「モクバ」
廊下ですれ違った時に、呼び止めようとした。
いつもならば、向こうから声を掛けてきても良いはずなのだが。
「…………。」
ちらりと、横目でこちらを見た後、何も言わずに通り過ぎて行ってしまった。
…俺は何かお前を怒らせるような事をしたのか?
そういえば、最近どうしても帰宅が遅くなってしまうな…。
休日も休日で、仕事が忙しくモクバに構ってやれない時が…。
………………………。
…………いや待て。
まさか、モクバ。
誘っているのか?実は誘っているのか!?そうなのか!!?
…そうか。(←勝手に納得)本当はお前も欲しかったのだな。
だが喜べ!今夜は大丈夫だ!!待っているがいい、モクバ!!
☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆
ああ。やっちゃった。。。
兄サマがお仕事で忙しいのはわかってるのに。
でも、やっぱり兄サマがいない間はすごく寂しくて。
本当はたくさんお話したいのに。…反抗期ってヤツか…。
「うしっ」
やっぱ謝りにいこう。
そんで、今日は兄サマといっぱいお話しよう。
「モクバ!」
オレが部屋から出ようとドアを開ける直前に、兄サマが入って来た。
そんなに勢い良く開けたら壊れる…じゃなくて。
なんで兄サマがオレの部屋に…?やっぱりさっきのこと怒ってるのかな…。
「に、兄サマ、あの…さっきはごめんなさい…」
「……モクバ…」
意外とすんなり謝るモクバに、確信を持った。
やはり俺を欲していたのだな、モクバ。
「いや、俺の方も…気が付かなくてすまなかった」
「兄サマ、(もっと話したいって事)わかってくれたんだね!」
「もちろんだ。お前には随分と(肉体的な面でも)寂しい思いをさせたな」
「…兄サマ…お仕事忙しいのに、わがまま言ってごめんね(流石に仕事中にお喋りしちゃ邪魔になっちゃうし)」
「俺がお前を迷惑に思う訳がないだろう?(むしろ大歓迎だ)」
「そ、それじゃあ、ちょっと早いけど、今日は一緒に寝てもいい?(ベッドでお話したいぜぃ☆)」
「勿論だ!(お前からそんな積極的に誘ってくるとは…)」
「わぁ、ありがとう兄サマ!!」
「フ、礼など必要ない。行くぞモクバ」
「うんv」
「しかしお前も随分と積極的になったな」
「え?そうかな…」
「良い事だぞ」
「…うん……・・・?」
「ワハハハハハハハハハハハ!!!」
「に、兄サマ…?;;」
その笑い声は夜の闇に消えていったという…。
おわり。
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