ナースのお仕事♪

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患者その3:やるせない気持ち

田中さん(仮名)は40代の男の人で、『アスペルギルス型肺真菌症』の患者さん。
2人部屋に入院していました。

同室のもう一人の患者さんは、肺癌の末期の松本さん(仮名)60代男性。

松本さんは、わがままな上に色んな事に細かくて、看護師の間でも対応に凄く困ってしまう人。
一方、田中さんの方は余り社交的ではなく、人付き合いが苦手な人。

そんな2人だから、同じ部屋でうまくいくわけがない。
けれど部屋割りがなかなかできず、結局2人仲良くしてもらうしかない状態。
困ったなあ。

松本さんはナースコールで看護師を呼んでは、聞こえよがしに「田中さんをどうにかしてくれ」と何度も訴えてくる。
田中さんがいるのにも関わらず何度も言ってくる。
何かの腹いせの如く訴えてくる松本さんに呆れながら、 同部屋であることでのストレスをなくす為にも一刻も早く部屋替えをしようという話になっていた。

そんな中、田中さんは疾患のせいで高熱が続いてる。
しんどいはずなのに、全くそんなことおくびにもださない。
それが仇となったのか?

ある準夜の日。

二人の部屋からナースコール。

いつもの松本さんのナースコールと思いきや、「早くきてくれ」と訴える松本さんのせっぱ詰まった声に嫌な予感がしたと、その時の事を後に語ってくれた先輩が部屋に駆けつけてみると・・・

部屋中、血の海。

その血の海の中で、田中さんは倒れていた。

先輩は一瞬頭が真っ白になったらしいが、すかさずわたしを呼んで緊急コール。
医師2人が駆け付けて、床に倒れたまま挿管。

だけど、挿管チューブからはどんどん血が溢れ出てくる。

即心臓マッサージ開始。
輸液ルート確保。

これほど凄まじい大喀血は初めてみた。
もう無理なのは目に見えてた。
けれど、田中さんはまだ40代。
急変する程の病状ではなかった(はず)ので「絶対助けなければいけない」と、医師も看護師も白衣を真っ赤に染めて頑張った。

けれど・・・田中さんは帰らぬ人になった。

やっぱりかなわなかった。

『助けてくれ』

田中さんの最後の一言が耳から離れない。
最後の最後に田中さんは、わたし達を頼ってきたのに。

その思いに添えなかった。

あまりの壮絶さに、わたしは涙を抑えきれずに泣きながら処置をした。

田中さん、本当にお疲れ様でした。

結局、個室で最後を迎えた田中さんだったけれど、後片付けをしに前にいた部屋にいくと松本さんが一言。

『あのヒトは自分勝手やったから、ああなっても仕方ないで。』

わたしは松本さんを患者と思えなかった。
看護師でいれなかった。

報われない思い、やるせない気持ち。
看護師としてあるまじき様々な思いが駆け巡った。

こんなにいろんな思いが一瞬のうちに駆け巡ったのは初めてかもしれない。

今はもう松本さんもいない。
けれど、あの時の気持ちは一生忘れる事は出来ない。

人の命よりも我が大事だという、松本さん。

目の前の壮絶さを、どういう目でみていたんだろう。

[注]医療従事者として守秘義務を守るべく、登場する人物の名前は100%、年齢は60%、疾患・起こった時期、内容などは50%ほど変えています。

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