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ザックスの冒険〜黄金のチョコボ伝説〜

DUNGEON8・ニブルヘイム




 苦労のすえ手に入れたバギーを駆り、川越え森越え山を越え、ザックスたちは西へ西へと走った。その途中、ザックスはタッチミーの大群に襲われてカエルになるわ、クラウドはお約束通り乗り物酔いするわで、セフィロスが何度もリミットブレイクしたことはないしょである。
 そしてたどりついたのは、陰鬱な雲のたれこめる山麓の村だった。
「『土のクリスタル』があるのは、このへんらしいな」
「では、この村で情報を集めてみるとするか。クラウド、行くぞ。少しは気分がよくなったか?それとも、ここで待っているか?」
「は、はい、なんとか・・・・・・・・・・・。−−−−!?あの、ここは・・・・・・・・・・!?」
「ニブルヘイムってとこらしいぜ」
 クラウドは村の入り口をしばらく見ていたかと思うと、あわててマスクをかぶり直した。
「クラウド、気分、まだ治ってないんだろう?だったら無理せずにマスクなんかとっちゃってろよ」
「いえ、いいんです・・・・・・・・・・・。青い顔なんかしてたら、どうせまたちゃかすでしょうが!!」
クラウドはムキになって答えた。



×××



 村の中はひっそりとしていた。広場に人影はない。
 どこで話を聞いてみようか考えていると、よろず屋から男がひとり、走り出てきた。
「あ、あんた、あの英雄セフィロスさんでしょ?いやあ、こんな田舎に来てくれるなんてカンゲキだなあ〜〜〜!記念に写真を一枚!」
「・・・・・・・・・・・断る」
「え、でも、ちょっとくらいいいでしょう?」
「まあまあ、にーちゃん、いくら頼んだってムダだよ。こいつ、ホントにあいそなしなんだから。代わりにと言っちゃなんだけど、俺の写真、撮らないか?」
「誰、あんた?俺、有名じゃない人には興味ないんだよね〜〜〜」
「なんだとお?本編では影の薄かった俺だけど、この話では主役なんだぞ!んなこと言ってるとなあ−−−−−」
セフィロスはザックスの頭をどついた。
「またくだらんことでもめごとを起こす気か、おまえは。−−−−−そんなことより、この村の伝承に詳しい人がいたら紹介して欲しいのだが」
「そういうことなら、あそこに大きな屋敷が見えるでしょう?あそこは昔、神羅カンパニーの人たちが使ってたんですけど。この村のことをいろいろ調べてて、村の人間でもあまり知らないことも記録してたみたいですよ。その時の資料がまだ残ってるはずだから、探してみたらどうですか?・・・・・・・・・・・あの、ところで、ほんとーに写真撮っちゃダメ?」
「情報の礼代わりだ。勝手に撮る分には好きにしろ。しかし、ポーズを取るのはごめんだ」
セフィロスは冷たく言い放った。その口調は非常にきつく、いちおう撮影の許可はおりた形になっていても、普通ならやはりカメラを向けるのははばかられる。しかしその男には脅しが通用しなかったらしく、こそこそっと隠れながらもしっかりシャッターをきっていた。



