続・強制勇者 元の世界で、既にLv,500オーバーだった俺達は、こちらの世界でも同じ レベルだったのが幸いし、遭遇する敵性生物は完全なるザコに過ぎず・・ とても楽勝な道程だった。 件の魔王が支配する国に入国するまでは・・。 どうやら、この国には結界が張られているらしい。 しかも、効果は【敵対勢力の弱体化】&【守護対象の強化】ときた。 ステータスを確認してみたら、≪状態異常:レベル半減≫だと!? ヤバい・・。 確かに、全ステータス値にマイナス修正が付いてやがる。 だが、立ち寄った村の住人や、冒険者と思しき連中をこっそり鑑定してみ ても、だいたい皆レベルが低い。 これは、俺達が高レベルなのか・・それとも、こいつらが低レベルなだけ だったりするのか?? ・・分からん。 なにしろ、対照となる一般的なレベルが分からないからなぁ・・? まぁ・・とりあえず、魔王とやらを確認してみないコトには、対策を立て ようが無い。 俺達は、地図を片手に標高低めの山に登ると、遠見の魔法を駆使して魔王 の姿を捉え見た。 ・・・う〜ん・・魔王呼ばわりされるほど厳つい顔には見えないんだが、 ステータスには、確かに【魔王】の称号が付いている。 レベルは・・う〜ん・・俺達と比較したら低いんだが、それでも450なら 高い方だと思う。 というか、この世界にもLv,100越えの猛者が居るじゃん。 「どーしよ?」 「そうねぇ・・このくらいの距離なら、ちょっと一撃必殺には弱いか もだけど、イケるかもしれないわよ?」 「さすがに気付けねぇだろうし、俺らも全力で補助するから、やって みっか?」 「・・そうね。殺ってみましょう」 善は急げっ・・てワケでもないが、俺達は思い付く限りの攻撃補助魔法を ウーニャの周囲で展開し、魔王への超々遠距離スナイプを実行に移した。 結果は・・成功した。 暢気に紅茶を飲みながら読書に耽る魔王が、脳漿を飛び散らせながら轟沈 する姿を確認し、その一部始終を録画魔法に収めた俺達は、早々に魔王国 を脱出した。 そうして戻った俺達は、やっと元の世界に戻れると喜んだんだけど・・。 「よくやった勇者達よ!!では・・次の魔王の始末を頼むとしよう」 「・・えっ」 「次の・・って、どういう事!?」 「おお、言ってなかったかな?この世界には、全部で100匹の【魔王】 を名乗る輩が居るのだよ。その総てを根絶やしにするのが、お前達 との契約だ」 「なん・・!?」 「聞いてねぇぞ・・」 「さぁ、さっさと退治に行くがいい、勇者達よ。ふぁははは・・」 「くっ・・」 召喚された挙句に、態よく使われるだけだと知った俺達は、ようやく騙さ れていたコトに気付いたが、それも後の祭りだった。 その後・・俺達は国を脱出し、魔王討伐を隠れ蓑に世界の果てまで逃げる 事にした。 最初に殺してしまった魔王の冥福と、あの国に、俺達が逃げた事を気付か れないように祈りながら・・。 俺達の逃避行は続く。 いつの日か、元の世界に戻れる術を見付ける為に・・。 《つづく》?