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ザックスの冒険〜黄金のチョコボ伝説〜

DUNGEON4・ウォールマーケット




「わあ、ほんとにセフィロスだ!」ザックスがセフィロスとクラウドをエアリスの家に連れて行くと、エアリスは手をたたいて喜んだ。「ねえ、サインしてくれる?」
「それはいいが・・・・・・・・・・・・」セフィロスはちょっと困ったようにこの華奢な少女を見た。「あんたみたいな女の子に、治安が悪いウォールマーケットを案内させるのはどうかな」
「わあ、サインしてくれるのね、うれしい!案内のほうは心配しないで。わたし、ずっとスラムで育ってるのよ。全然平気」
そう言ってエアリスは、ぱたぱたと色紙を取りに行った。
「元気のいい子だな」
「それに美人です」クラウドが言う。「でも、ティファもかわいいですよ」
「誰だ、それ?」
「え、あ、その・・・・・・・・・・・・・」クラウドは真っ赤になった。「な、ないしょです〜〜〜〜〜!!」
「お、おまえもすみにおけないな。このこの〜〜〜」
ザックスは笑いながらクラウドの金色の頭を片腕で抱え込んだ。
 そうこうしているうちにエアリスが戻って来た。
「これ、全部お願いね!」
そして彼女がセフィロスにさしだしたのは、何十枚もの色紙のたばだった。
「・・・・・・・・・・・・・・なぜこんなにサインがいるんだ?」
「だって、セフィロスさんの色紙なら、高く売れるもん。案内料だと思ってね!」

×

 エアリスは迷路のようなスラムの街路をどんどん進んで行く。その後を神羅軍の3人組がついて行った。
「100枚近くあったぞ−−−−。手がまだしびれている」
セフィロスは不機嫌そうに片手を振っている。
「ほんとに全部サインするとは・・・・・・・・・・・・・・・。あんた、意外と人付き合いがよかったんだなあ」
「なんだか逆らえんな、あの娘には。あれだけしっかりした子ならウォールマーケットでも心配いらないな」



×××



 ウォールマーケットはアンダーミッドガル一の歓楽街だ。荒廃し、くすんだ色合いのスラムにあって、そこはどぎついくらいの色彩にあふれている。太陽のとどかない、つねに薄暗い空間に輝くネオンサイン。無秩序に掲げられた多くの看板。そこに集う人々は苦しい生活に疲れながら、せつなの楽しみを求めてさまよっているのだ。どこかうつろな目をした通行人たちは3人の軍服をうさんくさそうに見る。彼らを取り締まるものとして、警戒しているのか。
「神羅の兵隊さんたちもよくここで遊んでるわよ。だいじょぶ」エアリスは笑って言った。「ほら、そこがコルネオの館」
 エアリスが指した屋敷はウォールマーケットの最も奥まった場所にあり、高い塀をめぐらしたかなり広い敷地を占めている建物だった。
「変な家だなあ」
ザックスはごちゃごちゃと建物が寄り集まったような屋敷を見て言った。あちこちに派手な装飾をほどこして贅をこらしたつもりなのだろうが、なんのまとまりもない、けばけばしいだけのしろものになっている。
 彼らは様子をうかがってみた。門の前で、人相のよくない男たちが近づく者を見張っている。
「警備はしっかりしているらしいな」
「コルネオはウォールマーケットを仕切っている実力者だから敵も多いのよ。ギルもたくさんため込んでいるから、あんなうさんくさい人たちをたくさん手下に使ってるわ」
「よく知ってるな」
「わたしの知り合いにコルネオの店で働いている子がいるの。コルネオの屋敷に入れるのはかわいい女の子だけだって言ってたわ。コルネオは女の子には目がないのよね。ギル目当てでコルネオの相手をしたい女の子が訪ねてくれば会うらしいわ」
「とんでもない野郎だな。女の子ってのはギルで釣るんじゃなくて、正々堂々とくどくものだ!」
「おまえの場合、エサにするギルがないだけじゃないのか?」
「あのなあ、セフィロス。自慢じゃないけど、俺はギルに困ったことはあっても女に困ったことは一度もないぞ」
「ふ〜〜〜〜ん、そうなんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その声にザックスは固まった。エアリスがいることをすっかり忘れていたのだ。
「あ、あのさ、エアリス、誤解しないでくれよな。それは昔の話で、今はエアリスひとすじなんだからさっっ」
「ふ〜〜〜ん、そうやってごまかしますか」
「ごまかしじゃなくてほんとーだって!信じてくれよ、エアリス!」
「先輩、痴話ゲンカなんかやってる場合ですか!問題は、どうやってこの屋敷に入るかでしょ!」
「あっ、そうそう!問題はそれなんだよな!」ザックスは助かったとばかりにクラウドの肩を抱き、コルネオの館の方を指さした。「うん。さて、どうしようか。強行突破もハデでいいけど、ヘタに騒ぎを起こすと、肝心の地図を探しだす前に持ち逃げされかねないし・・・・・・・・・・・・・・・」
「俺たちが女ならあそこを通してくれるんでしょうけどね・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そうよ!」エアリスが突然声を上げた。「それがいいわ!あなたたち、女の子のかっこうしなさいよ!」
「あなたたち・・・・・・・・・・。『たち』って・・・・・・・・・・・・・・・・」
3人は互いの顔を見合わせた。
「3人みんなに決まってるでしょ?コルネオって、女の子は3人の中からひとり選ぶことに決めてるんですって。あなたたち3人いるし、ちょうどいいよね?」
「エ、エアリス!」
しかし、エアリスはすでに自分のアイディアに夢中になっていた。
「女装する人のための衣装を売ってる店を知ってるわ!そう言う趣味の人ってけっこういるのよ。さ、行きましょう!」



