湘南電波研究所(SRL)

<サラウンドアンプへの改造>
実験のため、LとRを出力するアンプではなく(R+L)と(R-L)を出力しそれぞれの音量を調整できるアンプへの改造を実施しました。 LP-V3SにはTONEコントロール回路とその切り替えSWが用意されていましたので、TONE回路を殺してそのオペアンプ(4580D) にてRとLの合成をした回路が下図です。Lchに(R+L)、Rchに(R-L)が出力されます。回路図には4スピーカーでの結線方法を記入して おきました。センタースピーカー(R+L)が半分の音量になるようボリュームを調整すれば、並列型のマトリックス結線と同じサラウンド効果が得られます。

但しこのアンプではBTL出力でのT型のマトリックス結線が実現されていません。つまり(2R-L)と(2L-R)を出力したいのです。 また(R+L)の加算はプリ部で約6dBの電圧増加となり、オペアンプの歪が気になりました。この回路でも単純なサラウンド効果の実験が できましたが、もうすこし多様なサラウンド効果を実験できる回路にしたいものです。そこで考えてみた回路が下図です。

この回路は、LchをL⇒ (L-R) ⇒-R、RchはR⇒ (R-L) ⇒-Lへとボリュームでシフトできることが特徴です。1/3の ボリューム位置では(2L-R)や(2R-L)となりT型のマトリックス結線を出力できるはずです。しかしながら、LP-V3Sに備わっていた オペアンプと可変抵抗及び切り替えSWを使うことを前提にしたので、回路インピーダンスがバランスせずあまりスマートにはみえません。 回路図は書いてみたものの作る気になりませんでした。

少し思考を変えスピーカーで合成する方針へ変更してみました。必要なL/R差分信号を作るためオペアンプを一つ追加した回路へ改造を行いました。


この回路は、BTL4chの各出力をスピーカーで合成するので少し判りにくいですが、表に示したモードが作れます (出力は全て反転(-))。 ボリューム位置によりLchは2L⇒ 2(L-R)、Rchは2R⇒ 2(R-L)を可変でき、合成有無の設定にて(2L-R)や(2R-L)を 作ることができます。なおセンタースピーカー(R+L)は、カスケード接続したもう一台のBTLアンプで駆動することに なります。幸いなことにLP-V3Sの入力はミニピンジャックとRCAコネクタの2種が直結されていますので、片方を 入力に使えば、もう一方を2台目のアンプへチェーン接続できます。

このようにして、スピーカー接続を変えることなくサラウンド効果の実験ができ、スピーカー位置や音源に応じた 調整が可能となりました。トーンコントロールやイコライザを超え、はるかにスピーカー性能を引き出せるものが できたと感じます。通常の2ch左右スピーカーで使っても十分に楽しめますので、現代向けのコントローラーである と思います。


おまけ(DC6Vの真空管アンプ)