さとう動物病院
 長野県千曲市
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犬の緑内障
(半導体レーザーによる毛様体光凝固術)
年齢・体重 10歳、13.6kg、雄(去勢済)
症状
 一週間ほど前から眼球が大きくなり、流涙も激しいとのことで受診されました。
 眼球結膜の著しい充血、瞳孔の散大が認められ、眼圧上昇のため眼球の硬度も増していました。これらの症状は左眼球の方が右眼球よりも強く認められました。疼痛のためか、前肢で眼球を掻こうとする仕草も認められました。これらの症状から、緑内障と診断しました。残念ながら両眼とも視覚は喪失していました。  
処置と経過  
 眼圧を下げるため直ちにアセタゾラミドを経口投与すると共に、ピロカルピンの点眼を5分間隔で30分間実施しました。その後20〜30分ごとに3時間ほどピロカルピンの点眼を続けたところ、眼球は大きさと硬度を減じ眼圧の低下を認めました。アセタゾラミドの経口投与(1日3回)とピロカルピンの点眼を指示し、経過を観察することにしました。
 2日後に再診したところ、眼球はほぼ通常の大きさを維持していたものの、アセタゾラミドの副反応と考えられる異常呼吸(浅速呼吸)が強く認められました。
 1週間後の診察でもほぼ同じ状態でした。この頃になると、ピロカルピンの点眼を嫌がるようになってきているとのことでした。異常呼吸が強く現れ、点眼も困難になってきており、レーザーによる手術の選択もあることを説明したところ、翌日、手術を実施することにしました。
 半導体レーザー(オサダ ライトサージ 5000V)と、専用の凝固用プローブを用いて手術(毛様体光凝固術)を実施しました。レーザー出力は1.5W、照射時間は1.5秒にセットし、眼球結膜上から毛様体方向に15〜20発、レーザーを照射しました。
 術後4日間は、アセタゾラミドを1日1回投与し、その後は隔日で1日1回投与、1カ月後からは投与を中止し経過を観察することにしました。その結果、異常呼吸も認められず、眼圧も正常な状態を維持しています。なお当該犬は両耳に強い外耳炎が認められたため、外耳炎の治療も併せて実施しました。   
レーザー照射のイメージ図(SURGEON 19号より引用)

緑内障は眼内の房水量が過剰になり、眼圧が生理的限界を超えて上昇することによって起こる病気です。
眼房水を生産している毛様体の細胞をレーザー光で凝固させ、眼圧を調整する手術が「毛様体光凝固術」です。





手術直前の犬
ピロカルピンの点眼で眼圧を下げてから手術を実施しました。


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