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少し長めのエピローグ旅の終わりも近づいている。今は札幌から函館に向かう「スーパー北斗16号」の車内である。 今日は、そんなに辛くない日程だった。帯広から富良野、旭川、札幌と乗り継いできたのだが、この見慣れたはずの景色がもう見れないと思うと、妙に名残惜しい。しっかりと、心の中に焼き付けておこうと思いながら、車窓を眺めていた。 天気は、またゆっくりと下り坂らしく、晴れたり曇ったりしている。 今回の旅は、気まぐれな天気に振り回されたようである。 今になって思えば、それが本来の人間の持つ感情なんだと思う。泣きたいときに雨が降れば、空が私と一緒に泣いてくれているとか思うのは、自分勝手な解釈だけなのかも知れない。 正直言って、北海道にいる間、雨は降って欲しくなかった。でも、季節は一刻一刻と冬の訪れを知らせているのが分かった。 僕が北海道を離れれば、いよいよ季節は長い冬にはいるのだろう。 帰ったら、またいつもの生活に戻る。 毎日に退屈しているわけでもなく、逆に多忙なわけでもないのに、心の中は空っぽ。 空しく空しく時が過ぎていくのがどうしても許せなかった。 心の中にあった小さな傷たちは、少しは癒えたような気がする。 旅から帰ってくると必ず吹き込む新しい風は、きっと、今回も吹くことだろう。 そして、過去の自分とは違う、自分をつくっていくことができるだろう。そして考え方や行動が、少しずつ変わって行く。それは、旅というものが残してくれる最大のお土産なのだ。 いよいよ、3度目の青函トンネルを渡り、北海道に別れを告げることとなる。 道内ではいろいろと恨み辛みあったが、いざ離れるとなると、とても寂しい。 「もう少しいたかったな。」 思わず涙が出そうになった。なぜだろう。大した思い出なんかないはずなのに。 何だろう。このこみ上げてくる思いは。きっと、この旅が、自分にとってプラスになったから起こった感情なのだろう。うまく言えないけど、そういうことなんだと思う。 さよなら。北海道。また来るからね。 今度は彼女と一緒だったらいいな。できればの話。 そう、また来ればいいんだ。大学生のうちでも、就職してからでも。 誰ときても楽しいはずだ。 春になってから、初夏、ラベンダーの咲く頃、真夏、札幌の雪祭りの頃、どの季節でもいい。 とにかく、また来たい。そして、また違う旅の楽しみ方をしたい。 最後に一言 「ありがとう。北海道。」
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