阿智村には15基ほどの筆塚があります。ここで筆塚というのは、寺子屋師匠の徳をたたえて筆子(教え子)が建立した石碑のことです。このうち五基は筆子が建てた墓塔ですが、残りの十基は独立した報徳碑です。
写真の露考墓は「墓」と彫られていますが、ほんとうの墓は別にあるので報徳碑とみるべきでしょう。台右には筆子・世話人60名の姓名が刻まれています。建立年は文化15年(1818)で阿智村で最も古い筆塚ですが、その台石に刻まれた筆子(教え子)の中には八名の女性が含まれていて、駒場宿の初期寺子屋のあり方の一端がしのばれます。
(S57・9)