俳人宮崎兎柳の署名

 「俳人宮崎兎柳」の句集にある自筆の署名である。私は初めてこの自筆本句集を手にした時、これは「兎柳」ではない「亀柳」だと思いました。句集の所蔵主の宮崎愛子さんにお話すると「まあ、兎と亀の間違いですか」と笑われました。

 しかしその後、句集を拝借してコピーし詳しく閲覧するに及び、小林郊人先生の解説どおり「兎柳」が正しく、押印の隷書も正しく「兎柳」でした。それにしても、なぜこのような亀とまぎらわしい文字を書いたのか。晩年は亀柳と号したい意識があったのかとも臆測されますが、それは思い過ごしかもしれません。

 兎柳は本名を世喜内といいましたが、世喜内は隠居後の改名で(二代後に同名の隠居名がある)、成年時代の本名は左兵衛を名乗りました。兎柳の妻は河内村原宗武(屋号・おした)の娘ですが、名は不明です。  (S58・12)

 → 『足あと』 9章 「兎柳の自画賛」
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