続・はじめてのしゅぎょう

 俺、風太。
来年のダンジョン生成に向けて、異世界のダンジョンで修業中・・。
相方に、加護をくれたセイル様と、2人の猫耳少年を据え、魔物との
戦闘と、ダンジョン内の歩き方なんかを教わってる。
ちなみに、2人の猫耳少年・・レイは弟子で、リュートは相棒って言
ってた。
・・弟子と使徒(笑)って、どっちが格上なんだろ?
なんとなく、思ったコトを聞いたら、即答で『弟子』だった。
(笑)が付いてなくても、弟子の方が上だってさ。
何故なら、神の直弟子な時点で、次期神候補だからだそうな・・。
使徒は、地上に於ける神の代理だから、神候補に比べれば下位って話
なワケで・・言われてみれば、確かに・・。
そんな会話をしながら、ダンジョンの2階層を探索中・・。
ちなみに1階層は、探索者達の溜まり場になってて、そのまま素通り
してきた。
2階層に出る魔物は、ラノベではザコの代名詞・・頭文字Gな魔物、
ゴブリン!
ダンジョン内だと群れても数匹だけど、フィールドではGの付く台所
昆虫よろしく、1匹見付けたら30匹は居ると思え!と、脅される。
まぁ・・ダンジョンから溢れない限りは、大丈夫だろうとも言われた
が・・え!?溢れる可能性、有るの!?
出入口を塞いだり、攻略が滞ったりすると・・・有るらしい。
日本政府って、基本的に何でも後手に回るのが趣味らしいから、色々
問題が発生しないと対策しないんだろーなぁ・・。
可能な限り、【俺が】なんとかしないとダメなのかも。
ともあれ、今は、目の前のゴブリンを対処しないと。
人型モンスターの基本的な弱点は、人間と同じで、心臓と咽喉。
狙えるなら、目や口なんかに槍や剣先を突き立てるのも有効と言われ
たが・・対人戦闘って、あんま慣れたくないなぁ・・。
いくら、意思の疎通が不可能な相手とは言え・・ねぇ?
ちなみに、ダンジョンモンスターは、倒すとダンジョンに吸収されて
消えるらしい。
時々、アイテムや宝箱なんかがドロップされるみたいだけど、基本的
には、魔石だけが残るらしい。
逆に、フィールドモンスターだと、解体や死骸の処理なんかが必要に
なるみたいだけど、肉や骨等の素材や、装備品なんかを取得できる事
を考慮すると、儲けの方が多いかも。
でも、モンスターが闊歩する世界になるのは避けたいなぁ。
やっぱ、危険と安全は明確に分かれてた方がイイよね。
とりあえず、目前のゴブリンはサクッと一撃で屠り、次に行く。
しばらくゴブリン達と戯れたのち、3階層へと移動する。
今の俺のステータスだと、パワーバランスが崩れ過ぎてて、一桁台の
階層だと相手に成らない。
なにしろ、10階層のボス(ミノタウロスだった)を剣の一振りで爆散
させちゃうぐらいだから。
そんなだもんで、罠の見分け方とか解除の仕方とか色々習った後は、
一気に250階層までダッシュで駆け下りた。
というか・・下層への直通ピットフォールを使ってのショートカット
とか、ずいぶん手馴れてるなぁ・・。
ちなみに、このダンジョン・・最深部は1500階層だってさ。
誰が、そこまで行ったのかと思ったら、一緒に来てたレイさんのパー
ティだったよ。
しかも、3人だけで半年掛かりだったとか。
・・・早くねぇ!?
1日約100層換算なんだけど・・。
って、思わずツッコミ入れたら、その時に直通ピットフォールを発見
したから、半年でイケたらしい。
トラップも使いようなんだなぁ・・。
とはいえ・・250階層の魔物でも、ほぼ瞬殺なのは如何なものか。
その後は、もう・・某RPGよろしく、ガンガン行った!
途中、《不死の王》とか《不死の王》とか《不死の王》なんかがゴロ
ゴロ出て来るもんだから、いつの間にか《不死の王》を1体、テイミ
ングしちゃってた。
普通、最上級アンデッドなんて手懐けられないはずなんだけど・・っ
て言われたんだけど、ステータスに新たな称号《死者を統べし者》と
か付いてたから、きっとコレの所為だ。
つーか・・《不死の王》って、1体で国が亡ぶレベルの魔物だよね?
