協定書締結と  大改修
 平成7年6月以降に発覚した前記のような被告のひどい違法操業について、周辺住民は被告に対しても強力な指導監督を要請した。

 ところが、被告は、本件焼却施設による影響を最も大きく受ける志免五町内会に対して、本件焼却施設を大規模補修することよって公害が出ないようにしたい旨の申し入れをしてきた。

 しかし、志免五町内会では、被告に対する信頼を喪失していたことから、大規模補修よりも前にまず以前から町長が公言してきた移転計画を具体的に明らかにするよう求めた。

 その後の志免五町内会と被告との交渉の結果、被告は、1日20トン以下という焼却量の厳守、午前8時から午後5時までの操業という焼却時間の遵守(ただし正月と盆を除く),、日曜は焼却を行わないこと、平成16年までには確実に本件焼却施設を廃止すること、排ガスの国の基準を遵守すること、以上に違反した場合は焼却炉の運転を中止するとともに5000万円を本件焼却施設跡地活用のための基金として積み立てることなどを約束したことから、平成8年4月13日には、志免五町内会長と被告の間で協定を締結されるに至り、大規模な補修工事がなされた。

 ところが、平成9年4月、被告が1日20トンを超過するごみを焼却していた事実が発覚したため、志免町内会では、被告に対して、協定違反であることについて抗議するとともに、協定に従って5000万円を基金に積み立てるよう要求した。しかし、被告は協定書違反の事実を認めて謝罪はするものの、協定で約束した基金への積み立ては拒否した。

 それどころか平成9年10月、被告は志免五町内会に対し、焼却時間の延長と焼却ごみ増量を申し入れ、協定の変更を要請してきた。しかし志免五町内会では、協定で約束した基金の積み立ても守らないままでの被告の自分勝手な申し入れを拒否した。

 なお、平成9年に、志免五町内会において、本件焼却施設周辺に居住する住民のガン死亡率を調査したところ、いずれも、全国平均、福岡県平均、志免町平均に比して有意に高いことも分かった。これらの原因については、長時間にわたって規制値を大きく超える煤煙を排出してきた本焼却施設の影響があると考えられ、新聞などでも大きく報道された。
 その後も、志免五町内会と被告との間において、本件焼却施設をめぐっての様々な交渉がなされてきたが、被告は、その場しのぎに適当なことを言うばかりで協定違反などを繰り返し、責任ある対応をしてきたとは到底言えない。
 
訴状より