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彷徨いの果て
〜北海道 旅の記録〜
1994.10.27〜11.03
旅立ちの夜
新宿駅西口の繁華街にあるエキシビジョンは、日本シリーズの報道を映し出していて、その交差点は人集りしていた。
大声を出して騒ぐ酔っ払ったサラリーマンを横目に、同年代の若者の集団やOLの集団が街中をうろついている。
TOKYOのこんな風景を見るのは久しぶりだ。新宿の街を見るのも半年ぶり、独り暮らし始めてから、ほとんど竜ケ崎の外へ出ることがなくなった。
去年までは新宿、秋葉原の電気街は大学の帰りによくうろついたものだった。今ではすっかり出不精になってしまった。
繁華街の真ん中にある牛丼屋で牛丼の大盛りをかきこんで、私はスクランブルを渡り、新宿駅南口へ向かう人込みの中へ入っていった。
北へ向かう列車に乗るとき、シチュエーションとしてその始発駅は上野が一番ぴったりくる。西村京太郎の小説の影響もかなり大きい。でも、あの小説を読んでいたころの上野駅のイメージと、今の上野駅のイメージはかなり違ってきている。時代のせいだろうか。あの小説に感じられた、そして、高校時代、初めて写真を撮りに行ったときに感じられた、HUMANITY〜人間味〜、旅情、そういったものが、この数年で都会の雑踏の中に埋もれてしまった気がする。
そして、そのころから旅情の微塵も感じられないと思っていた新宿駅が、何故か最近好きなのだ。いや正確には新宿駅の南口、甲州街道の陸橋から見るターミナルが好きなのだ。この先は小田急に乗れば相模原、厚木経由で小田原へ、中央線なら東京へ出る。山手線沿いに走る貨物線を通るは湘南新宿ライナー、東京と共に、故郷と都会を結ぶ駅。そのほかにもいろいろな思い出が転がっている。そして、そこから見える景色の一角に、現在の心配事が見える。「JR東京総合病院」の文字は、去年突然起こったあることを思い起こさせるのである…。
しかし、そんな重苦しい思いはその時にはもう吹き飛んでいた。
新宿駅南口の改札をくぐり、私は快速「ムーンライト」の待つホームへ向かっていった。
もう何度と往復した路線を、眠りにつきながら走ってゆく。意外なことに、平日でありながら車内は混んでいた。おそらく、いつもこんなものなのだろう。
高崎から先は実は私にとっての未乗車区間である。新幹線には乗っているが、在来線経由では、只見線と接続する小出駅まで未乗車だったのだ。そして、その路線は、気づかないうちに走破していて、気がつけば長岡駅であった。
途中の駅で、何人かの乗客が眠い目を擦りながら降りていく。まだ夜明け前である。
10月28日 5:12 AM、新潟駅に着いた。外に出ると、何とも冷たい、しかし、とても新鮮な空気に包まれていた。空も白み出している。
私はホームの自販機でコーンポタージュを買った。
もう旅は始まっている。私は北の大地を求めてさらに北上を続ける。
(C)1994,1995,2000,2001 North&South
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