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ザックスの冒険〜黄金のチョコボ伝説〜

DUNGEON3・神羅カンパニー本社ビル(1)




 ソルジャーになればすぐに神羅ビルに入り込める、と思ったのは甘かった。
 ソルジャー部隊に配属されると、訓練だ任務だと、世界中あちこちたらい回しにされるハメになった。まるで結界が張ってあるかのように、本社ビルはおろか、ミッドガルにすら近寄ることができない。
 でも、そのうちチャンスが来るだろ。
 思い詰めてものを考えることができないザックスは、とりあえず無駄な心配をすることはやめて、なりゆきでなってしまったソルジャーの生活を楽しむことにした。ソルジャーという商売がけっこう肌にあっていたらしく、戦士としての経験値をみるみる稼いで強くなっていったし、それ以外の余計な経験値も・・・・・・・・・。
 まあ、今は話さないでおこう。どうせおいおいバレることだ。
 そうこうしているうちに、ようやくミッドガルに戻る機会が訪れた。
 今こそ初心をつらぬく時。ザックスはさっそく、神羅カンパニー本社ビルへと向かった。



×××



「あれ、ザックスじゃないか?」
通りで出会った一般兵の制服を着た兵士が彼に声をかけた。
「なんだ、誰かと思えば、クラウドか。見違えたよ!」
「俺も−−−−。へえ、立派なソルジャーぶりだなあ。いや、立派ですね」
「どうしたんだ?言葉遣いを変えたりしてさ」
「だって、一般兵とソルジャーじゃ階級が違うんですよ。軍隊じゃ上下のけじめが大切だって教えられましたから、先輩」
ザックスは頭をかいた。
「ま、いいけどさ−−−−。先輩ってなんだよ」
「俺、次の試験こそは絶対うかってソルジャーになるんだから、あんたの後輩になるわけでしょ。だから、先輩って呼んでおくんですよ。で、どこへ行くんです、せ・ん・ぱ・い?」
ザックスはかたわらにそびえ立つ神羅ビルを指さした。
「ちょいとあそこへな」
「わあ、神羅ビルですか。俺、一度も入ったことないんですよ。いっしょに行っていいですか?」
「いいぜ。ついてこいよ」



