帰還者 俺の名は、式瑞風太。28才、独身。 年末ジャンボで高額当籤・・は、無理だったけど、年始の初ロト で1等当籤!! それを元手に田舎に家付きの土地と山も買い、会社を辞めて引き 籠り生活に突入! 毎日、ゲーム三昧の日々を送り、たまに筋トレがてら畑を耕して いる。 ちなみに、農家ではない。 なにしろ、家には大金が有る。 銀行は超絶低金利時代なので、預ける気にもならず、タンス預金 のNo金利だけど、その分、税金も掛からない。 強盗にさえ気を付ければ、このまま数十年は余裕だろう。 ついでに、毎週ロト買ってるしな。 そんな俺は、数日前・・何の因果か、異世界転移を体験した。 ただ数時間、滞在しただけの異世界転移だ。 ステータスが見られなかった所為で、大混乱&号泣の末、現地の 人に全裸を晒す痴態を披露。 だけど、向こうで偶々遭遇した人がイイ人だったお陰で、俺は戻 って来られたんだ・・裸体を見られるハプニングは有ったが。 戻ってすぐ、教えられた通りに、右手指先で、蟀谷をツンツンし たら・・確かに、ステータスが見られた。 大事なコトだから2回言う。 ステータスを!確認!!できた!!! ・・けど、そのステータスが原因で、今、悩んでる。 名前 :式瑞風太 年齢 :28 性別 :男 種族 :人間 職業 :なし 属性 :中立 Lv :7 HP :5800000/5800000 MP :3480000/3480000 STR:13500(100+13400) DEF:14200(200+14000) DEX:280 AGI:4480(80+4400) MIN:15600(50+15550) VIT:24200(120+24080) LUC:7777 装備 :光輝のパーカー,雷虎のハーフパンツ 聖戟のサンダル,魁塵刀・轟炎,壊塵刀・曝氷 スキル:身体能力上昇Lv Max,精神防御Lv、6 魔力上昇Lv,5 長柄武器Lv,8 剣術Lv,8 刀術Lv,8 小太刀Lv,8 投擲Lv,8 二刀流剣術Lx,9 二刀流武器術LV,9 全言語理解 全言語解読 鑑定Lv,Max 異界通信 韋駄天 超幸運 農耕 筋力増強 成長促進Lv,Max(取得経験値1000倍) 遅老化 隠蔽 隠密 全属性魔法 一撃必殺 鍛冶 瞬着 称号 :裸族,異世界転移者,異世界帰還者,神に遭遇せし者 加護 :幻皇セイルの加護,幻王レフィルートの加護 なんだこれ!? 貰い物とはいえ、何気に防具が強力だった。 あと、武器が強過ぎる・・ってか、完全に銃刀法違反だよね!? これ、ポケットのインベントリに入ってた武器だけど、二刀流専 用なうえに【小太刀】だったんだが・・なんでスキル有るんだ? 俺、習ったコト無いぞ!? てか、裸族って称号なんだ・・。 いや、まて!それ以前に、スキルが多過ぎる!! 覚えてても不思議じゃないのは、農耕ぐらいだぞ!? まさか・・転移特典? 称号や加護に因るのかもしれんけど、これはヤバ過ぎる!! これ、普通に向こうの世界でも生きれたんじゃね? 1年後だか2年後だか知らんが、それまで大人しく・・は無理か もな。 つーか、セイルさん達!神なら神って言ってよぅ・・。 ファーストコンタクトは事故だけどさぁ・・。 あと、瞬着スキルが何気に使い勝手良過ぎる。 インベントリ内に入ってれば、着替えを念じるだけで装備可能と か、何処の宇宙刑事だよ!? とにかく、ダンジョンイベントまでは大人しくしてよう・・。 ピンポーン♪ そんなコトを思ってたら、誰か来た。 基本、ウチに来る人なんて、宅配か郵便ぐらいだぞ? ただ・・今週は、宅配が来る予定は無かったし、郵便なんか、そ れこそポストに入れてけよ!って感じだし・・ホントに誰だ? 