日本人には不思議な感覚があって、暑い夏の最中に怖い怪談を聞くと、「ゾッ」として涼しくなるといわれます。そこで納涼怪談を一つ、暑中見舞としてお届けします。
下の写真は伍和の某所にあった石塔ですが、刻んである文字が「死慮若宮」。あまり見かけない石塔です。おそらくこれは、不幸のつづくお宅で、占い者に祈祷してもらったところ、お宅にはある理由があって苦しんで死んだ死者のたたりがある。心あたりがあったら、石塔を建てて供養してあげなさい。というような御託宣で、まぼろしの怨霊に対する石塔建立になったものと推察されます。
「死慮」は「死霊」かもしれません。「若宮」とは神道的な言い方で、各所にある若宮は大体同じような理由で祀られています。「今どきそんな…」と冷笑しても、夕暮れ時こんな石塔に出会って私もゾッとしました。 (H3・6)