×××



 前の時と違って、受付嬢は若いソルジャーに愛想がよかった。
「神羅軍指令本部は50階でございます。あちらのエレベーターでどうぞ」
ザックスの問いに、実に気持ちのいい口調で答えてくれた。
 うるさかった警備員も何も言わない。ザックスとクラウドはドアが開いていたエレベーターに悠然と乗り込んだ。乗ってしばらくすると、エレベーターは勝手に動き出した。
「俺、エレベーターって苦手です。なんだか気持ち悪いですね」
クラウドはいきなり、乗り物酔い体質の片鱗を見せた。
「そっか?それよか窓の外を見てみろよ。気持ちいいぜ〜〜〜〜〜〜」
そう言うザックスは、ガラス窓にべたっとはりついて、どんどん下の方に流れていくミッドガルの街を眺めていた。エレベーターに乗ったことくらいはある。しかしこういう、窓の外が見えるようなのは初めてなのだ。空を飛んでいるようなこの光景!いや〜〜、ソルジャーになってよかった〜〜〜〜〜!と、なんか間違ったことを考えているザックスだった。
 エレベーターが止まり、ドアが開いた。そこに立っていたビジネスマンらしい男と入れ違いにふたりはエレベーターを降り、広いエレベーターホールを突っ切って続いている廊下を歩いて行った。
「おかしいな。こっちでいいのかな」
どこにも軍指令部らしきものはない。といっても、指令部がどんなところかザックスは知らないのだが。
 向こうから書類の束をかかえて歩いて来た女性を捕まえて、神羅軍指令部はどこかたずねてみた。
「あら、指令部は50階よ。ここは38階」
その女性は冷たい口調で言った。
「ああ、そうか、間違えたみたいだな。でも、おかげで君に出会えた。ぼくはラッキーな男だ」ザックスはその女性の肩に手を置いた。「ねえ、君、きれいだね。仕事終わってから会わない?」
こう言えばザックスの経験からいってたいていの女性は喜ぶものなのだが、その女性の顔はキッと厳しくなった。
「なによ!このナンパ男!ちょっといい男だからって女はみんな言うことをきくと思ってるのね!−−−−セクハラ、女性の権利侵害!!」
彼女はザックスの手を振り払うと、いきなりザックスの頬をなぐりつけて行ってしまった。
「な、なんだ、せくはらって−−−−」
HPをかなり削られたザックスは頬を押さえながら言った。
「なんかよくはわかんないですけど、都会でははやってるみたいですよ。でも、気をつけないと、ああいうタイプの女性はこわいですよ。中途半端な年で中途半端な容姿の性格のきつそうな人は−−−−。俺なんか、ひじがふれただけで痴漢よばわりされましたから」
「うん、まあ、そうだな。俺ももう少し、女の子は選んで声をかけることにしよう」
「−−−−何の用事か知らないけど、ガールハントに来たんじゃないでしょね」
クラウドは疑いの目をザックスに向けた。
「違うって!とにかく、さっきんところに戻ろうぜ。エレベーターに乗り直さないことにはな」
 しかし、どう廊下を曲がり間違えたのか、エレベーターに行きつかない。同じようなオフィスのドアが並ぶばかりだ。
 うろうろしているうちにドアのひとつから女の子のにぎやかな話し声が聞こえてきたので、そのドアを開けてみた。
「−−−−なによ、いやあね!」
何人かの女子社員が給茶器の前でお菓子を食べていた。彼女たちは一斉に、突然の闖入者をとがめるように目を向けた。
「あ、ごめんよ、楽しい語らいのひとときのジャマしちまって。お嬢さんたち、すまないけど、エレベーターホールにはどういけばいいのか教えてくれないか?」
そこにいたのが若い女子社員ばかりだとわかると、ザックスの態度が妙にキリッとした。
「−−−−こりてませんね、先輩」
クラウドはためいきをついた。
「あら、ソルジャーさんなの?わりといい男」
「そっちの兵隊さんもかわいい〜〜!」
「ねえ、お茶入れてあげるから、飲んで行かない?」
「うちの部署にこんないい男いないもんね」
「そうそう、おじんばっか!」
「クッキーあるわよ、私の手作り。女の子だけで食べようと思って持ってきたんだけど、あなたたちにならあ・げ・る」
「や〜〜〜、そっかあ?悪いなあ。んじゃ、遠慮なくもらうよ」
「せんぱいっ、こんなところでノンキにお茶してる場合ですか?俺たちエレベーターへの行き方を聞きに来たんでしょ!さっさと聞くことを聞いて行きましょうよ!」
「まあまあ、そんなに急いでも疲れるだけだぜ。それより食えよ。うまいぜ、このクッキー」
 その時突然、ドアがばたんと開いた。
「あなたたち!いつまでさぼっているつもりなの!」
