裁判の日程
町の反論に思う
 被告は、「原告らが求めていた本件焼却施設、し尿処理施設の移転に要する被告の財産負担は莫大である。」と主張し、「施設移転により被害感情は慰謝されているはず」とも言う。

被告は原告ら周辺住民に対し、「君らが被害を我慢し続けないで移転を求めるから金がかかった。」と主張しているのである。

表現の違いこそあれ、被告の原告ら周辺住民への対応は一貫してこの様なものであり、原告ら周辺住民は到底慰謝されない。しかも被告の主張にはごまかしがある。

 第一に、施設の移転に財産負担を要したのは、原告らが移転を求めたからではなく、長年の杜撰な環境行政によって、周辺住民や周辺環境に害をもたらす施設であったからである。
9億円をかけて焼却施設を改修せねばならなかったのも、余りに劣悪な施設だったからである。被告の環境行政が、余りに杜撰なものであったことは、多くの報道によって示されている。

 第二に、移転によって莫大な財産負担が必要となると言うが、移転しなくても、被告の杜撰な環境行政の結果、莫大な財政負担を必要としたのである。

 施設を維持管理するコストは平成5年には3億7700万円に達している。単純に年数を乗じると15年間では56億円になり、今後15年間で被告が篠栗町に支払う処理委託費を優に超えるのである。

そのうえ、被告は、周辺住民に被害を転嫁し犠牲を強い、周辺住民に対する補償責任を怠っている。

例えば被告は、新施設のため、篠栗町に地元対策費の負担金として2億4千万を支払ったと言う。負担したのは、被告志免町のみではなかろうから、地元対策費の総額は莫大なものとなろう。そして、篠栗町に建設される施設による周辺の環境や住民の影響は、本件焼却施設による影響に比して格段に少ないものである事は否定しないはづである。移転しなくても、被告の杜撰な環境行政の結果、莫大な財政負担を必要としていたのである。

 第三に、施設の移転は、原告ら周辺住民らのためにのみ為されたものではない。海洋投棄処理の廃止などの要因のほか、志免町の全住民利益の為である。

準備書面 (1)より 平成15年3月19日