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ザックスの冒険〜黄金のチョコボ伝説〜

DUNGEON6・ジュノン




 海沿いの赤茶けた崖に設置された巨大な大砲、シスターレイが海のかなたをにらむジュノン基地。ここはまた、大洋を渡る船の重要な港でもある。
 ザックスたちは、上部にこの基地ができる前は豊かな漁村であったアンダージュノンに着いた。
「住民を立ちのかさないで上部に建造物を造るのは神羅の趣味かな」
セフィロスは薄暗く、うらさびれた街並みを見ながらつぶやいた。
 かっての繁栄をうばわれた住民たちは、神羅の軍人であるザックスたちにあまりいい感情は抱いていないようだった。しかし、町の老人から以前海岸にあった古いほこらにクリスタルらしいものがあったことは聞き出せた。
「あれは海の守り神さまのもんだって言い伝えられていたんじゃったが、これが」と、元漁師だったという老人は頭上の鋼鉄の空を指さした。「できたときに工事のじゃまだ、というのでほこらがつぶされてしまって、それからはどこへ行ったかわからん。多分、神羅のやつらが持って行ったんじゃろう。それからというもの、てんで魚が獲れんでこの町はさびれるばっかりじゃ」
「それって、絶対水のクリスタルだ!」
 ザックスはそう決めつけた。そして3人は崖に造られたエレベーターでジュノン基地に昇って行った。



×××



 ジュノン基地はいつになく騒がしい雰囲気につつまれていた。飛行場管制官のひとりをつかまえてたずねてみると、事故があったのだという。
「ここを飛び立ったゲルニカが墜落して海中に沈んだんです。今、救援隊を送るところです」
「そうかい、そりゃ大変だ。で、あんた、アンダージュノンにあったクリスタルのこと知らないか?」
「もう、先輩ったら。今それどころじゃないんでしょうが」
しかし、その管制官は驚いたようにザックスを見た。
「おや、知らなかったんですか?ミッドガルからこられたんでしょ。そのゲルニカは、ミッドガルからタークスの方々がここにあったクリスタルを運ぶために飛来したんですよ。で、さっきそれを積んで離陸直後に墜落したんですから」
3人は顔を見合わせた。
「タークスだって?どういうことなんだ」
セフィロスは舌打ちした。
「どうやら、あいつらに先を越されたらしいな。しかし、クリスタルのことをなぜ知っていたのだろう」
「え〜〜!!そんじゃ、あいつらがクリスタルを持って行って墜落しちまったってのかよ!!どうすんだよ、俺のクリスタル!」
「落ち着いてください。でも、俺たちが苦労してミスリルマインを越えたというのに、飛行機で来るなんてずるいです」
ザックスをなだめるクラウドもくやしそうだった。
「で、救援隊はどうなってるんだ?」
セフィロスは騒ぐふたりをにらんでから言った。
「このへんの海は深くて海上からは無理なんで、潜水艦が出るそうです」
「よし、行くぞ!」
ザックスはそれを聞くなり走りだした。
「どこへ行くんだ?」
「もちろん、潜水艦基地だって。救援隊が出発しちまう。急がなきゃ!」