そこで眉を逆立ててにらんでいるのは、年配の女子社員だった。
「いけない!お局さまだ!」
女子社員たちは蜘蛛の子を散らすようにいなくなってしまった。
 お局さまは、ザックスたちのほうへつかつかと歩み寄った。
「あなたたちは?このフロアでは見たことのない人たちね。所属は?直属の上司は誰?何の用件で来たの?」
「いや、あの、俺たち、迷っただけで−−−−−」
「迷った?−−−−さてはあなたたち、敵対企業のスパイね!?それならそれで、もう少しマシな言い訳でも考えたらどう!?」
彼女はボールペンやら画鋲やらクリップやらシャープペンシルやらをかたっぱしからふたりに投げつけた。お局さまの手にかかれば、平凡な事務用品も立派な武器だ。
「だ、だから、ホントに迷っただけなんだってば〜〜〜〜〜!!」
ザックスたちは襲い来る文房具たちを叩き落としながら、必死になって逃げた。
 そして気がつけば、またどこにいるのかわからない。
「こ・・・・・・・・今度はどこに来ちまったんだ?」
「あ、誰か来ますよ。あの人に訊きましょうよ」
 向こうからやって来た男は見るからに元気がなく、下を向いて歩いていた。
「あの、そこのおじさん、ちょっと訊きたいんだけど−−−−」
声をかけると、やっと顔を上げた。
「−−−−ボクなんかに何の用なんだ。用なんかあるはずかない。どうせ、ボクなんかリストラされるんだからな」せつなそうにためいきをつく。「君らなんかにボクのつらさはわからんだろう。おい、君らに窓際族なんて言わせないからな!君らだってあと20年もたてば−−−−」
そうひとりでぶつぶつつぶやいて、男は向こうへ行ってしまった。
「な、なんなんだ、いったい」
「さあ、なんだったんでしょうねえ。あ、また、誰か来ましたよ」
 今度の男はビジネススーツをびしっと着こなして足早に歩いて来た。
「え?なんだって?私は忙しいんだ!君らのたわごとにつきあう暇はない!さ、君らもさっさと仕事に戻りたまえ!」
腕をふりまわすようにして、男は彼らを振り切って行った。
「なんだか変な人ばっかですね」
「おっかさん、東京はこわいとこ・・・・・・・・・もとい、ミッドガルはこわいとこじゃ。この調子じゃ、モンスターくらい出てもおかしくないな」
「とにかく、早くエレベーターホールに戻らないと。あ、また誰か来た」
クラウドが指さした先には、きちんとスーツを着こなした女性がいた。
「あの人、なんか愛想よさそうだぞ。あの人に訊こう」
 ザックスがその女性に近づくと、彼女のほうから話しかけて来た。
「あら、若いソルジャーさんに兵隊さんね。ねえ、あなたたち、保険に入ってる?」
「ほけん−−−−??」
「あらやだ、まだ入ってないの。保険は社会人の常識よ。とくに軍人さんは危険なお仕事なんだから。ちょっといい保険があるの−−−−。危険なお仕事でも簡単な審査で加入OK!わずかな掛け金で大きな保証!」そう言って、持っていたカバンからぶ厚いカタログを取り出しふたりにつきつけた。「もし、戦闘で死亡すれば10万ギル。負傷した場合は−−−−」
えんえんとまくしたてる言葉にたじたじとなって、ふたりはしだいにあとずさった。
「とにかく、この保険に入って死んだらお得よお、なんせ10万も出るんだから。片腕なくしただけでも1万ギル!」
「せ、先輩、この人、こわいです〜〜〜」
「そ、そうだな」
ザックスとクラウドは、目と目をあわせ、タイミングをはかった。
「−−−−−−逃げろ!」
ふたりは同時に身をひるがえして逃げ出した。
「ちょっと、待ちなさいって!ここにはんこ!!」
その女性はすごい形相で、書類を振り回して追って来た。
「わ〜〜〜、モンスターだ〜〜〜〜!天下の神羅ビルにモンスターがいるなんて〜〜〜〜!」
「クラウド、そんなことを言うもんじゃない!ほんとーのモンスターさまたちに失礼だろ!あのねーちゃん、モンスターよりずっとこわいぜ!!」
 どこをどう逃げ回ったのか、ふたりはいつの間にか元のエレベーターホールに戻っていた。上でも下でもいい、早く来てくれエレベーター、とボタンを必死に押しまくっているうちに、恐怖の保険勧誘員が廊下の角を曲がり、こちらに迫ってくるのが見えた。
「や、やばいっ」
「先輩、エレベーター来ました!早く乗って!」
 間一髪エレベーターは、勧誘員が投げつけたパンフレット1枚をドアに挟んで動き始めた。
「キ〜〜〜〜、くやしい!あとひとりで今月のノルマ達成だったのに〜〜〜〜!!」
シャフトを通じて、保険勧誘員が吠える声がエレベーターボックスにまで響いてきた。