×××



「オレは絶対にいやだ!」
マーケットの一角にある一見普通の洋服屋に並んでいる衣装を見て、セフィロスはどなった。しかしエアリスはそんなことは全然気にせず、自分の選んだドレスをクラウドにむりやり着せている。
「きゃ〜、クラウド、似合うじゃない!かわいい!ザックスはこっちの赤いの着てみて!」
「お客さんは背が高いんで、ロングドレスよりこっちのほうがいいかな」
店の主人がてかてかした生地のチャイナドレスをセフィロスに見せた。
「オレはやらんと言ったろう!」
「ずるいよ、セフィロス。俺なんかこれだぜ」
ザックスが情けない声をあげる。体格のいい身体に真っ赤なひらひらのドレスをつけた姿は、はっきり言って、不気味だ。
「クラウドはいいけどな」
そのクラウドは青いドレスを着て、恥ずかしさに赤くなっている。エアリスが喜んでいるように、どこから見てもかわいらしい少女だ。
「そんなものが似合うようでは、軍隊で苦労するぞ」
セフィロスが苦々しそうに言った。
「あんたがそう言うとすごく実感あるよね。苦労した?」
口をすべらせたザックスの頭にハンガーが飛ぶ。
「かつらをつけてお化粧すれば、ザックスだってステキになるわよ」エアリスは妙に自信たっぷりに言った。「そうだ、衣装が決まったらあの子に頼んでお化粧してもらおう」



×××



 エアリスは3人を引っぱってひときわけばけばしいイルミネーションに飾られた建物に連れて来た。ピンクの光で形作られた看板の文字は『蜜蜂の館』。
「おい、ここはもしかして−−−−」
セフィロスがあきれかえって言うのも無視して、エアリスは通用口らしいところに向かった。
「ちょっと待っててね」エアリスは中に入っていったかと思うと、すぐに戻ってきた。「・・・・・・・・逃げちゃだめよ」
「・・・・・・・・・・・・・・なんだ、ここは」
ザックスが店の表にたむろしている、遊び人らしい男たちを見ながら言った。
「どうやら、いかがわしい店らしいな。おまえのガールフレンドの友だちというのはこんなところで働いているのか?」
「いかがわしいって・・・・・・・・・・・・・楽しそうなとこみたいですけど」
「そうだよなー。じゃ、クラウド、今度ふたりで−−−−」
「ばかもの!軍人がこんなところに興味を持つんじゃない!!」
そうセフィロスがわめいたところに、エアリスが戻って来た。
「OKよ。早くこっちに来て!」
 エアリスが案内したところはどうやらここで働く女たちの控室らしかった。ドアを開けるなり黄色い声の大歓迎をうけて、3人はたじたじとなった。
「きゃー!ほんと、みんないい男じゃない!」
「この金髪の子、かわいい!お姉さんがきれいにしてあげますからね〜〜」
「そっちの黒髪のおにーさんも、化けさせがいがありそ〜〜〜〜〜!」
「わー、この人、本物のセフィロスよ!」
「ウワサには聞いてたけど、本当にきれいな男ねー!」
「でしょ?絶対美人にしてあげてね」
エアリスがにこにこしながら言った。
「お、オレはいやだと言ってるんだーーーーー!!」
セフィロスの抗議はむなしかった。さすがにかよわい (?) 女性陣に向かって正宗を振り回すわけにもいかず、歴戦の英雄は女たちの白い腕になすすべもなく捕まってしまっていた。



