始まりは白。そして、終わりは黒。
色を重ね辿り着く結果がわかっていても、とどまることを知らない地球は、まるでエンドレスに旋律を流し続ける壊れたオルゴールのように自転を繰り返す。 そうして、無情にも今日を運び続けるのだ。
目を閉じていても、白む窓外の様子を肌で感じる。 朝なんて一生来なければいい。
ずっとこのまま兄サマの側で、ぬくもりを感じていたい。 いつからだったろう。 こんな感情に身を焦がし始めたのは。
伸ばした指先が例え兄サマに届かなくても、オレはその背中を見守ることが出来ればそれでいい、そう思ってた前の自分。
兄サマに認めてもらいたがってた昔の自分ともまた違う思い。 そう。 いくつかの時が経ち
ある日この指先があなたに届き そのぬくもりを感じ そして包まれた瞬間 オレは
あなたに 恋をした。
だから兄サマを独り占めしたくなるオレは、どんどんワガママになるんだ。
まず朝がキライ。 朝になると兄サマと離れなくちゃならなくなるから。
兄サマはKCに行って仕事しなくちゃいけないし、オレは学校のある日は学校へ行かなくちゃいけない。
ヘタをすればそのまんま数日だって顔を合わせないときもある。
だからオレ達を別つ朝日に、オレは心の中で舌打ちするんだ。
「モクバ」
そんなキライな朝でも、ひとつだけ嬉しい出来事があったりする。
「モクバ、朝だ。起きろ」
兄サマの声で始まる一日。 「モクバ、起きて仕度をしろ」
そんなオレを呼ぶ兄サマの声は、オレ専用の目覚まし時計だなんて言ったら兄サマ、怒るかな?
始まりは白。
そこから人それぞれの色を塗り重ね今日という一日を染め上げて行き。 終わりは黒。
オレは、オレの一日を、兄サマの色で染めていきたい。
「おはよ、兄サマ!」
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