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自然の交響曲は朝日の照らされる中流れて…夜もまだ明け切らない内に私は根室を出発した。昨夕通った道を、今度は朝もやのかかる中、列車代行のJRバスが走ってゆく。 雲の間から、ほんの少し朝日が顔をのぞかせている。 「こりゃ今日も危ないなぁ…。」 景色はとてもいいのに、心が浮くような感動が…、ない。 そういえば、昨夜チェック・インしたときに、フロントの人が言っていた。あの地震があってから、昨日までずっと雨は降っていなかったのだそうだ。 そう、確かに一昨日までは抜けるような青空が広がり、朝日に輝く日本海を見ることができていたのだ。そして、函館の夜景も…。 相変わらず、バスに揺られながら外を見ていると、いきなりバスが急停車した。直感的に前を見た。すると、何かがバスの前を横切った。横切った方向には2頭のエゾシカの姿があったのだった。このバスに揺られていて、私は2度も見てしまった。 「北海道にいるんだなぁ。」 ぼんやりとだが、だんだんと実感としてわいてくるものを感じた。 そして昨日とは反対に厚床で降り、列車に乗り換えて、釧路へ向かった。 その途中では、水鳥の大群が、水平線に向かって羽ばたいていく姿をとらえることができた。まさに、北海道でしか見ることのできない光景だった。そう、その時間は、雲の間からまっすぐ伸びる陽射しが、いくつもの線となって、海面を照らしていた。 釧路から網走(冷静な?旅の考察)今回の旅でポイントの一つにしていたのがこの釧網線に乗ることだった。 08:55、釧路発の快速「しれとこ」に乗り込み、一路、網走をめざす。 実際乗ってみて、確かに周囲の景色はいい。でも何かが欠けていた。それは天気の他にもう一つあった。私はこれによって失望に追い込まれたところがいくつもあった。 賢明な読者や北海道の列車に最近乗りに行った読者なら分かると思う。 まず、人の多さ、そして列車の質である。 いまいち北海道に来ているという実感がなかったのは、この2つの理由が大きかった。 特に観光客や地元の人の出入りが激しいところはそうだ。そして、釧網線は今回その代表となってしまいそうである。 列車の質、やはり旧国鉄時代の改装車のほうが味があるのだ。新しいキハ55系は、あまりにも味がない。こういう列車が竜ヶ崎線や常総線に入ってくれればものすごく有り難いのに、なぜに北海道?そして701に関しては、なぜに秋田?てな話になると、社会的問題をあーだこーだいう人が出てきそうだが、旅を楽しむものにとって、その楽しみを奪われることが何よりも悲しく、そして何よりも口惜しいことなのだ。 北海道ここにあり!やっとの思いで網走に到着し、時間を持て余す暇もなく、次の列車に乗り換える。やったあ!旧国鉄改装車のキハ40系!おまけに2両だ!(2両で喜んでる僕っていったいどこの人…?)ここで私はやっと一人旅の開放感に浸かることができた。 北見までの2時間弱の短い距離であったが、その間に青空が見えてきて、非常にきれいな紅葉が私の目の中に飛び込んできた。 「これだ!これぞ北海道!」 胸が躍っていた。青空が見え、一人旅の醍醐味に触れている私は、ヴォルテージが少しずつ上がっていくのを実感していた。
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