×××



「ほんと、こんなにステキになるとは思わなかったわね〜〜」
エアリスが言った。
 クラウドはたてロールがくるくるうずをまいているかつらにリボンまでつけて、ぶりっこな少女に化けていた。ザックスは色黒の顔におしろいをぬりたくってなんとか見られるようにはなっていたが、ごつい体は隠せない。体育会系の『美女』だ。
 しかし、彼らが見とれているのはセフィロスだった。サイドに大胆なスリットの入ったチャイナドレスを着て、長い銀髪を太いひとつの三つ編みにした美女がそこにいた。
「よくもすね毛まで剃ったなーーーー!」
つるつるになった長い足をさすっているセフィロスの表情は険悪だった。
「足、きれいだからいいじゃない。女のわたしでもみとれちゃうわ」
エアリスがためいきをつくと、そこにいた全員がうなずいた。
「セフィロス、ソルジャーなんか辞めてモデルになんないか?絶対そっちの方がかせげるぜ。俺、マネージャーやるからさ」
「うるさい!こうなったからには絶対に作戦を成功させるからな。コルネオの館に行くぞ!」
「きゃー!気をつけてね」
「行ってらっしゃい!」
通用口から出て行く彼らの後ろを、黄色い歓声が追いかけて行った。



×××



 コルネオの屋敷の門前で退屈そうに立っていた男は、近づいてきた3人の女を見ていやしげな笑いを浮かべた。
「お嬢さん方、何か用かい?」
「コ−−−−ごほん、コルネオさんにお会いしたいの」
ザックスが裏声を出した。
「かぜでもひいてるのかい、おねえちゃん」男はザックスに言った。「なんかごつい女だな。しかし、こっちのかわいい子と背の高いお姉さんはいいねえ。入りな。親分が気にいればいいこづかいになるぜ」
 屋敷の中は外観よりももっとけばけばしかった。柱や梁は朱で塗られ、金ぴかの飾りものがごてごてと飾られている。
「趣味が悪いのを通り越しているな。頭が痛くなりそうだ」
セフィロスが眉をひそめてつぶやいた。
「おい、娘たち、ボスがお会いになるぜ」
子分のひとりが3人を手招いて、派手な細工を施したドアを開けた。
 これまたごちゃごちゃと彫り物をした大きな机のむこうに、太った小男が椅子にふんぞり返っていた。派手な柄の部屋着を着たその男は、入ってきた『女たち』を好色そうな目で見た。
「よし、娘たち、ドン・コルネオの前に整列するのだ!」
「ほひ〜〜〜!いいの〜〜〜〜〜、いいの〜〜〜〜〜!どのおなごにしようかな?ほひ〜〜〜!」コルネオは身を乗り出して3人を食い入るように見た。「この銀髪のおなごはよいの〜!ちょっと背が高いが美しいのお〜!足がまた色っぽいの〜」 
セフィロスは、なめるような視線を向けるコルネオから顔をそむけた。
「・・・・・・・・・・・・・が、がまんしろよ、セフィロス。キレるなよ!」
ザックスがあせってささやいた。
 コルネオがさんざん品定めをしたあと、ハデなドラムロールが響いた。
「決めた決〜〜めた!今夜の相手は・・・・・・・・・・このノッポのおなごだ!」
「あ、あのな〜〜〜!!」
「ほひ〜〜!こばむしぐさがまたよいの〜〜〜〜!おい、コッチ、他の女はおまえたちにやる」
コルネオは上機嫌で手下に言った。
「おまえはこっちにおいで」
 いっしょに奥の部屋に行くコルネオとセフィロスを、ザックスは心配しながら見ていた。
「あのスケベ、命が危ないな・・・・・・・・・・・・・」
そう、心配なのはコルネオの方だったりする。
「そこのふたりはおれと一緒に来い」
コッチと呼ばれた手下がザックスとクラウドに言った。
 ふたりはコルネオの子分たちが集まっている雑然とした部屋に連れて行かれた。
「ひょ〜〜〜!かわいいお嬢さん方、いらっしゃい」
「俺たちと遊ぼうぜ!」
いずれも下品で人相の悪い、しかし腕力だけはありそうな男たちがふたりを見て歓声をあげる。
「せ、先輩、ちょっとやばいですよ」
クラウドが少しおびえたようにささやいた。
「心配ないって、どうせザコだ」
ザックスも小声で答える。
「何をしているんだ。こっちへ来い。さっそく俺たちの相手をしてもらおう」
コッチが横柄に手招いた。
「何をすればいいんですの?」
ザックスは引きつった笑みを浮かべながら訊いた。
「そりゃ、むふふないいことに決まってるじゃないか」コッチはにやにや笑いながらザックスの肩に手をかけた。「おや、お嬢ちゃん、わりにごつい身体だねえ」
「おい、ひとりじめはずるいぞ!」
「さあ、さっそく始めようじゃないか」
「おれはそっちのかわいい子とやるぜ」
「おれが先だ、ソッチ!」
「じゃあ、公平に決めよう」
 手下たちはじゃんけんを始めた。結局ソッチという男がクラウドを射止めたようだった。
「さあ、始めるぜ!」
クラウドは床にひかれた、赤や青の丸がずらりと描かれたビニールシートを見てあっけにとられた。「これってもしかして−−−−」
「そ、ツイスターゲームだ。こんなもん男どうしでやってもなにも面白くねえからな。あんたみたいなかわいい女の子とやると−−−−。むふふ」
ソッチはひとりで赤くなっている。
「なんだ、他愛のないゲームだな」
ザックスは、クラウドとソッチがやっているゲームを見ながらあきれてつぶやいた。
 指定された色の丸に足や手を置いていって、置けなくなったり、バランスをくずしてひじ、ひざをついたほうが負けという単純なゲームだった。
「ひやー、まいった!」
体の固いソッチが笑いながらひっくり返ると、今度はザックスの番だった。
 やってみると、なかなかおもしろい。初めはいやいやだったはずのザックスは、コッチと意地になってやりあった。
「右手、赤!」
手を伸ばした拍子に、コッチのひじがザックスの胸に当たった。ドレスの開いた胸からころりと何かが転がり出た。
「なんだこりゃ−−−−あんパン?」
「いっけねえ!」
ザックスはあわててそれを拾い、また胸元に押し込んだ。しかし、そこにいた手下たちすべての目がそれを見ていた。
「おまえ、そんなもん入れてたのか!」
「おかしいぞ、こいつ、やたらごつい女だと思ったが」
「やーねー、ごついのは生まれつきだからしょうがないでしょ。あたしだってもっとかわいく生まれたかったわ〜〜〜」
ザックスは余計なシナを作って見せた。
「先輩、どうせばれてるんだから、気持ちの悪いことはもうやめましょうよ」
クラウドは今さらのようにザックスの女装に顔をしかめた。
「わかってるよ。どうやら、おまちかねのアクションシーンってとこかな」
 ザックスは手下たちを見回した。そして、どこに隠していたのかまったく謎なバスターソードをかまえた。
 ・・・・・・・・・・・しかし、赤いドレス姿のままでは、せっかくのアクションシーンもさまにならない。



