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読書雑記
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高松塚古墳壁画絵葉書
高松塚古墳壁画絵葉書(自分で買った奈良みやげ)
やはりヘンな趣味でしょうか・・・?


読書雑記@
2003年3月、スージーが最も好んで読む作家、黒岩重吾先生が亡くなられた。
古代史小説の第一人者である。
考古学的、学術的にも資料が豊富とは言えない分野で、精緻な考察と見事なまでに描ききった古代の主役たちは現代人に熱い血脈を伝える。
黒岩先生が直木賞を受賞し、人気作家の地位を築くまでに踏みしめた茨の道は筆舌に尽くし難い。
個人的には古代最後のスーパースター坂上田村麻呂を書き込んで欲しかった。
しかし、まだ読み終えない作品が数多くあり、未開の黒岩作品が古代へのトリップに誘って(いざなって)
くれることに感謝したい。 合掌

読書雑記A
スージーは読書家でもないのにこんなページを作っていいのだろうか?
「古代史小説文庫」は忘備録として、もちろん自分用に作り始めたページなのだ。
殆どの本が20代に通勤電車の中で読んだ本なので、HP用に記憶を再生するのが大変だ。
ちなみにスージーは前の会社を辞めるとき、社長に「古代史の勉強をするためにD大の大学院に行きたいんです」とのたまわった。すごいハッタリだったな・・・。

読書雑記B
スージーはベストセラーの類には興味がないのだが、金原ひとみ氏の『蛇にピアス』は読んだ。
村上龍に影響されているのが丸出しで、現代文学がまるで分からない私には『限りなく透明に近いブルー』を読んだ後と同じ、イヤな読後感を受けた。
やっぱ、スージーは古代に回帰しようっと。

読書雑記C
2004年11月酒見賢一氏の超長編小説『陋巷に在り』の文庫本完結編である第13巻が出版された。
実はまだ読んでいない・・・。
第1巻のオビには本著に“サイキック孔子伝”というコピーがついていて、すごく魅かれた。
あれから9年近くも経つのかと思うと、作者も読者も感無量状態なのではないか?
感化されやすいスージーは一時期孔子にハマってしまい、国内の孔子廟へ参ったり、井上靖先生の『孔子』を読んだり、孔子アニメまで手にしてしまった・・・。(論語は読んでいない)
しかし、本著の主役は孔子の弟子・顔回なのだが・・・。
ともかく、今年の短い年末年始の間に『陋巷に在り』第13巻までを読み、完結の感動に浸りたいと思っている。

読書雑記D
2005年2月、インターネットの古本屋「文庫OFF」にて文庫本6冊を購入。初めての利用だが、新品の約半値で購入できた。本の状態もかなりいい。買取は50冊から受け付けてくれるそうだ。今月は車検があり、既に赤貧のスージーはこの「文庫OFF」にハマりそうである。

読書雑記E
2006年1月、今月の角川文庫の新刊で黒岩先生最後のエッセイ『人に定めなし』が刊行された。
人生の昇降が激しく、何度も死に直面した先生のストーリーが興味深い。

実は今年読了した本はこれが初・・・!大人としてハズカシイね。
今年こそ、読書量を増やそうと文庫本を買い込んでいるスージーなのでした。

読書雑記F
2006年10月、黒岩先生が人生の最後に残した古代史小説『役小角仙道剣』(えんのおずぬせんどうけん)を読んだ。
やはり、面白かった。
今までの古代史作品は所謂「記紀」に書かれた天皇や皇族がメインであり、古代日本の黎明期が時には華やかに、スリリングに壮大なスケールで描かれていた。
それらに対し、この作品は農民や奴婢などの「苦役の民」を救済する優婆塞(うばそく)役小角が果敢に腐敗政治に立ち向かう有様が描かれている。
時は持統天皇から文武天皇の時代、律令制がまだ不完全で、皇族・貴族のみが優遇されていた歴史の裏側に鋭い眼差しを向けている。
また、役小角は『日本霊異記』によれば韓国連広足(からくにのむらじひろたり)の朝廷への密告により、晩年伊豆に流されたというが、黒岩先生は小説で広足を悪者にしていない。
広足が役人でありながら、役小角を崇拝する学者であったからだと考察されたからではないか・・・。
最後まで黒幕が明かされないところも読み応え十分だ。

未読の黒岩古代史小説はあと数冊になってしまった。
読み終えるのが惜しいので、買ってあるのにまだ手に取れないでいる。

読書雑記G
2007年5月、黒岩先生の古代史小説をまた読み終えてしまった。
もう、新しい作品は発表されないので早読みするのは勿体ないと、ボチボチ読んでいこうと思っていたのに、いざ読み始めると先へ進まずにはいられない程面白かった。

本の名前は『ワカタケル大王』(上・下)。
5世紀半ば、倭国(日本)にまだ仏教も伝来していない頃、中央集権国家を目指して駆け抜けたワカタケル大王(第21代雄略天皇)の古代ロマン小説だ。
ストーリーは大化の改新や壬申の乱よりも血みどろで、戦国時代も真っ青の王権奪取物語だが、宋や朝鮮半島諸国に負けない先進文化を取り入れた国家を確立するために主人公:ワカタケル大王は日本初のグローバルな視野を持った指導者として描かれている。
また、脇を固める舎人や間者も憎いばかりに格好いい。
歴史の考証も緻密で読んでいてとても勉強になった。

古代史好きにはたまらない一冊であることは間違いないだろう。

つづく