急な来客でも便利な瞬着で装備を整え、玄関に向かうと・・ 「よぅ、風太!・・連絡無いから、来ちゃった」 orz.. 何故か、そこには朗らかな笑みを浮かべた神様が居た。 「セ、セイル・・様」 「なんだよ、他人行儀だなぁ・・。入ってイイか?」 「あぁ、はい。どうぞ・・」 神らしさが欠片も無い客にスリッパを勧め、我が家の居間へと誘 導する。 ・・確か、水出し麦茶が冷蔵庫に入ってたはず・・。 俺は、麦茶をグラスに注ぎ、居間のテーブルに出した。 「まぁ、どうぞ・・」 「お。ありがとな」 「で・・どうしたんですか?」 「ん?ん〜・・まぁ、一応、加護を与えた者としての責任・・ という名の御機嫌伺だな。あと、スキルやら、この後の展開 やらの説明と・・風太自身の無事の確認もな」 「はぁ。一応、色々ツッコミどころは有りますが・・神様って こんなにホイホイ下界に降りて来たり、人前に姿見せたりし て、大丈夫なんですか?」 「あぁ。俺、地球担当神じゃねぇし、他神担当域うろついてて も、極神隠形常時発動だから見付からねぇよ。うっかり見付 かったところで、文句なんか言わせねぇし・・」 「・・。もしかして、かなりの上位神だったりします?」 「世間一般で言うところの最上位神を問答無用でパシれる程度 には上位だな。だから、この先に生じるダンジョン生成イベ ントも分かったというか・・」 「そういう情報、まだ何も知らない人間にリークしちゃって良 かったんですか?マズいっしょ!」 「気にすんな。そもそも、ここの最高神は、他神が気に入った 相手に加護与えた程度でグダグダ言うヤツじゃねぇよ。むし ろ、ボーナスが付くぐらいだと思って、気楽に構えとけ」 「そ、そうなんですか・・」 「そうさ。で・・本題な」 「はい」 「スキルについては、今までに生きて来た中で取得可能レベル だったのが8割ぐらい。それらが、俺とレフィの加護で強化 された所為で、5〜8ぐらいランダムアップしてる。ガッコ の授業で、剣道とか柔道とか合気道とかカジってないか?」 「あー・・・はい、有りますね。全部、経験してます」 「そこいら辺が、レベル1だったのが全部、ランダムで上がっ てるハズだ。それと、小太刀スキル無かったか?」 「有りました」 「それは、武器の装備特性だ。装備した時点で、片手武器系の 最高レベルを参照して、同レベルで生えるから、最初から高 レベルじゃなかったか?」 「はい・・8でしたね」 「ちなみに、MAXで10な。全言語理解と全言語解読、鑑定 は、あっちの世界に於ける転移特典。鑑定レベルが上がって ると思うけど、そっちはレフィの加護。あー・・と、レフィ は俺の弟子で、11柱居る幻王の頂点な。異界通信は、こな いだ生やしたヤツ。成長促進は俺の加護。最初からマックス にしといたから、活用してくれ。魔力上昇と精神防御、全属 性魔法も俺の加護だな。遅老化は、肉体年齢がスキル取得と 同時に12年戻ったあと、老化速度が0.01倍になる特殊 スキルで、俺とレフィの加護が原因だ」 「えっ!俺、今28っスよ?肉体年齢マイナス12って、16 ん時の身体じゃないスか!?どおりで、最近、身体が軽い気 がすると思ったら・・」 「実年齢は28のままだから、誰かに何か言われたらテキトー に誤魔化しとけ。あと・・韋駄天は、部活で陸上とか、やっ てなかったか?多分、それ系統で生えたのが上級化したんだ と思う」 「あ。中学で短距離やってて、県大会優勝してます」 「それだ!だとすると、隠密や隠蔽も、何かキッカケが有った はずだ。一撃必殺は、隠密・刀術・小太刀・身体能力上昇か らの複合派生スキルだし、農耕と筋力増強は、普段の生活環 境から生えたんだろう。あと、超幸運?