×××



 セフィロスはコルネオと、ここもまたごてごてと飾りつけられたベッドルームにいた。
 大きなベッドの上のコルネオは、背を向けているセフィロスに猫なで声で言った。
「こっちへおいで、子猫ちゃん。はずかしがることはないよ。ふたりきりだよ〜〜〜。ほひ〜〜〜〜〜、何度見ても美しいの〜〜〜〜」
セフィロスはそんなコルネオをじろりとにらんだ。これまで戦場で幾多の敵兵を恐怖におとしいれてきたまなざしだったが。
「ほひ〜、色っぽい流し目だの〜、おまえも俺のこと好きか?」
どうやらコルネオは幸せなかんちがいをしているらしい。
「もちろん−−−−−−−だ」
口のはしから絞り出てきたセフィロスの声は、低くて聞きとりにくかった。
「ほひ、そうか。ほんならなにをしたい?」
「おまえの好きにしろ」
「ほひ〜ほひ〜、たまらん!チューして、チュー!」
コルネオはセフィロスにとびつくと、しがみついた。
「やめろ!この変態!」
セフィロスはコルネオの首ねっこをつかむとつるしあげた。
「ほひー!乱暴なおなごだ。しかし、美女にいじめられるのもいいの〜〜〜〜〜〜」
セフィロスはコルネオをほおりだすと、額に手をやった。
「頭痛がする−−−−−」
そのすきにコルネオはまた、セフィロスの腰にしがみついた。