×××



 人が住まなくなって久しい屋敷の中は、ほこりと蜘蛛の巣とかびくさい臭いでいっぱいだった。残っているのは、古びた家具ばかりだ。
「なんもないじゃんか。やっぱ村に戻ってじーさんばーさんでもつかまえたほうがよくないか?」
「いや、これだけ何もないというのはかえって気になる。もう少し探してみよう」
などと言っていると、うしろにぼわっとてるてるぼうずなモンスターの一団が現れた。
「出たぞ、ザックス。気をつけろ」
と言っている矢先に、ぶわ〜〜っとファニーの息がザックスに吹きつけられた。正気の時でさえわけのわからないことを口走るザックスは、ひとたまりもなく混乱状態に陥った。
「気をつけろと言っただろうが・・・・・・・・・・・。おい、クラウド。こいつを殴って正気に戻せ」
「え、ええっ、そんなことしていいんですか??」
「オレが殴ると戦闘不能にしてしまう。おまえがやれ」
「先輩、俺が悪いんじゃないんですよ〜〜。隊長命令なんですからね〜〜〜」
ばきっ。
「いってーな、ナニするんだ!!」
「だってえ、隊長が〜〜〜〜!!」
「だからって殴るこたあねーじゃんか!万能薬でもエスナでもいいだろ?!」
「そんなもったいないことができるか。ぶんなぐっておけば十分だ。それとも、オレに殴られたかったか?」
セフィロスが怖い顔をしてせまる。せっかく襲ってやったというのに無視されてしまったモンスターたちも、いっしょになってにじり寄ってきた。
「・・・・・・・・・・・いえ、これでよかったんです。すいません」
ザックスは顔をひきつらせてあとずさり、壁にぶちあたった。
 するとその壁が突然なくなり、ザックスの身体が宙に浮いた。
「うわわわわああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 ザックスが消えた穴の中をのぞきこむと、そこには地下へと続くらせん階段があった。ザックスはその真ん中あたりにひっかかり、起き上がろうともがいている。
「こんなところに隠し部屋があったのか・・・・・・・・・。行ってみるぞ、クラウド」

