湘南電波研究所(SRL)

なんとSRLの活動が復活です。最新の開発状況をご報告した最後が2002年10月、 本日は2016年9月なので、15年あまりの歳月が過ぎました。活動を休止した理由は 覚えていませんが、たぶん走りすぎて疲れたのかもしれません。この間に携帯電話が アマチュア無線にとって変わり、スマホにまで変身してしまいました。アンテナ開発事情 も大きく変わりモチベーションは無かったはずで不思議なものですが、 なにか作るということは面白いことが起こるものです。きっかけは、マトリックススピーカーを 作ってみようというメンバーの誘いでした。さて、その内容を紹介致します。

マトリックススピーカーと激安アンプ

<MX-15>
「マトリックススピーカー」という言葉があるか怪しいのですが、要するに3つ(Lチャンネル、センター、Rチャンネル) 以上のスピーカを1つのBOXに入れたものと解釈しています。長岡鉄男氏が「AV・サラウンドスピーカーの決定版!」と お墨付きを出したらしいMX-15という 図面を入手し、製作したのが写真です。小型のスピーカーなので、小さな部屋での使い勝手はとても良さそうです。 設計ではFostex製FE87というフルレンジのスピーカーユニットを使うのですが、手元にあったFostex製P800という ユニットを利用しました。驚くべき音が出ます。普段、如何にいい加減な音を聞いていたことに気が付かされました。

<Lepy LP-V3S>
ここ数年でデジタルアンプ(D級アンプ)が着目される中、激安のアナログアンプの評判が上昇しています。 その最たるアンプがLP-V3Sです。ピュアオーディオやハイレゾを求める訳ではなく、スマホからスピーカーを いい音で鳴らしたいくらいの気軽な感覚で使うには、とても優れたアンプといえます。実は壊しても惜しい 値段ではないので、実験や改造するのに最適です。回路図を示します。(このLP-V3Sは、ミニピンジャックの左右入力 が逆でしたのでご注意を!修繕前の回路図です。)

<マトリックス結線>

一般的にマトリックススピーカーを2ch出力のアンプで駆動するには、マトリックス結線という方法を取りますが、 このLP-V3SはBTL出力のため共通のGNDが無く、一般的なマトリックス結線が使えません。特にこのMX-15の設計 にあるT型のマトリックス結線では、おかしなことになるのは容易に予想できます。

そこで、このマトリックス結線 の意味を考えてみました。キルヒホッフの法則からスピーカーに流れる電流を計算してみます。ちなみにアンプの 出力インピーダンスはゼロ、つまり電圧源と仮定します。アンプIC(TDA7377) のスペックにはMAX4Ω(2Ω/ch)駆動と書かれているだけですので、実質的な出力インピーダンスはそれよりも十分に 低いと考えられます。計算式の左側は4つのスピーカーの場合の並列型マトリックス結線方法で、右側がT型マトリックス 結線です。

計算結果から、いずれの結線にせよセンタースピーカーにはR+Lの電圧、スピーカーLにはL-R電圧、RにはR-L電圧の成分が含まれること が判ります。さてBTL出力のアンプからはどんな電圧が出ているかというと、R端子(赤)には+R電圧、R端子(黒)には-R電圧、 L(赤)には+L電圧、L(黒)は-L電圧が出力されていますから、これらを使ってR+L、L-R、R-Lを作れば良いことになります。 従って、3スピーカーのMX-15では下図の配線をすればLP-V3Sで駆動できることになります。

この配線は、T型結線を再現して いませんが、本来のサラウンドスピーカーの駆動方法を実現しています。

<4スピーカー駆動問題>
メンバーの一人は3スピーカーの結線が難しいことを懸念して、4つスピーカーを使いカスタムのMX-15改を製作しました。 しかし、BTL出力に一般的な並列型マトリックス結線にしたためか、アンプ(LP-V3S)が壊れてしまいました。この配線では +Rと+Lの出力に対しスピーカー(8Ω)が3つ接続され負荷インピーダンスが3Ω以下になります。定格(4Ω)を超えた使用に 無理があったのかもしれません。

負荷インピーダンスをバランス良く配分する配線をメンバーが思いつきました。(上図)この配線ならアンプに無理を掛けずに同じ出力を 得ることができます。但し残念ながらこの結線では、2つのセンタースピーカーにそれぞれR+L電圧が掛かるため、 2倍の電力でセンター音が強くなってしまいます。(NG結線もセンターはそれぞれ2Rと2Lで2倍です) さてセンターの音量を1/2にしたいのですから簡単です。センター2つのスピーカーを直列につなげば完了です。何故かBTLの出力 に気を取られて気付くのが遅くなりましたが、3スピーカーと同様で下図のように結線すれば良いのです。

このように、 実はBTLアンプでもマトリックススピーカーを駆動できます。できるというよりマトリックススピーカの駆動にBTLアンプは適して いると言えるでしょう。
だんだんサラウンドの魅力にとり付かれ、いろいろと実験をしてみたくなりました。BTL出力でのT型のマトリックス結線を試すため、 アンプの改造を始めます。(次へ)


その他の研究