小野川中平の、家号「仏供田」熊谷さんの墓地に五輪さまがあるという話は前から聞いていましたが、拝見したのは村誌編纂中のことでした。仏供田という地名は古く、小野川の二十三屋敷(村の草分け)の中にあり、その意味も寺院に寄進した田をいうもので、その寺院がどこにあったか、何という寺名であったかは、分かっておりません。
ところで、この五輪塔は非常に変わった形をしていて、空・風輪の均衡はずれの大きさは他に例をみないものです。紀年銘等の刻字もないので時代の推定もできませんが、飯田市川路の開善寺の過去帳に、「瑞当禅門 小野川仏供田の四郎右衛門、文禄五年三月二十二日、子孫有り」との記載があり、別に「四月三日妻子施物ヲ持来ル」とありますので、その四郎右衛門の墓石かもしれません。
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