「京都市長には、こんな人になってほしい」  <No.4>

<市民が求める市長像>を考える集い

 

      日  時:平成15年7月13日(日) 午後1時30分〜5時

      場  所:京大会館101号室

ゲスト:白井文氏(尼崎市長)

 ゲストとして尼崎市長の白井文氏を迎え、尼崎のことを紹介していただき、その後忌憚なく意見を交換した。

 

◆話題提供:白井文氏(尼崎市市長)

市民が市長を自ら選んでいくことは素晴らしいと思う。このような流れを広めていけば、日本も変わっていくと思う。私も少しでもお役に立ちたいと思う。

私は、昨年の12月に尼崎の市長になり、いまで7ヶ月務めた。当選するまではほとんどマスコミの取材もなく、私は泡沫候補だったようだ。

マスコミが騒いだ理由は、5党相乗りで3選となる現職を、無党派42歳(当時)の女性が破ったからであり、また女性市長では一番若かったからのようだ。これに乗ろうとしてもそうはいかず、「悪戦苦闘する姿を見てもらおう。その方が私らしい」と思うことにした。

私は生まれも育ちも尼崎。選挙にも興味がなかった。それが議員の不正で解散出直し選挙となったとき、政治が身近に感じられるように、関心を持ってもらうために、プロでない者が出た。私も市会議員に立候補、当選した。これが10年前。

私は8年間頑張ってきたが、議会はすごいところで心身共に疲れ果てた。「もう一度地域に戻ろう」と考え、充電期間として立候補しなかった。そして、一年ほど前「市長選に出ないか」と言われるようになった。「とんでもない」と思っていた。しかし同期の議員にもすすめられ、加えて様々な団体やグループからもエールをもらった。私自身、議員のときは常々市長のあるべき姿を訴えてきたが、それは誰かがやるものと思っていた。しかし、熱心に言われてそれならと思った。私自身はカリスマ性も能力もないので、みんなと一緒になってやろうと思った。

選挙については、10の約束をうたい、それに賛同してくれる人が勝手連として応援してくれた。発起人に20名余の人が集まった。それぞれが応援部隊を持っている人だった。このメンバーを見た時「勝てる」と感じた。なぜなら、みなさん熱くまじめで、私利私欲に走らない人だったから。それぞれが団体を背負っているが、皆「このままではいけない」と思っていて、一致団結できた。

よく動く人たちと行動を共にし、多くの人が集まった。私は駅やスーパー立ちを中心にして、会場での演説会はほとんどしなかった。

私にとって、選挙戦は楽しかった。これがなければ知り合えなかった人の輪やネットワークが広がった。そして、いろんな人が頑張った、誇りに思える選挙だった。

投票日1212日、天気がよかったせいか、投票率はこれまでの中で最低の32.5%。私たちは投票率が40%ないと勝てないと考えていたが、当選した。

当選が決まった後、たくさんの人が「おめでとう」と言ってくれた。それに「尼崎市民はエライ」と言う言葉が必ず付いた。尼崎市民はすごい、私のような人間に「応援してみよう」と票をくれた。尼崎市だからできたことで、私はこれを誇りに思っている。これは10年前に議会を解散させたエネルギーを市民がいまも持っているからだろう。

政党でなく、市民が市政を作っていくのは、これからの新しい流れだろう。市民に提案をし、どんな事業をするか、施策を打つかを審議していく。そのためには情報の公開ではなく「情報の開放」と「共有」が必要となる。

皆さんが、京都の新しい動きの鍵を握っている。京都・尼崎の関西から政治を変えていきたい。がんばってほしい。

 

「市長を選考する基準案」意見交換

 

■京都市役所は、内部で検討委員会を設置してもがんじがらめ、責任は棚上げされている。単に職員の問題ではなく構造に問題がある。無駄使いや談合などの利権は、根本的に考える必要がある。このためには、市長にしがらみのない人が必要。この課題に体を張れる勇気のある人を望む。

 

■私は、老人施設を早く何とかして欲しい。他にも問題はあるだろうが、優先順位を上げて取り上げて欲しい。選挙の争点にもして欲しい。

 

■三山は、常に開発の対象として狙われている。また廃棄物が持ち込まれている。この問題は、京都の環境問題として一番重要。「山紫水明」「三山」という言葉を入れて欲しい。

 

■私は項目をこれ以上増やすべきではないと思う。現市政の問題点は、市民の要望が実現されないことであり、具体的な課題は、市民の提案を受け入れる市政が実現すれば、解決されていく。

 

■これらの8項目は今の段階で、私たちが望んでいること。どの項目が今後より前に出るかは、候補者との関係もあり、まだ分からない。

 

■公募開始のためリーフレットづくりを進めている。市民の方に私たちの運動を知ってもらうこと、これを見て自薦・他薦の人が名乗りあげてくれること、この二つを大きな目的としている。

 

■「市長像」「基本姿勢」は市民の会が求める基準として整理している。個別の政策は発表の段階では考えていない。しかし候補者を選んでいくときには、候補者それぞれの考えを聞き、具体的なところでも判断することになると思う。

 

■「市長像」は選ぶ基準にして、「基本姿勢」を全面に出して「こんな市長を求めています」としてわかりやすくしたい。これが、いわば政策協定のようなものになるのだろう。白井さんは政策協定を結ばなかったそうだが、私も結ぶ必要はないと思う。

 

■名乗り出る人を待つのか。あるいは会から人を捜すのか。

 

自薦・他薦の両方を公募する。どちらを優先するか、世話人会では議論しているが、同じように募集して基本姿勢を伺っていきたい。

 

自薦の人は、「基準」を見て応募してもらう。他薦の人は、「この人ならできる」と思う人を推薦してもらう。

 

■「市長像」には、みんなの要望と願いが凝縮されている。項目それぞれに矛盾はないと思う。また「これはできない」といわれれば、無理は言えない。全ては、白井さんのように「市民の声を聞く」と言うところに凝縮されるような気がする。

 

■どのような市長がいいか。「この人なら、何とかしてくれるだろう」と思われることが大事。「勇気を持つ」という資質が重要なのだろう。

 

■項目を増やすか減らすかについては、どうすれば市民に伝わるか、という視点から工夫したらいいと思う。ぜひ、京都の閉塞感をうち破って欲しい。京都市民には変える力があり、市政を変えていこう、と訴えるのは工夫のしどころ。

 

■京都は146万市民のうち、1割が学生で、学生が多いまち。学生にとっては京都で就職、あるいは起業できる機会があって欲しい。京都で学ぶモチベーション、誇り、アイデンティティのようなものがあり、それが自分の進路に結びつく形の施策や機会があれば、面白いと思う。

 

■市長が政策を立案したとしても、実行するには限界があるだろう。それをバックアップすることが必要。通った後も、市民参加ができるような仕組みが必要。

 

■政策を並べて「これでどうですか」と訴えることもできようが、「市民の苦しみを自分のこととして捉え、取り組む情熱を持った人」というような姿勢を問うてもいい。きれい事を並べるだけなら誰でもできる。一緒に実行する姿勢が大事。

 

■どのような人に市長になってもらうか――私は「ごく当たり前」の人になって欲しい。当たり前の感覚で生活している人。歴代の市長を見ていたら休みがない。これはどこの市長も同じこと。休むときは休むというごく当たり前の生活リズムで頑張る、勇気ある市長になって欲しい。そうしないと、人間らしい政策は生まれてこないだろう。

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