風太の日常・ダンジョンができるまで⑤ と、いうワケで・・俺達は今、外見上は何も変わって無いように見える 我が家の浴室に来てる。 夫婦揃って裸族な俺達は、眷属のラスタも居るのに、ここまで真っ裸で来 ていた。 その所為か、ラスタの視線が有らぬ方向を泳いでる。 家族なんだから、別に見られても気にしないし、構わないのに・・。 師匠は・・俺に加護をくれた神様の所為で慣れてるのかもしれない。 「あ。別に、メイディスで慣れてるとかじゃないからな。ウチの弟子に も裸族が居るだけだし、そもそも風呂場に着衣で入るバカは居ない」 読まれてるぅ・・。 そもそも、向こうの世界の入浴客って、半分以上が神様だっけ。 男神様も女神様も、普通に裸だったしなぁ・・。 中性神相手に、オネェさん・・と言って良いのか、オニィさん・・と言っ たら良いのか、ちょっと迷った程度の困り事は有るけど・・まぁ、匠ちゃ んだったら、すぐ慣れるだろ・・。慣れるよね?俺が慣れたぐらいだし。 「あー・・それと、足元注意な。たまに、踏まれたがりなドM神が寝転 がってるから。まぁ、踏んでも構わんが・・」 「それって、一言掛けた方がイイですか?」 「声掛けするだけムダだから、気にせず踏め。何事も経験だ・・」 「・・イイのかな?」 「気にすんな。・・う~ん、今日は居ないか・・。そこそこイイ経験値 が入るのに・・」 師匠が顔だけ向こうに入って確認してくれたが、居ないのならイイんじゃ なかろうか? それとも、踏ませたかったのか? てか、経験値入るの!? とはいえ・・踏む相手が神様じゃなければ、ゴメンで済むかもしれないけ ど・・罪悪感というか背徳感というか・・Sっ気は無いはずだから、嗜虐 心は出ないとは思うけど・・。 「まぁ・・1回踏んどきゃ、罪悪感も薄れるだろ・・」 あー・・いくら遠慮なく踏めっても、初見の相手を不意打ちで踏まされる とか、罪悪感ハンパ無いもんなぁ・・。 そんな師匠に背を押され、浴場へと歩を進めると・・不意に何か柔らかい ような硬いようなモノを踏んだ。 「ふぎゅう」 「・・・・・・。えっ?」 「ちょ、何立ち止まっ・・にょぇぁ!?」 何!?とは思ったけど、後ろから来てる匠ちゃんに押されるように数歩進 まされ、匠ちゃんもまた、何かを踏んで奇声を挙げてる。 「お?どうs『へぶっ』た・・って、レフィ・・。どっから生えた!」 「・・一瞬、セイルが見えたから、あっちから転移してきた・・」 変態が、あっちと言うので視線を飛ばしてみれば、洗い場で遠い目をした レイさん達と目が合った。 全身泡塗れだけど、ひとつ空いてる場所が有るなぁ・・。 じゃあ、あそこから・・? て、まさか・・この人・・いや、この神様が踏まれたがりのドM神!? 「コレが、さっき言ったヤツな。一応、お前らの兄弟子だけど、マジで 気にしなくてイイからな?」 「僕の加護持ってるし、ちょっとは気にして貰えると・・」 「・・。あぁ、そうだったな。まぁ、気にするだけムダだけど・・」 「ヒドい!」 「と・・こういう流れのコントに巻き込まれるから、ホントに相手する だけムダだぞ」 「あぁ・・はい」 「セイ兄ぃ、神様って変態しか居ないの?」 「変態しかいないワケじゃなく、割合的に変態が多いんだよ。何故か、 上位の神に成るほど・・。とはいえ、それはヒトとして見るから変態 呼ばわりされるだけで、神として見た場合は、これでも普通だぞ」 「・・・・」×2 揃って絶句してたら、変態さんが匍匐前進で洗い場へと戻って行った。 ホントに、何しに来たんだろ? 「とはいえ・・あぁ・・2人共レベルが上がったな。風太はともかく、 匠ちゃんは一気に10まで上がってるし、これならダンジョンにも行 けそうだな」 「ぇ、今ので!?」 「だから言ったろ?そこそこイイ経験値入るって。称号も1コ出たみた いだし・・」 「称号・・?」 確認してみたら、確かに、新しい称号が有った。 その名も【極位神を踏んづけさせられし者】。 あぁ・・自分から踏みに行ったワケじゃないもんなぁ・・。 効果は、対神特効・対上位神まで、物理&魔法ダメージ7倍・被ダメージ 90%カット・急所攻撃完全無効・スキル無効化フィールド無効。 ・・・だからさぁ・・チート過ぎるって!! 師匠に、じっとりとした視線を向けてみたら、ニヤりと微笑まれた。 「なかなかの壊れ性能だろ?」 「自分から踏まれに来る辺り、神としてどうなのさ?」 「アレは仕様だ。這い寄る生体足拭きマットが居ると思って諦めろ」 「見た目が子供だから、罪悪感が凄い・・」 「そこ気にすると、拗ねるからな。メンドクサイ思いしたくなかったら、 動くぬいぐるみだと思って、黙って踏んでけ。そして、あぁ居たの?で 済ませろ。それが一番気楽だ」 「うぅ・・そ、それでイイなら・・」 「匠ちゃん、慣れるの早いよ・・」 その後、匠ちゃんにステータスの確認方法を教えつつ、洗い場へと向かう。 ・・今朝も来たのになぁ・・と思いながら、レイさんに挨拶したら、同情的 な視線を向けられてる気がした。 なんでだろう? 「セイルが一緒だと、だいたいみんな同じ目に遭うんだよね・・。レフィ さん、セイルのコト好き過ぎるみたいだから・・」 「どんだけ踏まれたいのさ・・?」 「困っちゃうよねぇ・・。もう慣れたけど」 どうやら、被害者は大勢居るみたいだ・・。 ≪つづく≫