×××



 ザックスとクラウドは手下たちを片付けると、コルネオの寝室に急いだ。
「まさかセフィロス、コルネオを−−−−」
ザックスはそれが心配だった。コルネオから地図のことを聞き出す前に、短気なセフィロスがコルネオをやっつけてしまっていたりしたら。
 しかし、ザックスたちがベッドルームに飛び込んだとき、そこには腰にコルネオをしがみつかせて頭をかかえているセフィロスがいた。
「セフィロス、何をやってるんだ?」
「た、隊長、まさか本気で」
「そんなこと、冗談でも言うと殺すぞ!おい、この変態おやじをなんとかしろ!」
セフィロスはコルネオの半分はげた頭をたたいて言った。
「ほひ〜〜〜!もっとたたいて〜〜〜〜〜!!」
しかし、コルネオはかえって喜んでいるようだ。
「手下は片づけたから、いやなら無理はしなくてもいいけどさ・・・・・・・・・・・・」
それを聞いて、セフィロスは気を取り直した。
「じゃあ、もう女のマネなどしないでいいんだな。おい、コルネオ!」
「なんじゃい、子猫ちゃん。お、仲間の子たちも来たのか」
「誰が子猫ちゃんだ。おれは男だ!」
セフィロスはコルネオの胸元をつかんでゆすぶった。
「ほひ〜〜〜〜???」
「俺たちも男だ!」
ザックスは胸に入れていた、あんパンのかたわれをかじってみせた。セフィロスも胸元から中華まんじゅうカレー味を引っぱり出した。
「ほひ〜〜〜〜〜!!男?どうなってるの」
「残念ながら、質問するのは俺たちの方だ。おい、おまえが神羅のチョコボの資料から抜いた地図はどこへやった?言わないと・・・・・・・・・・・」ザックスはベッドの端に足をかけてすごんだ。「切り落とすぞ」
「あ、それ、かっこいいです。じゃ、俺も」クラウドもザックスにならう。「言わないと・・・・・・・・・ねじり切っちゃうぞ」
「待て!あの地図ならそこの金庫にある!!」
「じゃあ、早く出せ!出さないと・・・・・・・・・・・・」
「す、すりつぶすんだろ。本編ではそうなってるからな」
そう言いながらコルネオは、部屋の隅にあった大きな金庫を開けた。そして、ごちゃごちゃといろんな物が入っている中をかきまわして、変色した羊皮紙を取り出した。
「お宝の地図かと思ったんだが、そうでもなさそうなんでここにほおり込んだままだった。なにか、ほんとにお宝があるのか?」
コルネオは地図をひったくったザックスをものほしそうに見た。
「これだ、間違いない!」
セフィロスもうなずいた。
「これでもうここに用はないな」
「ちょっと待て!」
立ち去ろうとする3人にコルネオが声をかけた。
「なんだ?」
「ほひ〜〜〜〜!男でもいい、おわかれにチュ〜〜してくれ!」
 セフィロスは無言でコルネオをなぐり飛ばした。



×××

「いいんですか、このまま旅に出てしまって」
クラウドは眼前に広がるミッドガル郊外の荒れた土地を見ながら言った。
「いいんだ。神羅ビルに戻ってまたルーファウスにでも捕まったら、何を言われるかわからないからな。もう、事務やあいつのボディーガードなんかはまっぴらだ」
セフィロスは答えた。
 ザックスはゲート前でこれから始まる探索の旅に胸を踊らせていた。やっと手に入れた、黄金のチョコボへと通じる地図。それに書かれていたクリスタルのありかは漠然としたものだったが、それでこそ冒険というものだ。
「さあ、行くぞ!クリスタルを集めて黄金のチョコボを手に入れるんだ!」
ザックスは荒れ地に続く道に足を踏み出した。
「おい、ずいぶん勇ましいことだが、それはなんだ」
セフィロスはザックスがかついでいる大荷物を指さして言った。
「いや、その、これは−−−−エアリスが用意してくれた、旅に必要なアイテムで・・・・・・・・。俺が自分で買ったものもちょっとはあるけど−−−−」
「先輩、ウォールマーケットで食料を買い占めてましたよ」
クラウドがばらした。
「まったく、あきれたやつだな」
「中華まんじゅうもあるんだ。買ったばっかりだからほかほかだぜ。食う?」
「いらん!そんなものは見たくもない。行くぞ!」
 そして奇妙な3人組は、ミッドガルを旅立っていった。




×××××




(ぴっぴっぴ・・・・・・・・ぷるるる)
「エアリスかい?俺たち、これでミッドガルを離れるよ。しばらく会えないけど、絶対黄金のチョコボ見つけて帰ってくるからさ。待っててくれよ」
『がんばってね!でも無理しないで時々は電話してね』
「うん、じゃあ、行ってくるよ」
                    −−−−−−−−−−セーブ完了。




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