・・宝くじでも当た ったか?」 「あっ、はい。年始にロトで10億・・」 「それで幸運が生えたあと、俺らの加護で強化されたんだな。 あ〜と〜は〜・・瞬着は称号・裸族とインベントリの複合ス キルだし、称号の異世界帰還者は、ラックアップ10倍か。 アホほどラック値高いから、迂闊に宝くじ買うと、当たり捲 るから気を付けろよ?普通、どんなに幸運でも、100まで は行かないモノなんだからな?あと称号・神に遭遇せし者。 これは、HPとMPの上昇値に超絶補正ブーストが掛かる。 ちなみに、ブースト値はランダムだ。まぁ、レベル7でコレ だから、超幸運が仕事してるっぽいな」 「ぅわぁ・・道理で、人間離れしたステータスだと思ったよ」 「あと、称号・裸族。これ、全裸状態の場合のみ、全属性ダメ ージと全状態異常無効だぞ」 その言葉に俺は、口に含んだばかりの麦茶を噴いた。 それはもう・・虹が煌めく噴霧レベルで・・。 うっかり、セイル様に向かって噴いちゃったけど、不思議な力で 直角に曲がって逸れてった。スゲーな・・。 「装備対象は防具のみ。武器とアクセサリー系は対象外な。こ れ、寝てる間に火事になっても、全裸だったらノーダメージ なんだが・・。毒の沼地にマグマ地帯、ブリザード吹き荒ぶ 極寒フィールドなんかも、全裸だったら無敵って、チートも 良いトコだぞ!?見た目さえ気にしなきゃ最強じゃん・・」 「野外露出の公開プレイって、どんな罰ゲーム!?」 「あぁ、でも、物理ダメージは普通に喰らうから、それは避け ろよ?あと、分かってるとは思うけど、前張りはアクセじゃ なくて、防具な」 「おぉぅ・・やっぱり・・」 「こんなところか・・?あ、職業は、ダンジョン出現直後に解 放されると思うけど、お前の適性は魔法剣士か魔法戦士な。 それ以外だと、あんまりステータス生かせないと思うから気 を付けて。忍者系もイケるとは思うけど、魔法適性が活かせ ない時点で論外だと思え」 「あ、はい。1,2年後でしたっけ?」 「そうだな・・。最速でも、来年の5月連休中だな。この土地 にも発生するから、震度5クラスの直下型地震が発生したら 要注意だと思った方がイイ。タンス預金は、インベントリに 保管するコトを推奨するぞ。・・あぁ、思い出した!遭遇し た日に、インベントリを風太専用に調整しといたんだ。スキ ル表示されないけど、それは仕様だから。害獣駆除とか害虫 駆除なんかでも経験値は貯まるけど、モンスター討伐の方が ワリが良いのは確かだから、頑張って生き延びて・・可能な ら攻略してくれよな。ダンジョンってのは、神の試練だ!な んて言われるコトもあるけど、ぶっちゃけ、上位互換の新素 材を世界に解放するコトを目的とした宝探しなんだ。そこに は、元々その世界には存在しなかった物質や素材、技術なん かが無数に詰まってて、融合した世界の人類全体を進化させ るコトを目的としてるんだ。俺が、こうして風太に肩入れす るのも、ある意味、進化を促すコトに繋がる事象だと認識し て貰いたいね」 「先行投資にしては、莫大な気がするんだけど・・」 「じゃあ、そろそろ行くな。軽くレベル上げに協力してやるか ら、近いうちに通信寄越せよな、俺の使徒♪」 「ぇあ!?」 不穏なセリフを残して、セイル様は消えてしまった・・。 ふと、ステータスを確認してみたら、称号に【使徒(笑)】の文字 が追加されていた。 てか、(笑)ってなんだ!? 称号特典は『ひ・み・つ・・(はぁと)』って、おいぃ!! こうして俺は、幻皇様の使徒になった。 レベル上げの協力とか、どんだけ俺に期待してんだ!? とりあえず、今年は秋までにクマでも狩るか・・。 いきなりモンスター相手だなんて、とんでもない!! ≪つづく≫