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「いますぐ抱きしめたい」

          


1988年 原題:旺角卞門  英語題:As Tears Go By
監督・脚本:王家衛(ウォン・カーウァイ)
撮影:劉偉強(アンドリュー・ラウ)
美術:張叔平(ウィリアム・チャン)
音楽:鍾定一(ダニー・チャン)
出演:劉コ華(アンディ・ラウ)、張曼玉(マギー・チャン)、張學友(ジャッキー・チュン)、萬梓良(アレックス・マン)

ストーリー
  旺角を縄張りにしているチンピラ・アンディ(劉コ華)。借金の取り立てや縄張り争いなど、死の危険と隣り合わせの毎日を送っている。そんな彼の元に従姉妹のマギー(張曼玉)が病気の治療のためランタオ島からやって来る。最初はよそよそしかった2人だが、お互いを知るにつれ徐々に惹かれあっていく。
  アンディの弟分・ジャキー(張學友)は同じ組のトニー(萬梓良)からの借金を返せず、トラブルを起こしてしまう。このトラブルにアンディも巻き込まれ、トニーから眼の敵にされる。病気の治療を終えたマギーはアンディに別れも告げず、ランタオ島に戻ってしまう。アンディはマギーを追ってフェリーに乗り、ランタオ島に渡る。
  ランタオ島でアンディとマギーはお互いの気持ちを確かめあい、幸せな日々を過ごす。一方、九龍に残されたジャッキーはトニーの挑発に乗ってしまい、捕らえられてボロボロにされる。ジャッキーが捕らえられたことを知ったアンディは単身助けに行き、トニーとその部下たちによってリンチに遭い重傷を負う。ジャッキーは自分のトラブルにアンディを巻き込んだことを後悔し、「もう俺とは縁を切ってくれ」と言い残して姿を消す。
  重傷を負いながらもアンディは自力でランタオ島に戻り、マギーの懸命の介抱によって一命を取り留める。マギーに「次も生きて戻れるの?」と問いただされ、アンディは「次に香港を出るときは君と一緒に」と答える。しかし、アンディはジャッキーが裏切り者を始末するヒットマンに志願したことを知り、マギーを残して再び九龍に戻っていく...。

この作品の見所
  王家衛(ウォン・カーウァイ)の最初の監督作品として有名な作品です。この作品を見てまず感じるのが画面の「青」です。オープニングの旺角の町並み、麻雀屋の店内など全体的に青みがかった映像が独特の雰囲気を醸し出しています。最初にこの作品を見たときは、その雰囲気に惹きつけられて画面から眼を離すことができなくなりました。
  男気にあふれるチンピラ・アンディ、その短気ゆえにアンディに迷惑ばかりかける弟分・ジャッキー、アンディに惹かれ彼の身を案じるマギー。三者のキャラクターが際立っていて、見ている側も感情移入しやすい作品だと思います。華仔本人もチンピラ・アンディのキャラクターに共感を覚え、自分の好きな作品をあげるときは必ず「いますぐ抱きしめたい」が入っているそうです。

  私の好きなシーンはアンディがマギーを追ってランタオ島に行き、お互いの気持ちを確かめあうシーンです。マギーがお医者さん(彼女の病気を治療してくれた)と仲良さそうにしているのを見て、アンディはフェリーに乗っていったん九龍に帰ろうとします。しかし、Call機(ポケベル)に入ったマギーのメッセージを見て、ランタオ島に戻り、フェリー乗り場でマギーと再会し、2人は電話ボックスでキスをします。このキスシーンは「香港電影史上、最長時間のキスシーン」だという話を聞いたことがあるのですが、この記録は破られていませんよね(^_^;)?
  普段は威勢のいいことを言っているチンピラ・アンディもマギーの前ではシャイで純情そのものです(笑)。マギーが働くホテルに泊まる事になったアンディは、マギーに何か言いたそうな態度を見せますがなかなか言い出すことが出来ません。マギーが帰ろうとすると、アンディはやっと「今夜は帰らないで俺の側にいてくれ」と自分の気持ちを告白します。このセリフを言うまでのアンディの仕草が可愛くて、私はDVDを何回も繰り返して見てしまいました(笑)。

  弟分・ジャッキーはその短気な性格が災いして、いつもトラブルを起こしてはアンディに迷惑ばかりかけています。「デカイこと」をやりたいけれど実際は失敗ばかりで、自分でもどうにもできない弟分の苛立ちを學友は上手く演じています。トニーとのトラブルにアンディまでも巻き込んでしまったジャッキーは「もう俺とは縁を切ってくれ」と言い残して姿を消します。その後、再び組織のボスの前に姿を現し、警察に仲間を売った裏切り者を始末するヒットマンに志願します。裏切り者を始末する前にジャッキーは生まれ故郷の村に帰りますが、そこでアンディと再会します。アンディは「自分も若い頃にハクをつけるために人殺しをしたが、その時だけチヤホヤされて結局いまも大物でも何でもない」という話をしてジャッキーを思いとどまらせようと説得しますが、彼は首を縦に振りません。「たとえ1日だけでも英雄になりたい!」と言い張るジャッキーの表情が切なかったです。

  この作品を最初に見たときは華仔に転んだばかりだったので、アンディに迷惑ばかりかけるジャッキーのことを「どうしようもない奴」ぐらいにしか思わなかったのですが(^_^;)、學友に転んでから見たらジャッキーの心情も分かる気がしました(笑)。
  この作品の華仔、學友の演技は荒削りかもしれませんが本当に素晴らしいです。學友はこの作品の演技を評価されて金像奨最優秀助演男優賞を獲得しました。当時の學友は音楽面ではヒット曲に恵まれず不遇時代だったので、この受賞は心の励みになったようです。
 DVDを見る度にいつも思うのですが、華仔と學友にもう1度映画で共演して貰いたいです。若い頃も良いけれど40代を迎えた2人なら更に成熟した演技を見せてくれるでしょうし、また違った魅力があると思うからです。 

  最後に余談をひとつ。この作品の台湾版(「熱血男兒」)はラストがちょっと違います。台湾版ではアンディが生きてます(^_^;)。あの状況で生きている方が無理があると思うんですけどねぇ(笑)。

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