お題 (世界文学全集)
東屋の魔法使い様



世界文学全集



 穏やかな秋の日の午後、モクバは海馬邸の資料室にいた。いつもなら、こんな部屋には決して近寄らないはずの彼がここにいるのはなぜか?その答えは実に簡単である。
 読書の秋だからだ。もっとわかりやすくいうと、学校で読書感想文を書けという課題がだされたから、仕方なく読む本を探しているということなのだが。
「やっぱりないなー、ここには・・。経済の本ばっかりだ・・。やっぱ適当に買って来ようかな。」そういって脚立から降りようとした瞬間!
「わっ!」
脚立が後ろに大きく傾き、モクバは宙へと投げ出された。
「ううう・・。いってぇ・・。」
身体を強く打ちつけたモクバに追い討ちをかけるかのように、上からバサバサと本が降ってくる。
「はぁ・・。片付けんの面倒くさそーって、あれ!」
モクバはすぐ横に落ちていた本に目を丸くした。
「世界文学全集・・・?」
さほど難しそうではない。自分でも読めそうだ。しかし、なぜ経済の中に文学が埋もれていたのだろう・・?
その疑問の答えは表紙を捲るとすぐにみつかった。
「海馬乃亜」丁寧なしかし、いささか子供らしい字で名前が書いってあった。
「そっか、これあいつの・・。」
遺品なんだろうな・・とモクバは思い、義兄の本を感想文の題材に決めた。

後日、モクバの感想文が努力賞に入選し、歓喜した瀬人が社内放送でそれを流して、モクバに一週間、口を聞いてもらえなかったらしい。



 

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 コメント

  なんかまちがえて送信しちゃったんですけど。ごめんなさい・・・。あとがき書くの忘れてました。本当にごめんなさい。投稿とかも遅くって、申し訳ないです・・・。

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