訴状より

 長年(17年間)続けられた無人焼却等によって本件焼却施設から大量の煤煙や黒煙が排出され、その結果、高濃度のダイオキシンが大気や土壌などを汚染し続けた。これまで、原告ら周辺住民の中に、ガンや子宮内膜症、不妊症、激しい生理痛など多くの健康障害が発生し、原告ら周辺住民はダイオキシンとの関連を考えて不安のうちに生活している。又、原告等周辺住民は、風邪を引きやすい、喉の痛み、喘息、気管支炎、アトピー、アレルギー症状、不整脈等の症状を訴える者も少なくない。

 原告等周辺住民は、本人がガン等の健康被害を発生していなくても、近隣にガン等の病気に罹患した人が少なくないこと、健康被害を心配して転居 して行った世帯もあることから、いつ自分や家族にダイオキシン類による健康被害が及ぶのかといった恐怖や不安の中での生活を強いられている。又、乳幼児、児童生徒等に対する健康への影響について不安を抱きながら生活している。この様な原告らが抱き続けている恐怖や不安は原告らの健康で文化的な生存の根幹を脅かす深刻、かつ重大な被害である。

 2つの施設とりわけ、し尿処理施設が放つ悪臭は強烈で不快感、ストレスは耐え難いものであった。

 本件焼却施設から排出される煤煙は、原告ら周辺住民の住宅を襲い屋根、樹木や自動車に降り積もり 又、洗濯物を汚していった。周辺を歩くと焼却灰がパラパラ落ちるのが肉眼で見える状態が続いた。又、悪臭や煤煙が住居内に進入してくる為、夏も戸を開け放しておく事ができず、子供達は友人を自宅に呼んで交際する事を躊躇した。 さらに、焼却施設にストックされる生ゴミやし尿施設が大量のハエを発生させ、食事時にはハエを追いながらの食事であった。毎年被告がら2本の殺虫剤(商品名アース)が各世帯に配布されたが、生活上の妨害は筆舌に尽くし難いものであった。

● 財産的被害    原告等周辺住民には、煤煙による洗濯等の汚染
              のほか、住宅の門灯の金属や雨戸、窓枠が腐食
              する被害を受けたものが少なくない

 原告ら周辺住民は、本件焼却施設及びし尿処理施設が排出する煤煙、悪臭 ダイオキシン類等によって、長年に渡って劣悪な環境の中での生活を強いられてきた。原告ら周辺住民は、生活全般にわたる甚大な精神的、肉体的被害、あるいは日常生活の妨害など広範囲にわたる生活環境の破壊による被害を受けてきており、快適な環境で人たるに値する文化的な生活を営む権利を著しく侵害され続けてきた。
訴状より

● はじめに

● 健康被害

● 生活妨害

● 精神的被害

● 悪臭