレのことだとは思うんだけど・・・・・・・・・間違ってても怒らないでよ」 ザックスたちはユフィについて、ダチャオ像の中ほどにある洞窟に入って行った。奥の方には炎があふれていて、ものすごい暑さだ。 「この中だよ」 そう言ってユフィは炎の方を指した。 「こ・・・・・・この中って・・・・・・・・・・・・。これ、風呂にするにゃ熱すぎないか?」 「そりゃイキナリ飛び込んだらあっと言う間に丸焼けだよ。それで、この炎を消すには水神様のうろこがいるんだ。それ、アタシと親父しか持ってないんだよ」 ユフィはポケットからきらきら光るうろこを取り出し、それを炎にかざした。すると、うろこが強烈な光を放ったかと思うと炎がまたたく間に消えていき、宝箱が現れた。 「クリスタルって、たぶんこれのことだろ」そう言ってユフィは、宝箱の中から石をひとつ取り出した。「この近くで見つけて、新種のマテリアかなと思ってとっておいたんだけど・・・・・・・・。違うんならどーでもいいや。欲しけりゃあげるよ」 「クリスタルだ・・・・・・・・」ザックスはしげしげとそれを見つめた。「やったね、これで全クリスタルGET!」 意気揚々と引き上げていくザックスたちを、ユフィは街はずれまで見送った。 そして彼らの姿が見えなくなると、ユフィは自分の身体をじ〜〜〜っと見下ろした。 「・・・・・そんなに貧弱かなあ、アタシ・・・・・・・・・・・・・」 ユフィは自分の頬をはたいた。 「フン!そのうちすっげーグラマー美人になって、あのスケベ野郎が言い寄ってきても絶対ふってやるんだからね!!」 そうは言ったものの本心では、言い寄ってもらえたらきっとうれしいだろうなあ・・・・・・・・と思っているユフィだった。 |
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(ぴっぴっぴ・・・・・・・・ぷるるる) |