宅内LAN構築記録

自宅購入にあたり、宅内LANを構築した記録(といっても、基本的には、配線済みケーブルにプラグとジャックをつけただけですが)


背景

購入した物件は、新築の建て売り住宅。

転居前はマンションタイプの住宅で、集合住宅向けのBフレッツと、プロバイダ提供のIP電話を利用していたが、以前から、NTTの「ひかり電話」に関心があったので、新築住宅への転居を機に、Bフレッツと「ひかり電話」を導入することにした。

1階リビングに置く据え置きのPCまでは有線LANで接続することとし、住宅施工業者に口頭確認したところ、22φ屋内配管が使われているということだったので、ケーブル敷設工事も簡単だろうと想定。

ところが、Bフレッツ工事に先だったNTTの下見の際、屋内配管は、2階の引き込み口から、2階天井裏の点検口までしか通っていないことが判明。ケーブル敷設費用が高額になるかと心配したが、実はすでに、壁の中に直接埋め込む形で、点検口と各部屋の間に、カテゴリー5eのLANケーブルが2本ずつ配線済みであることがわかった。

ということで、ケーブル敷設の問題は解決。あとは、必要な場所にモジュラージャックを増設するのみだが、NTTではその工事は請け負わないということで、NTT工事までにこちらで済ませておくことが必要になった。

住宅施工業者に見積もりを出したら、3万円以上かかるということだったので、ネットを徘徊し情報収集。自力でなんとかやってみることにした。


設計

部屋の美観のこともあるので、Bフレッツの回線終端装置は屋根裏に設置することとする。

ひかり電話を利用するので、ひかり電話対応ルーターの設置が必要になる。下見に来たNTTの担当のお兄さんは、屋根裏にルーターを設置すれば良いと言うが、ルーターにトラブルが生じた場合、再起動などのために、いちいち屋根裏にアクセスするのではかなわない。お兄さんは「自分もひかり電話を使っていて、安定してますよ〜」と言うが、とりあえず信用しない。

せっかくLANケーブルが2本ずつ配線されているので、ルーターを2階の部屋に設置して、2本のうちの1本のケーブルで屋根裏の回線終端装置と接続し、もう1本のケーブルを利用して、一旦屋根裏に戻し、そこから必要な部屋と接続すればよい。屋根裏にHUBを設置すれば、簡単に全ての部屋でLANが利用できるようになるが、ひとまずは、リビング一箇所で良い。

ルーターから出る電話のケーブルも、一旦屋根裏に戻した後に、リビングに下ろす。

ということで、最終的な設計図がこれ

これに従って、必要な部品を調達し、工事を行った


部品・工具の調達

壁面の3連埋込ボックスのカバーパネルは、下部のツメの部分にマイナスドライバーなどを引っかけて、軽く手前に引けば簡単に外れる。実際に外して確認したところ、取り付け枠は、神保電器製「J・ワイド用絶縁取り付け枠:WJK-3」が使用されていた。

この取り付け枠にLAN用のRJ-45ジャックを増設する。規格品なので、家電量販店に流通しているようなものでも良いとは思うが、秋葉原の愛三電機にメールで問い合わせたところ、「微妙なずれが出ることもあるので、メーカーを揃えた方が良い」とのことで、結局、神保電器のジャック「JEC-BN-LA5E」を取り寄せてもらった。1個1,470円と、結構高いが、流通品との価格差はさほどでは無い。

ジャックを増設すると、カバーパネルも、適切な場所に穴が空いたものに交換する必要がある。すでについているパネルを自分で加工しても良いが、愛三電機店頭で神保電器のカタログを見せてもらったら、さほど高いものでもないので、仕上がりの美しさを考えて注文することにした。(WJE-312, WJE-313 各1枚 367円)

そのほか購入が必要になったものは、以下のとおり

以上全て、愛三電機で購入。費用はしめて13,000円程度。

部品代は、モジュラージャックを除けばごく安価。私の場合、RJ-11(6極)プラグも作成する必要があったので、「かしめ」工具が少し割高になったが、RJ-45のみ対応のものなら、もっと安価で入手出来るし、所有している人が近くにいれば借りても良いだろう。

また、LANジャックへの結線については、工具は不要とのことだったが、「俺コン秋葉」で、プラスチック製の簡易で安価なもの(Laneed製@315円)を見かけたので買ってみたら、役に立った。


実際の工事

部品、道具が揃えば作業は簡単。失敗しないように、丁寧に、一つ一つ手順と結果を確認しながら行えば、素人でも十分可能。

ジャック、プラグへの結線パターンは、T-568A, T-568Bの2種類の規格が存在し、どちらを採用しても構わないが、ひとまとまりのネットワーク中では、規格を統一した方が良い。最近はT-568Aが主流のようなので、我が家でもこちらを採用する。

プラグ、ジャックの接続がうまくできたかどうかは、ノートPC2台で実際に通信テストを行って確認した。このために、クロスケーブルが必要になるが、RJ-45プラグ成端の練習も兼ねて、クロスケーブルを自作する。ケーブルの一端をT-568Aのパターン、もう一端をT-568Bのパターンで結線すればクロスケーブルができる。

なお、ケーブルの本来の性能を発揮させるためには、プラグ、ジャックへの結線の際に、芯線の「より戻し」の長さを極力短くするのがコツらしい。このあたりの技術的な詳細については、末尾に挙げた、通信興業さんのニュースレターが非常に参考になった。

自作したケーブルが正しく作成されていることを確認するため、、このケーブルで2台のPCを接続し、pingコマンドで応答があることを確認する。

埋込ボックスからLANケーブルを引き出して外側の被服を剥き、取扱い説明書に従って、T-568Aのパターンで結線する。結線した後に、ケーブルカバーなどを組み立てて、取り付け枠に後ろからはめる。押し込むだけで簡単にパチンとはまる。取り外すには、枠の隙間に取り外し用のツメがあるので、マイナスドライバーを差し込んで軽くひねれば簡単に外れる。

点検口から屋根裏に上半身潜り込んで、目的の部屋からきているケーブルにRJ-45プラグを成端する。点検口内は暗いので、ライトを忘れずに。大抵の場合、付近にACコンセントが設けてあるので、電気スタンドなどを持ち込めば良い。プラグの作り方は参考サイトに詳しいので省略。

1台のPCを、増設したRJ-45ジャックにクロスケーブルで接続し、点検口で成端したプラグをもう1台のPCに接続して、通信が行えることを確認する。通信が確認できたら、取り付け枠をネジ止めし、カバーパネルをはめ込む。あとは同様に、2階の部屋と屋根裏の間の2本のケーブルを完成させる。ケーブルが1本完成するごとに通信の確認を行うこと。

電話のケーブルも屋根裏で折り返し接続するため、4芯ケーブルにRJ-11プラグを成端する。プラグへの結線パターンは、参考サイト及びジャックの実際の結線パターンで確認した。

全てのケーブルが出来上がったら、1階と2階のケーブル間を中継コネクタで接続して、正常に通信できることを確認し、ケーブルをまとめて完成。後はBフレッツの工事を待つのみ。


参考にしたサイト、関連メーカーサイト