原九右衛門翁の歌と筆跡
伍和が生んだ明治期の偉大な人物原九右衛門重與翁の事績については、多くの書物などに紹介されていますが、その短歌作品を総括して活字印刷にしたものは、まだないのではないかと思われます。そのような意味から、本誌でとりあげてみましたが、このようなとりあげ方は故人に失礼であることを反省しつつも、このようにしておけば、いつの日にかは資料として役立つことを思い、関係者のご了解を得たいと思います。
右の図版は、阿智第二小学校蔵の掛軸となっているもので、
撓みなくわけ入りてこそ花も見め
ふみのはやしのよし深くとも
丙午冬日八十齢重與
と読みますが、八十歳でこの雄渾な筆をふるった翁の精神力に感銘します。
歌の中の「ふみの林」は、その5年後に制定された伍和小学校校歌に「ふみの林をたどるべし」(浅井洌作詩)と、とり入れられています。 (H6・9)