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「……では、準備はよろしい?」
暗がりの中、薄ぼんやりとした光を放つカード状の小さなディスプレイに映し出された若い女が微笑む。それを取り囲むように数名の影。
「任務の確認、いいわね?」
影がそろってうなずく。影たちの口元は布で覆われている。服装についてもまちまちだが、それぞれがポーチを背負い、また電磁式ハンドガンを腰の部分に携帯しているのが、ディスプレイのわずかな光に照らされて見て取れる。
「基本的には敵の撹乱よ。そして余裕があったら、メインコンピュータへアクセスを試みて。必要情報についてはこちらからも仕掛けてみるけど、なるべくアクセスを集中させてこちらが動きやすいようにしてもらえると助かるから」
再び、影たちはうなずいた。
「とにかく第一に、生き残ることを考えなさい。今回はあくまで情報確保が目的であって、本戦になる前に兵力が減ってしまうようなことは避けたいわ」
影の一人から息が漏れる。
「うん、とりあえず緊張はしときなさい。気を抜くとあっさり死んじゃうからね。それと……」
声の主が、一つ呼吸をおいた。
「四宝剣が活動し始めた、との報告を受けたわ。この意味、わかるわね?」
無言。
「これについては、情報収集もしないでいいわ。それらしきものと鉢合わせしたら迷うことなく逃げてきなさい。いいかしら?」
最後の一言のあと、一同はわずかに首を縦に振る。
「OK。それじゃ……」
カードディスプレイの中、長い黒髪が揺れた。
「歪み無き、清らかなる星のために」
第四節
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