色の秘密は裏打ちに
なりわいと言いましょうか、作家活動を続けている分野は装芸画。 この道に入って37年になります。
「雅びの女−秋の宵」
2009年11月
第3回「NEO・JAPANIZM 特別展覧会 in Wien」出品作品
パレ・パルフィー賞受賞 |
入門の年に初めて師匠に連れて行って頂いた、奈良県吉野にある紙漉きの里での感動は、私の制作の源です。
気の遠くなるような工程を重ね、そのひとつひとつにも手抜きが無い丹念な作業。
雪解けの弱アルカリ性の川の水と、遮るものの無い日光による自然乾燥から生まれた純白の(厳密に言うと真っ白ではない)和紙。
その現場は静寂な中にも力強いエネルギーが満ち溢れていました。
その材料をもとに装芸画が生まれるのです。
まだまだ一般の方には馴染みのない分野ですが、新旧の技法と和洋さまざまな布地を駆使した絵画は、単なる貼り絵とは一味もふた味も異なります。
その秘密は仕上げの裏打ちで作品がさらに色鮮やかになるからです。
裏から支えてくれるこの和紙こそが立役者なのです。
紙は「神に通ずる」という言葉もあります。
私は装芸画を通して微妙な色の変化の表現に取り組むとともに、日本の伝統的な色の美しさを伝えていけたらと思います。
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