★第2話 「お盆の由来」


  お盆の正式名称は、盂蘭盆といいます。これは、インドの「ウランバーナー」という言葉を「盂蘭盆」という漢字に音写したのです。「ウランバーナー」とは「逆さ吊りの苦しみ」という意味で、『盂蘭盆経』という経典が典拠となります。

 『盂蘭盆経』には、お釈迦さまの第二の弟子目連尊者が、亡くなったお母さんがどのような世界に生まれたのかを神通力を使って捜した所、餓鬼道に生まれて苦しんでいました。この苦しみを例えて「逆さ吊りの苦しみ」「ウランバーナー」というのです。



 「あのやさしいお母さんが、何故餓鬼道に落ちてしまったのだろう」と驚きました。急いで餓鬼道に行き、水や食べ物を与えても口に入れると火に変わって、口の中やのどを焼きます。どうしたら良いのか分からなくなり、お釈迦さまのところを訪ねます。
 
 お釈迦様は「あなたのお母さんは、生前美味しいパンを貰いました。それをあなただけに食べさせたいと、他人に施すことなく懐に隠し持って家に帰り、あなたに与えたその罪によって、餓鬼道に落ちたのです」と教えてくださいました。

 目連尊者は、自分を育てるために犯した罪で、お母さんが苦しんでいるのはいたたまれないと、お釈迦さまにお母さんを救う方法を聞きました。するとお釈迦様は、インドの雨季に行なわれる僧侶の修行期間が明ける8月15日の自恣の日(修行の批評会)に、僧侶全員に食事を施し、全僧侶の神通力でもってお母さんを救う事を進められました。目連尊者は、お釈迦さまに言われた通りに、修行明けの僧侶に食事を施し、全僧侶の神通力を以ってお母さんを餓鬼道の世界から救ったというお話が経典にあるのです。この話しに基づいて、盂蘭盆という仏事が生まれたのです。