×

 こうもりやら鏡やらゆりかご (?) やらのモンスターをかき分け、3人は地下へと入って行った。薄暗い通路を奥へと進むと、向こうの方にドアが見えてきた。
 そして、その前にゆらゆらと立っているモンスターの姿も。頭がふたつもあり手足が妙に長いそのモンスターは彼らに気づくと、ゆら〜ん、ゆら〜んと近づいてきた。・・・・・・・・・・・と言っても、その動きは異常に遅く、見ているといらいらする。
「な、なんだ、ありゃ??」
「ここの主らしいな。あいつを倒さないと先に進めそうにないぞ」
「大丈夫だよ。あんなトロいヤツ、一発で倒してやらあ」
などと余裕をかましてゆっくりとバスターソードを抜こうとした矢先、はるかかなたからモンスターの腕がひゅる〜〜〜と伸びてきて、ザックスを攻撃した。
「な・・・・なんつーリーチの長さだ・・・・・・・・。そんな遠くから攻撃してくるなんて反則だぞ!!」
「・・・・・・・・・・モンスター相手にそんな文句が通用すると思っているのか?」
「ふんっ、そっちがその気なら、こっちも本気になるぜ!おりしもリミットゲージ満タン!覚えたてのリミット技をくらわしてくれる!!」
 −−−−−−ザックス、リミットブレイク!
「くらえ!リミット技、『吉斬り』!」
 −−−−−−ヤンは喜んでいる。
「あ、あり?決まったと思ったんだけどなあ・・・・・・・・・。よし、もう一度!リミット技、『苦斬り』!−−−−−うわっ、漢字間違えたっっ!」
 −−−−−−インは興奮している。
「こ、これも効かない・・・・・・・・?なんつーヤツだ。よし、今度こそ!リミット技、『古斬り』!−−−−−わわわっ、しまった、大失敗〜〜〜〜〜〜!!」
 モンスターのHPをけずりとるどころか、バスターソードの刃の方が衝撃に耐えられず欠けてしまった。クラウドがザックスのステータスを「みやぶって」みると、攻撃能力値が限りなく0に近づいている。
「バカか、きさまは〜〜〜!漢字くらいまともに書けんのか!!」
 −−−−−−セフィロス、リミットブレイク!
 いったいどこから地下に入ってきたというのか、スーパーノバが降ってきて、モンスターを押しつぶした。太陽系をも破壊する威力を持ったセフィロスの技をくらっては、どんなモンスターでもひとたまりもない。イン・ヤンは一瞬にして消滅してしまった。
「・・・・・・・・・・・まったく、手間をかけさせる」
「あの〜〜〜、セフィロス隊長・・・・・・・・・・・・・」クラウドがうしろからおずおずと声をかけた。「あそこで約1名、まきぞえくって倒れてますけど」
クラウドが指した先で、ザックスが長々とのびていた。
「あんなバカは知らん。ほっとけ」
「ほっとけって・・・・・・・。やっぱりそーゆーわけには・・・・・・・・・・・・・・」
セフィロスの魔法がアテにできないようなので、クラウドはいざという時のために取っておいたフェニックスの尾を使った。
「いってえ・・・・・・。リミットブレイクするとみさかいがつかなくなるのはやめて欲しいよな・・・・・・・・・・・・」
「その原因を作ったのはどこのどいつだ?」
「あのさあ・・・・・・・。リミットゲージってのは、敵の攻撃を受けるとたまるもんじゃなかったか?それがどうしてあんたの場合は味方がミスると暴発するんだよ!」
「そんなこと知るか!プロデューサーに訊け!」
セフィロスの言葉に、ザックスは不満たらたらながらもあきらめた。プロデューサーに逆らったりしたら、これまで以上にとんでもない目にあうことは火を見るよりも明らかなのだ(ざまあみろ)。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・先に行こうか」
 ザックスは地下室のドアを開けようとした。が、どんなに押しても開かない。押してもだめなら引いてみな。それでもだめ。
「鍵がいるんじゃないですか?」
クラウドが意見を言ったが、ザックスが人の話を聞いているはずがない。
「押してもだめなら・・・・・・・・・・・・・・押し破れ!」
ザックスはドアに体当たりした。さびたちょうつがいは簡単に壊れ、ドアは吹き飛んだ。そしてそのまま床にまで倒れていくかとおもいきや・・・・・・・・途中で何かに当たり、ごんっ、とにぶい音がした。
 なんだろう、とドアをどけてみると、長い黒髪に赤マントの男が頭を押さえて座り込んでいた。
 なんでこんなとこに人がいる?・・・・・・・・・・・と考える間もなく、奇妙な光がその男をつつんだと思うと、その姿が悪魔のごとく変身した。
「わ〜〜〜〜〜、モンスターだ〜〜〜〜〜〜!!」
ザックスは部屋から飛び出した。そして剣をかまえ、そのモンスターが襲ってくるのを待ち構えたが、何も起こらない。そおっと部屋の中をのぞいてみると、さっきの男が呆然として立っていた。
「い・・・・・・・・・今のはなんだったんだ??」
「・・・・・・・・・・・・・すまない。驚かせてしまったようだ」男は頭を下げた。「私はヴィンセント。少々事情があってこの部屋で眠っていたのだが、あまりの騒がしさに目が覚めたのだ」
「はあ・・・・・・・・・・。そりゃ、すまなかったな」
「いや、いいんだ。ここにいたイン・ヤンを倒してくれたのだろう?あいつら、何かというと大騒ぎをしては私の眠りをさまたげてくれていたのだ。しかし、これからはゆっくりと眠れそうだ。誰だか知らないが、感謝する」
そう言ってヴィンセントは、寝床の棺桶に戻ろうとした。それをセフィロスが引き止めた。
「ちょっと待て。眠る前にひとつ訊きたい。この近くにあるらしい、『土のクリスタル』の話を聞いたことがないか?」
「『土のクリスタル』?どこかで・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」ヴィンセントはセフィロスの顔を見るなり絶句した。「いや、そんなはずはない・・・・・・。彼女は女だった・・・・・・・・・・・・・」
ヴィンセントはうろたえながら棺桶のフタを閉じようとした。それをザックスはこじ開けた。
「あ〜〜〜、もう、話は最後までしろよ、にーちゃん! セフィロス、あんた、ちょっと外に出ててくれよ。なんか知らんけど、今度ばかりはあんたがいると話がややこしくなるみたいだからさあ」
「・・・・・・・・・・・・・わかった。早く済ませろ」
セフィロスはそう言って、素直に部屋から出た。さすがはセフィロス、大人である。理由はわからないながらも、この場では自分が邪魔なのを的確に理解したようだ。
「で、にーちゃん、どうしたんだ?セフィロスの顔見てびっくりしてたみたいだけど」
「・・・・・・・・・・・・すまなかった。彼が、私が愛する女性に瓜ふたつだったもので」
「ふ〜〜〜ん。あいつ、性格はともかく、顔はすっげー美人だもんな・・・・・・・・・・・・。そいでさ、話を戻すけど、クリスタルのこと、なんか知ってるか?」
「知っている。私もその調査に参加したんだが・・・・・。ニブル山の・・・・・・・・・・どこだったか・・・・・・・・・・・・・。すまない。寝起きで頭がはっきりとしない」
「俺たち急いでるんだよなあ。いいもんやるからさ、早いとこ思い出してくれないか?」
そう言ってザックスは、紙きれのようなものをヴィンセントの目の前でひらひらさせた。断っておくが、ギル紙幣ではないのであしからず。

