兄サマ
オレたちは 当然のコト してるだけ
今日さ,カリキュラムの一環だっていう,創世記ってハナシを聞いた。
神サマが土(アダマ)から人(アダム)とかを創ってて,あのハナシ。
面白くなさそうだし,聞くつもりなんかなかったんだけどさ。
(そのハナシ,「セト」ってヒトが出てくるから,つい聞いちゃった。)
でさ,アダム(人)とエバ(命)って一緒に出来たんじゃなかったんだね。
最初がアダムで,それからしばらくして,アダムのあばら骨からエバが創られたっていうから。
オレは絶対,兄サマのあばら骨から出来たんだって思った。
きっと,兄サマが母サマのオナカの中に忘れてったあばら骨かなんかでさ。
オレは出来てるんだよ。
オレは,兄サマに戻りたいから。
だから,オレは兄サマが恋しくてたまらないんだ。
兄サマは,オレを戻したいから。
だから,兄サマはいつもオレを食べちゃうんだよ。
非ィ科学的って,笑う?
でもさ。
それでも。
このカラダ,血も肉も,タマシイだって,オレの全部が 兄サマのもの。
だから,早くオレの全てを食べ尽くして。
オレを兄サマと ひとつに戻して。
そうしたら,恋しくて哀しい想い,もう,しなくていいから。
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モクバ
オレたちは 本能のままに 貪りあう
生まれ落ちたままの姿でくすくす笑いながら。
真顔でそんな事を言うお前に,オレは何も言えず。
オレから出来たという,華奢なその肢体を眺めていると,確かに,お前の全てを,この身体に取り入れたいと思わずにはいられない。
夜毎,オレたちを襲う欲望の波も,
お前にかかれば邪気のない麗しい行為に変換される。
無心に,無意識に,背徳の本能を説くお前は,
何処ぞの有名な神父がのたまったという存在そのものにも思える。
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私に幼子の心を
聖母マリア
泉のように清らかで澄みきった幼子の心を 私に
悲哀に閉ざされてしまうことのない
単純素朴な心
寛大にみずからを与え 優しく 思いやりに富み
どんな善も見逃さず どんな悪にもこだわらない
幼子の心を
何も求めずひたすら愛し
他者の気持ちに溶け込んでいけるやさしき心を 私のなかに
忘恩に対して閉ざされることなく
無関心に対して嫌気を起こさない開かれた
不屈の心を
私に与えてください
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至上の存在として,オレを翻弄するお前は,
幼子の心のまま,単純素朴でやさしく,如何なる時でも不屈ではないか。
古の聖職者ですら欲した,聖母が与えるという幼子の心に包まれて
種の保存を無視した罪悪も
兄弟の血を無視した罪業も
贖罪など忘却の彼方へ押しやり
お前とひとつになることだけに思いを馳せよう。
そうすれば,求め合う魂の嘆きに,これからは,苛まれることもないだろう。
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