×××



 潜水艦基地はジュノン基地の地下に造られていた。そこからは海底魔晄炉への通路もある。
 1隻の潜水艦が救援のために緊急発進しようと準備を急いでいた。3人はそのどさくさにまぎれて潜水艦に乗り込んだ。そして救援隊員を無理やり追い出した。
「俺たちが助けに行ってやるよ。安心しな!」
ザックスはそう言ってハッチを閉めると操縦席に座った。
「おい、おまえ、潜水艦なんか操縦できたのか?」
「まかしときなって」ザックスはエンジンを始動しながら言った。「こうみえてもゴールドソーサーの潜水艦ゲームじゃ高得点を取ってるんだぜ!じゃあ、電車で−−−−−じゃなくって、潜水艦でGO!!」
「え〜〜〜!!これはゲームじゃないんですよ〜〜〜〜!!!」
 潜水艦はドックを発進してジュノン基地の下の海面に出た。そして、潜水開始。
「ほれ、うまくいってるだろうが」
「なんだか滅茶苦茶だな。−−−−まあ、いい。どうせご都合主義の話なんだから」
セフィロスはため息をついた。
「俺、気分悪いです」
クラウドが青い顔をしてつぶやいた。
「もう酔ったのか?」
「先輩の操縦だと心配で・・・・・・・・・・」
「ばかにすんなよ。ほれ、あれがゲルニカだろ」
ザックスはソナーに映った物体を指さした。
 ゲルニカは沈んではいるが、機体は破損していなかった。3人はゲルニカに乗り移ると、内部を捜索した。
 最初に、倒れているレノを発見した。
「おや、これは英雄さんたちじゃあないか。こんなところまで御苦労だな、と」
助け起されながらもレノは皮肉な口調で言った。
「どうしたんだ、何があった?」
「離陸したとたんにモンスターが機内に現われて、パイロットがやられた。それで墜落しちまった。俺たちは戦ったんだが・・・・・・・みんな・・・・・・・・・・・・・・・・」
「モンスターだって?じゃあ、あのかわいいイリーナちゃんもやられたってのか!」
「イリーナはやつに・・・・・・・・・・・・・・・・」
レノは弱々しく答えると、また目を閉じてしまった。
 ザックスはバスターソードを握りしめ、奥へ向かうハッチを開けた。
「気をつけろ!どんなモンスターかわからん」
セフィロスもあとに続きながら言った。
 奥の貨物室に入ったとたん、3人は驚きのあまりそこに突っ立ってしまった。
 調子のはずれた歌声が響いていた。
「咲いた、咲いた〜〜ひまわりの花が〜〜〜〜〜〜〜〜」
 どう見てもひまわりには見えない巨大なピンク色の花が貨物室に咲いていた。その花に歌いながらじょうろで水をやっているのはイリーナだ。そしてその前でツォンとルード、そしてパイロットがくるくる回りながら、わけのわからない踊りを踊っていた。
「何をやってるんでしょうね」
クラウドがこの不思議な、そして不気味な光景に首をかしげて言った。
「おお、イリーナちゃん、無事だったんだね!」
ザックスはイリーナに駆け寄ろうとした。
「気をつけろ!そいつがモンスターだ!」
セフィロスが叫んだ。
 巨大な花はザックスにその正面を向けた。毒々しいピンク色の花弁のまんなかに髑髏に似たものがあり、その口から触手のようなものが伸びてくねくねと動いている。
「ちくしょう!」
ザックスはバスターソードをかざしてモンスターに斬りかかった。
「いや〜ん、お花さんになにするのよ〜〜〜〜〜」
その前にイリーナが立ちふさがる。
「おい、じゃますんなよ!」
「だめだ、彼女はモンスターにあやつられているらしい」
確かに、彼女の目つきは異常だった。うつろでなにかに取り憑かれているようだ。
「かわいいお花さんにひどいことしちゃだめえ。せっかくお水あげて大きくしたんだからあ」
「こいつのどこがかわいいんだ、どこが!」
そう叫ぶザックスのかたわらでは、ルードがくるくる回りながらどすのきいた声で歌っている。
「ひまわりが咲いた〜〜ひまわりが咲いたピンクのひまわりが〜〜〜〜〜」
「なんなんだ、この状況は!」
「笑うに笑えんな」セフィロスはそう言いながら笑いをこらえている。「しかし、タークスの連中がこんなになるとは−−−−−」
 その時、ピンクの花が甘い香りを吐き出した。それを吸い込んだクラウドはふらふらっとなると、持っていた銃を取り落とした。
「ひまわりの花がさ〜いて〜〜いる〜〜〜〜〜。思い出の道〜〜丘の道〜〜〜〜〜〜」
彼はいきなり歌い出すとくるくる回りはじめた。
「あの花粉らしきものを吸い込むと混乱するんだ!いいか、ザックス、息をするなよ!!」
「息をするなって・・・・・・・・・・。そんなことできるか〜〜〜〜〜!」
ザックスはイリーナを避けてモンスターに斬りつけながらわめいた。
 モンスターはかなり手強い相手だった。混乱する香りだけでなく、いやらしいへびのような触手で攻撃をしてくる。
 ザックスが剣をふるい、セフィロスが魔法を叩き込んでようやくピンクの奇怪な花は倒れた。そのあとにきらきら光るものが転がり落ちた。
「こんないやな敵は初めてだぜ!−−−−でも、これは・・・・・・・・・・・」ザックスはモンスターが落とした結晶体を拾いあげた。「クリスタルだよ、な?、やった!やっとひとつ見つかったぞ〜〜〜!!」
 モンスターが倒れたことで、混乱していた連中は気がついたようだった。
「あれ?俺、何してたんだろ」
クラウドがつぶやく。
 ツォンとルードも正気に戻った。イリーナはまだ片手にじょうろを持ってぼんやりとしていた。
「あら、どうしてあんたたちがいるのよ」
そう言うイリーナの言葉を無視してザックスは彼女の手を取った。
「無事だったんだね!俺は君を助けに来たんだよ!モンスターに囚われた君を!」
その目に星が輝き、バックに花が飛ぶ。
 ザックスの頭をセフィロスがはりせんで一発なぐった。
「おまえ、混乱してるのか。おまえにヒーローは似合わん!」
「いって〜〜〜!!どこからそんなの持ってくるんだよ!吉本か、ここは!!」
 ツォンによると、ジュノン基地の応接室の飾りものになっていたクリスタルをミッドガルに運ぼうとゲルニカを離陸させたとたんに、イリーナが持ち込んだ基地の近くで見つけたという花からピンクのけむりが出て、パイロットが混乱してしまったのだという。
 パイロットはそのままゲルニカを海に墜落させてしまった。
「その時すでにイリーナはモンスターにあやつられていたんだろうな。彼女が水をかけるとあっという間に花が大きくなって−−−−。私たちは戦ったんだが、途中でわけがわからなくなってしまった」
「で、く〜るくる回って、ヘタクソな歌を歌ってたんだ」ザックスは意地悪く言った。「しかし、どうしてクリスタルを持ち出そうとしたんだ?」
「ルーファウス様の命令だ。あんたたちの先回りをしてクリスタルを集めるようにと。幸い、ジュノンにクリスタルらしいものがあることがわかっていたから、あんたたちがジュノンでクリスタルを探すと知って、それがそのひとつなんだろうと思ったわけだ」
「先回りか・・・・・・・・・・・。あのルーファウスならやりかねんな」セフィロスはうなった。「だが、オレたちは彼にジュノンへ行くとは報告などしてないぞ」
ツォンは冷笑を浮かべた。
「タークスを甘く見てもらっては困るな」
「−−−−盗聴器でもしかけたか」
3人はあわてて自分たちの身の回りを調べた。
「これかな?」
ザックスがベルトについていた小さな金属製のものを差し出した。
「−−−−らしいな」
セフィロスはそれを靴で踏みつぶした。
「汚いまねしやがって。え、盗聴してたってことは、つまり・・・・・・・・・・・・。−−−−−え〜〜〜〜、じゃ、俺がここに来るまでにしゃべってたこと、みんな聞いてたのか?」
「・・・・・・・・・・・楽しかったぜ」
ルードがぼそりと言った。
「と、とにかく、だな」ザックスはひとつせきばらいをした。「もう俺たちのじゃまはしないでもらおう。さもないとここでおまえたちが混乱してやっていたことを全部バラすからな」
ザックスがそう言うと、ツォンはぎょっとしたようだった。
「混乱していた間に?」
「そうさ、あんたとルードとで(ピ〜〜〜)なことや(ピ〜〜〜)なことしてたとか。あ〜〜〜はずかし〜〜〜〜〜!」
「先輩、あの人たち、そんなことして−−−−」
そう言いかけるクラウドの口をザックスはふさいだ。
 ツォンとルードは不気味そうな目でお互いを見た。
「い、いいだろう。あんたたちに助けられたことでもあるしな」
しかたなく、ツォンはそう答えた。