×××



 そして一階。ふりだしに戻る。
「あ〜〜〜〜、怖かった。しまったなあ。50階行きのボタンを押すこと、すっかり忘れてたぜ」
「・・・・・・・・・・・大丈夫かなあ、この人についていって」
「な、なんだよ、その疑うような目は!たかがボタンを1コ押し忘れただけじゃないか!今度こそちゃんと行くぞ!」
 同じエレベーターに乗るのはなんだか怖かったので、別のボックスにふたりは乗り込んだ。そしてしっかりと『50』のボタンを押す。エレベーターは上へと動き始めた。
 エレベーターの扉の上にある掲示板の数字が50になって、扉が開いた。降りるとまたさっきと同じようなエレベーターホールだった。
「ここ・・・・・・・・・・さっきのとことは違うよ、な?」
「たぶん・・・・・・・・・・・・。あ、あそこに看板がありますよ!」
   『神羅軍指令本部』
「ここかあ・・・・・・・・・・・・・・・」
「ここですねえ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
苦労の果てに目的地にたどりついたふたりは、しみじみと安堵にひたっていた。
 司令部のホールは金属とガラスと白い壁にかこまれた、広い部屋だった。何人もの制服、私服の職員たちが忙しそうに行きかっている。
「誰に訊けばいいのかな、あれのこと。受付のねーちゃんに訊くとまたややこしくなりそうだしな。まあ、いいや、とにかく中に入ろう」
「え?いいんですか?・・・・・・・・・・・いいのかなあ」
 そして勝手に入って行こうとしたが、あんのじょう受付に呼び止められてしまった。
「あの、ここは部外者が許可なく立ち入ることは禁じられておりますが」
「部外者?心外だなあ。俺、ソルジャー部隊のモンなんだけどさ」
「え?・・・・・・・・・・ああ、失礼しました」受付はザックスの制服を見て言った。「それで、どういったご用件でしたでしょうか」
「あのさ、ここで黄金のチョコボの地図のことを知ってる人って誰?」
「え?黄金のチョコボの地図?それは聞いたことがありませんが。チョコボに関する地図といいますと−−−−チョコボ軍事配置図のことですか?それとも、チョコボ生息分布図のことでしょうか?それとも、チョコボ育成産業地域図のこと?」
「チョコボの地図って、そんなにいろいろあるのか。−−−−どれのことだと思う、クラウド?」
「俺に訊いてどうするんですか。俺、先輩がそんなものを探しに来たってこと、今初めて知りましたよ」
「・・・・・・・・・・・・どれのことでもいいです。それは全部資料保管課にありますから。あっちです!」
受付は奥の扉を漠然と指し示した。
 ザックスはさっそく行ってみた。しばらくうろうろして、やっと保管課なるものを見つけたが、そこへ行くとまた小さなオフィスになっていた。
 そこにいた眼鏡をかけた男は、不審げにザックスたちを見やった。
「作戦地図の閲覧の許可証を見せて下さい」
「許可証だって?」
「閲覧には閲覧申請を出して、許可証に小隊長、中隊長、大隊長、師団長の印鑑が必要です。印鑑のないものは無効です」
「そんなもん、持ってねえよ」
「それでは、お見せできませんね」
「別にいいじゃんか。ちょっとくらいさ」
「規則ですので」
「あ〜〜〜、もう、いいよ。俺、自分で探すから。あんたは動かなくてもいいよ」
「そういう問題ではありません!お見せできないものはできないんです!」
「も〜〜〜、めんどくさいなあ。なんだっていいじゃん、ちょっとくらい」
「そうはいきません!どうしてもと言うのでしたら、実力で阻止します。警備兵!」
男の声と共に、何人もの兵士がどどっと現れた。
「やっべえ!逃げるぞ、クラウド!」
「ええ〜〜〜、またですかあ〜〜〜〜〜?!」
 ザックスとクラウドはあわててその場を逃げ出した。広いオフィスの中を逃げ回り、職員をつき倒したり、屑かごをけとばしたりしたあげく、半開きになっていたドアの中に逃げこんだ。
「−−−−ああ?なんだ、ノックぐらいしろ」
そのせまい個人用のオフィスの机に山積みになった書類の向こうから、不機嫌そうな声がした。そしてうつむいて仕事をしていた銀髪の男が顔を上げた。
「ソルジャーか。何の用だ?」
 その時、警備兵がドアをけやぶるようにして飛び込んできた。
「ここにいたのか。もう逃げられんぞ!」
しかし警備兵は、いきなり飛んで来て目の前の壁につき刺さった長刀に、その場に釘付けになった。
「無礼だぞ。ノックをしろと言っただろうが」
「し、しかし−−−− この不審者を追ってきただけでして−−−−」
警備兵の声は恐怖にうわずっていた。無理もない。白銀に輝くやいばが顔のすぐ前にあって、投げつけられた勢いでまだ震えているのだ。
