「P2Pではない」もの

Webページを見るとき - 「クライアント・サーバー型」

 インターネットには様々なWebページがあります。それらは、「サーバー」という機器によって発信されています。そして、「クライアント」がサーバーにアクセスしてWebページを取得し、見ます。このような関係は「クライアント・サーバー型」と呼ばれています。

 このような場合、サーバーはどのクライアントからいつアクセスされるか分かりません。そのため、サーバー機器を24時間365日ずっと稼動させておかなければいけません。アクセスが多ければ多いほど、高性能な機器が必要となり、費用がかさみます。

「P2P」とは?

「P2P」の意味

 P2Pは、「Peer to Peer(ピア ツー ピア)」の略です。「Peer(ピア)」は「対等な」という意味を持ち、直訳すると「対等と対等」になります。

 その直訳の通り、P2Pにはサーバーやクライアントという考えはありません。P2Pシステムを利用するユーザーが対等な立場で、時にはサーバーのように情報を渡したり、時にはクライアントのように情報を受け取ったりする。それが、P2Pです。

 ※以下「P2P」では、ネットワーク上で使われるものを説明します。

「P2P」のメリット

 そのような仕組みを持つP2Pには、下記のメリットがあります。

負担が分散され、個々が小規模なシステムで済む
 「クライアント・サーバー型」で負担が集中していた「サーバー」の役割をユーザーがそれぞれ持つので、負担が分散されます。分散される負担もごく小さいものなので、少し前のコンピュータでも十分です。
サーバーが必要ないか、小規模でよい
 「サーバー」の役割をそれぞれが持つので、基本的にサーバーは必要ありません。「ハイブリッドP2P」と呼ばれる仕組みでは、接続を効率的に管理するためにサーバーを必要としますが、それでもごく小規模です。コストを低く抑えられます。
ネットワーク障害に強い
 「クライアント・サーバー型」では、サーバーに障害が発生すると全くアクセスが出来ません。一方、P2Pでは情報を持つ相手が複数いるので、それらに接続することで情報をやり取りすることが出来ます。ただし、サーバーを必要とする「ハイブリッドP2P」ではソフトウェアの仕様にもよります。
 ※「P2P地震情報」では「ハイブリッドP2P」を採用していますが、サーバーを複数に分散しているため、十分な障害耐性を持っています。

「P2P」のデメリット

 一方で、次のようなメリットもあります。

通信内容を特定しづらい
 「クライアント・サーバー型」のように関係がはっきりしておらず、個々でどのような通信が行われているかを把握することは極めて困難です。ただし、これをメリットとして匿名性を高めたソフトウェアもあります。
ルーター・ファイアウォールの設定が必要
 ユーザーのコンピュータ同士で通信を行うP2Pでは、相手に接続するだけでなく、逆に相手から接続されることもあります。そのため、ルーター・ファイアウォールを導入している場合は、相手からの接続を受けるために設定を行う必要があります。

「P2P」の利用例

 次のようなソフトウェアで、「P2P」が活用されています。

Winny
 「P2P」を利用したもので有名なのが、ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」です。「通信内容を特定しづらい」というデメリットを逆に活用し、さらに通信内容を暗号化した上で複数のユーザーを経由してファイルを送受信するなどして、匿名性を高めていたのが特徴です。
MSNメッセンジャー・Yahoo!メッセンジャー
 MSNメッセンジャーやYahoo!メッセンジャーなども、音声・動画によるチャットやファイルのやり取りをP2Pで行っています。データ量の多いやり取りをP2Pで行うことで、サーバーの負荷を小さくしています。
Skype・BitTorrent、ほか
 Skype(スカイプ)は、P2Pを利用したインターネット電話ソフトウェアです。Skypeのユーザー同士で無料の音声通信を行うことが出来ます。
 BitTorrentは、P2Pによるファイルダウンロードのためのプロトコル・ソフトウェアです。ファイルを配布するために大規模なサーバーを必要としません。Winnyと違い、匿名性は基本的にありません。

「P2P」の違法性

 ファイル共有ソフトで著作権のある音楽・動画などのやり取りが多数行われていることもあってか、P2Pには「違法」「怪しい」といった悪いイメージがあるかもしれません。

 しかし、「P2P」という技術そのものには違法性はありません。問題となるのは、P2Pをどのように利用するかです。P2Pを利用して、他人が著作権を持つ音楽・映像を共有していれば、著作権法に触れる可能性があります。ただし、それはP2Pを用いなくても可能であって、P2Pそのものに原因があるわけではありません。