匠のつぶやき  Vol.33

閑話休題 11月1日、「古典の日」に
お声が掛かりまして。



 ご存知でしたか?「古典の日」。

 2012年、古典の日に関する法律が制定され、「紫式部日記」によって源氏物語の存在が確認される最古の日付(寛弘5(1008)年11月1日)にちなむものです。

 思えば、2008年は源氏物語千年紀としていろいろなイベントが行われ、盛り上がっていた事は記憶に新しいですね。

 今こそ古典に学び、これをしっかりと心に置き、拠り所として世界の人と更に深く心を通わせよう、というのが基本構想との事。

 文学の古典ばかりでなく、我々伝統工芸や音楽、美術に携わっている者にとっても朗報ではないでしょうか。






 そんな時に、今まで2006年、2011年の個展会場で、クラシック音楽で華を添えて下さったヴァイオリニストの阿部真也さんから電話が入りました。

 今度は音楽に絵画で華を添えて欲しいとのこと。

 一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)主催の「古典の日 公開録音コンサート」に、私の「黒髪シリーズ」の作品3点を会場に飾らせて頂く事になりました。

 ピアノ、ヴァイオリン、チェロの響きを、後姿のいにしえの姫たちが時を越えて現れ、まるで私たち現代人と一緒に静かに耳にしているかのような、不思議な空間となりました。

 終演後、会場のお客様は音楽の余韻を感じながらも、見たことも無い「装芸画」に近付いていらっしゃいました。

 手で触れて見てください、これは、全て掛け軸の表装の技法で作られています、と聞いて、目を丸くしていらっしゃいました。

 こんな一日を、色でたとえるとすれば、「うす紫」だったでしょうか。


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