超深層系ダンジョンとはいえ、ちょっと出過ぎじゃね?
テイミングしちゃえたのもビックリだけど、この人(?)見た目が普通
の人間と変わらないから、街なか一緒に出歩けそうな勢いなんだわ。
外見年齢も、俺と大差無い気がするし・・って思ってたら、享年27
才だってさ。
俺の1コ下じゃん!
なんで死んだのよ!?って聞いたら、元・冒険者で、ダンジョン探索
中に死んだ後、気付いたらアンデッド化して、色々あった後、いつの
間にか《不死の王》として活動してたらしい。
《不死の王》に進化するまで狩られずに生き(?)延びるとか、一体何
年前の冒険者だよ・・?
まぁ・・魔法主体じゃなく、物理もある程度イケるみたいだから、こ
れからの相棒として、アテにさせて貰おう。
名前は、【ラスタ】にした。
ちなみにレベルは350・・。
俺より高レベルなのに、なんでテイミングできたのか、凄〜く不思議
なんだけど・・称号だけじゃなく、加護の所為でステータス爆上がり
な所為じゃないかなぁ?
ちなみに俺、今、259。
修行に来てから、224も上がってた。
ステータス値は・・盛大に文字化けしてる。
種族?・・【人外(亜神)】って出てる。
つーか、それって【神】だよね!?
やっべぇ・・俺、使徒(笑)どころか、神格得ちゃってるじゃん!
セイル様、どうしよう!?
 「風太・・。お前、もう、俺の弟子になるか?そしたら使徒(笑)は
  消えるけど、代わりに【幻皇の弟子】って称号が付くぞ」
 「イヤな予感しかしないけど、それって、どういう効果付くの?」
 「【使徒(笑)】の効果が、種族進化値倍加っつって、レベルの上昇
  時にステータスに見合う身体に細胞が最適化される。俺らの加護
  を得た時点で、これが無いと、レベル10ぐらいの段階で身体が
  爆散してたかもしんない。早い段階で気付いて付けたから、(笑)
  が付着してたんだ。で・・【幻皇の弟子】の効果は、それまでの
  過程で進化に進化を重ね、神化した者に加護を与えた神が与える
  最上級の称号だな。更に、進化速度にボーナスが付く」
 「それ・・何処まで行くの?」
 「ん〜・・まぁ、風太の歩み次第だけど、自分の世界を創造可能な
  上位創造神辺りなら余裕じゃないかな?」
 「創造神!?」
 「俺の弟子に成るってコトは、そういう事なんだよ。まぁ、創造神
  っても俺と関わり無い連中なんかは、結構ピンキリだしな・・」
セイル様・・それって、確信犯だよねぇ!?
その後・・結局、最下層の1500階層まで攻略して、元の世界に帰
還したんだけど、その時点でのレベルは721に到達していた。
ちなみに《不死の王》ラスタは、隠し最上位種《不死の皇帝》に進化
し、レベルも669まで上がってた。
あっちで1ヵ月経ってたはずなのに、こっちに戻ったら、出発した日
の昼過ぎって・・ウチの番猪を気遣ってくれたのかな?
しばし柏と楓をモフってると・・早々に、ステータスの隠蔽を教えら
れ、地球の神から睨まれないように神威防護フィールドとかいう魔法
で、俺とラスタ、そして、俺の家と土地までが保護されてしまった。
これで、セイル様以外の神には気付かれないし、悪意有る者の侵入も
妨げられるらしい。
神の目を欺くってコトは、つまり・・はっちゃけ過ぎたワケか・・。
来年まで、おとなしく暮らすのが正解なのかもしれない。
とはいえ、ここを知ってる知人も居るしなぁ・・。
そんなコトを思いながら、まだ昼なのに5人で宴席を囲んだ。
これって、御神酒になるのかしら?
それと・・レイもリュートも、子供にしか見えないんだけど、飲酒し
て大丈夫なのか・・?

                       ≪つづく≫