×

「よし、行くぜ!クリスタルはニブル山の洞窟、魔晄の泉にある!!」
しばらくして、ザックスはそう言いながら地下室から飛び出してきた。
「あの男、知っていたのか?」
「おお、ばっちりだぜ!」
そしてザックスたちはニブル山へと向かった。
 登山口でふと振り向くと、クラウドがついてきていなかった。なんかあったかと戻ってみると、クラウドは村の出口で立ち止まり、村の方を眺めていた。
「ナニやってんだよ。早く来ないと置いて行くぞ」
「は、はい、今行きます」



×××



 その洞窟には、不思議な光が満ちていた。美しい魔晄の泉の中で、天然のマテリアが神秘的に輝いている。
「あの棺桶男の話では、このマテリアがクリスタルのことを知っているらしい」
ザックスはマテリアを両手でつつんだ。そして、魔法を使う時と同じ要領で知識を解放した。
 するとマテリアがさらに強烈な光を放ち、その中から何かが飛び出してきた。
「出たな、クリスタルキーパー!!」
それは巨大蜘蛛のモンスターだった。そいつが『土のクリスタル』を守っているらしいのだ。
 ザックスは全力をつくして戦った。主人公なんだから、たまにはかっこいいところを見せなければならないのである。多少の苦戦は強いられたが、今度はセフィロスにも文句のつけようがない戦いぶりで無事モンスターを倒した。
 そして、モンスターの死骸から、『土のクリスタル』が転げ落ちた。
「やったね〜〜〜〜、これで二つ目のクリスタルGET!」
「なるほど、ここにあったのか。ところで、どうやってこのことをあの男から聞き出した?モンスター化するほど寝ぼけていて、ちょっとやそっとでは情報を思い出しそうになかったが」
「ん〜〜〜〜、そーでもなかったぜ。あいつさあ、あんたの顔見てびっくりしてただろ?あんた、あいつがホレてる女にそっくりなんだってさ。だから、あんたが女装した時の写真をやったら感激しちゃって、一発で思い出してくれたよ」
「オレの・・・・・・・・・女装写真!?」
「コルネオんとこでこっそり撮っておいたんだ。いやあ、こんなとこで役にたつとは思わなかったよ」
「ザックス・・・・・・・・・きさま−−−−−−−!」
セフィロスは正宗を振りかざした。
「うわ〜〜、タンマタンマ!!そんなに怒るなよ!ネガはエアリスにあずけて好きにしてくれと言ったとか焼き増しをいっぱい作って神羅カンパニー本社の購買部に置いてきたとかそんなことはしなかったからさ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・したんだな」
 モンスターより怖いセフィロスの怒号がニブル山にこだました。




×××××




(ぴっぴっぴ・・・・・・・・ぷるるる)
「ぜーぜーぜー・・・・・・・・あ、エアリス・・・・・・・・・・・・・?」
『どしたの?ずいぶん息をきらせて』
「な、なんでもないよ。今、ニブル山から降りてきたんだ。セーブ頼むわ。
−−−−−−わ〜〜〜〜、セフィロス、かんべん〜〜〜〜〜〜!!」
(ぷちっ・・・・・・・・つーつーつー)
『・・・・どしたのかな・・・・。ちょっと心配』
                    −−−−−−−−−−セーブ完了。




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