ナースのお仕事♪

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患者その1:はじめての受け持ち患者さん

看護師になって、初めて受け持たせていただいた患者。
北さん(仮名)という60才(推定年齢)の女性。

北さんは、10年も病院に入院してる人だったの。
それも人工呼吸器をつけて10年。(もちろん気管切開よ。)
すごいと思わない?

北さんは気管切開をしているからもちろん声は出せないし、ずっと寝たきりということもあって身体も思うように動かせない。
その他にも色々な理由があって、旦那さんはずっと病院に住み着いて毎日北さんと一緒にいたの。

わたしは初めての受け持ち患者さんということで、張り切って看護しようと毎日頑張った。
そりゃ働き始めたばっかりだから当たり前か:汗。
なのに、北さんはわたしが訪ねるといつも腕をつねってくる。

なんでなんで?
なんで腕をつねられるの?
もしかして北さんに嫌われてる?

凄く不安になって、思わず他の看護師に聞いてみると「北さんは気に入った人にはいつも腕をつねるんだよ」って、その看護師は教えてくれた。
どう接していいのか凄く不安でいた時だったから、それを聞いてなんだか無性に嬉しくて胸が熱くなったのを今でも覚えてるなあ。


北さんは人工呼吸器をつけているから、なかなかお風呂にも入れなかった。
毎週1日だけしか入れないお風呂。
わたしはもちろん受け持ちだから、その日が勤務の時は必ずお風呂隊に変身。
この時だけでも、北さんが「気持ちいい」と思ってもらえるようにと思いながら一生懸命介助してた。

・・・北さんは気持ちいいと思ってくれてたのかなぁ。


わたしは、北さんに対して何か出来ることはないかって考えてみた。
そして、人工呼吸器を使っていたけれど少しでも外の空気を吸ってもらいたいと思い、主治医に掛け合って簡易ベンチレーターでの散歩も許可もらえるようになった。

それからは、北さんと旦那さんと、行くところは近所の公園くらいしかなかったけれど、桜の満開の季節、夏の暑い最中、秋の紅葉が綺麗な季節、その時々で散歩を楽しんだ。

無表情でいた北さん。
何かを感じてくれていたかなぁ。


ある日、病棟内で北さんの旦那さんに対しての看護上の問題点の話し合いになったの。
というのも、ずっと病院に住んでいて北さんの介護をしている旦那さん。
ストレスたまるでしょ?
だから娘さんとイロイロ相談して、旦那さんに娘さんのところに1泊してきてもらおう。
なんて企画を立てて決行。

だけど。

旦那さんは北さんが気になって気になって仕方なくて、すぐ病院に戻ってきた。
ああ・・本当に北さんを愛してるんだなあって、何だかじーんとしちゃった。


わたしがその病院を辞める時まで北さんを受け持たせてもらい、日々の中で少しでも北さんが快適に過ごせるようにと試行錯誤していた中で、わたしは北さんからたくさんの事を学ばせてもらった。
一生懸命看護する事の難しさや楽しさ、組織の中での「看護」のあり方
学生時代に受け持った患者さんとはまた違って、「看護師」として働きだしてからの受け持ちというのは本当に違うんだなあと再認識。
この時の「看護」がわたしの「看護師」としての軸になっているような気がする。
・・・なんだか大げさっぽいけど:汗。

とうとう病院を辞める時になって、北さんにお別れの挨拶に。

『今までありがとう』

わたしの挨拶に北さんは、やっぱり思い切り腕をつねってきた。
表情は変わらない北さんの何度も何度もつねってくる姿を見て、わたしは胸が一杯になった。

そんな北さん・・・数年前に亡くなったと風の便りで聞いた。

北さんは、何を感じてたのかな。

10年も病院にいたことを。

[注]医療従事者として守秘義務を守るべく、登場する人物の名前は100%、年齢は60%、疾患・起こった時期、内容などは50%ほど変えています。

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