「こいつは私の部下のソルジャーだ。何かの間違いだろう。出て行け!」
凍りつくようなその口調に、警備兵はあせって部屋を出て行った。
「やれやれ、助かった。礼を言うぜ、あんた。おい、クラウド、おまえも−−−−」
 しかしクラウドは、目を見開いて部屋の主を見つめ、かたまってしまっていた。
「ど、どうしたんだ、クラウド」
「セ、セフィロス−−−−セフィロスだ−−−−!!!」
「セフィロスだって?」
 男は机から立ち上がって、ドアの脇の壁に突き立った長剣を抜いた。そこにはほかにもいくつも同じ剣の傷があった。
 ザックスはその男をまじまじと見た。彼は背が高く、銀色の髪を黒い衣装の腰の下に届くほど長く伸ばしている。そして白皙の、男にしては整いすぎた顔だち。
「セフィロスって、まさか、この女みたいな顔のにーちゃんが?」
ソルジャー部隊長であるセフィロスのことは、いちおう知っていた。しかし、英雄と呼ばれるほどのソルジャーだ。もっとたくましくてごつい男だとザックスは思っていたのだ。
 とたんに目の前に銀色の光が閃いたと思うと、ザックスの黒い前髪が一房はらはらと宙に舞った。
「誰が女みたいだって?」
ザックスの鼻先に長剣を突きつけてセフィロスは言った。
「す、すいません、あの・・・・・・・・・・女にはもったいないほどのお美しさです」
ザックスは壁にはりついて、顔をひきつらせながら言った。
「きさま、それでフォローしてるつもりか〜〜〜〜!」
正宗が再び宙を舞う。ザックスはすばやく頭をひっこめた。今度は幸い、毛先をちょっとかすられただけで済んだ。
「オレは最近、ろくな作戦がなくてここでしちめんどくさい事務処理ばかりさせられていらいらしてるんだ。怒らせるなよ」
「は、はい、すいません〜〜〜〜〜〜〜」
ザックスは必死だった。今度怒らせたら、きっと首ごと飛ぶ。
 一方クラウドは、目をきらきらさせてセフィロスを見つめていた。
「やっぱ、セフィロスさんだ!それって伝説の剣、正宗ですよね〜〜〜〜!グラビアで見たよりず〜〜〜っとかっこいい!わー、本物だあ。さわっていいですかあ。ああ、どうしよう!サインもらう色紙持ってないよう!」
もはや単なるファン状態だ。
 これにはセフィロスも苦笑するしかなかった。彼はザックスに突きつけていた剣をおさめた。
「で、おまえたち、どうしてこんなところへ来たんだ?」
 ようやく息をつくことができたザックスは、セフィロスに問われるままに、以前神羅軍が黄金のチョコボを探していたと聞いたこと、そして、そのチョコボを探すためには神羅が持っている地図が要ることを話した。
「−−−−で、その地図を手に入れるためにソルジャーになっただと?あきれたやつだな。で、その黄金のチョコボというのは本当にいるのか?」
「誰かが見た、という話は聞いたことがないからなんとも言えないけど、天下の神羅軍が真剣に探してたことは事実だし、いるんじゃない?」
「へえ、ほんとにいるとしたら、すごいですね。どこへでも行けるんでしょ。海でも山でも自由に越えられるなんていいなあ」
「確かに、本当だとしたら戦略的にもかなりのものだ。今も魔晄車が入れないような地形での兵員の移動にはチョコボが多く使われているからな。神羅は優秀なチョコボを作るためにチョコボレーシングを奨励しているくらいだ。もし、そんなチョコボがいれば地形を選ばずに奇襲攻撃も簡単にできる。軍にとっては計り知れない利益になる。だから軍部が探索していたんだろうが・・・・・・・・・・・・・」セフィロスは考えこんだ。「しかし、今だにそんなチョコボが発見されていないところを見ると、ガセ情報だったのか−−−−それともまだ地図の意味を見つけ出せずにいるか、だな」
「意味がわかんなかっただけだろ。う〜〜〜ん、神羅って意外と優秀な人材は少ないんだなあ」
「それでは、その地図をおまえが見たとして、わかるというのか」
「う・・・・・・。そんなの、見なきゃわからんだろ!?」
「まあ、それはそうだ。オレも見たことはないしな。−−−−ふむ。ちょっと探してみるか。どうせデスクワークにはうんざりしていたところだ」
 そして机の上のコンピューターのキーボードをいじった。
「検索−−−チョコボ−−−だけでは大量に出るか。しまった、キーワードをもう少し絞れば・・・・・・・・・・」
 しかし、チョコボに関する資料は意外にも少なかった。全部のタイトルをじっくり眺めてみたが、それらしいものはない。
「どうやら軍指令部にはないようだ。あるとすれば本社の資料室だが−−−−ちょっとやっかいだな」
「どこだよ、それは」
セフィロスは天井を指さした。
「62階だ」




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