×××



 ザックスたちは、タークスとパイロットを潜水艦に乗せた。そしてジュノン基地の近くの海岸に彼らを降ろした。
「潜水艦はこのままもらってくぜ。これから海を渡らなきゃならないからな」
「え〜〜!これからまだ先輩の操縦する潜水艦に乗らなきゃいけないんですか?」
クラウドはもうすでに青い顔をしていた。
「何を言う!俺の操縦にケチをつける気か!−−−−あれ?セフィロス、何を考えこんでんだ?ひとつ目のクリスタルは手に入ったじゃないか」
 セフィロスはじっとクリスタルを見つめていた。
「あんなモンスターがジュノンの近くにいるなんて聞いたことがない。それもこのクリスタルを輸送する時に現われて真っ先にパイロットを狙うなんて−−−−。あのモンスターがクリスタルを持っていたし、まるでクリスタルを運び出すのを妨害したようだな。しかし、あんなモンスターにそんな意思があるのか?」




×××××




(ぴっぴっぴ・・・・・・・・ぷるるる)
「あ、エアリスかい?とうとう、クリスタルをひとつ見つけたよ!それからさ、信じられるかい、今潜水艦の上なんだぜ。海を渡ってるんだ」
『わあ、すご〜〜い。海ってすてきでしょうね。わたし、海って見たことないのよ』
「じゃ、今度連れてきてやるよ。これから潜るからしばらくは電話通じないからな。潜ったほうが揺れが少ないから、クラウドの船酔いがましになるだろうってさ」
                    −−−−−−−−−−セーブ完了。




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