〜不定期RPGコラム・その1〜

クールにいこう!

by 小菅 伸


  1. Introduction
  2. What's cool?
  3. クールの実践
  4. クールの根源的な問題点
  5. 終わりに

  1. Introduction
     どうも、小菅です。ここでは、ふとしたことから徒然なるままに書き出したRPGに関わる雑文をまとめてみようかと思います。これが少しでも皆さんのセッションの上で助けになれば幸いです。
     今回は、いわゆる「クール系キャラクター」と呼ばれるキャラクターをRPGで表現する際の話をしたいと思います。もとを辿れば、このサイトからリンクを張ってある『深海星団』の掲示板にて、「クールキャラクターはいまひとつ」という話から始まりました。個人的にはいわゆる「クール」というのは嫌いではない(割と好きな)ので、少しクールを演じる際のポイントや問題点なんかを、私個人の経験と反省を踏まえて考えた次第です。
     実は「クール」というのはことRPGで表現するには相当のセッション参加者の技量が要求されるキャラクター群です。しかし、決まればこれほどカッコいいものもなかなかありません。では、そんな「cool(カッコいい)」を目指していくとしましょう。
     また、ここに書かれているのは一つの指針に過ぎません。「これは違う」とか「こうしたらいい」という手法や考えを既に持っている方は、是非とも『寄せ書き帳』に意見を書いてもらうなりしていただければ幸いです。無論、それ以外の感想や、あるいはここで書かれていることの実践と結果などを報告されても一向にかまいません(嬉しい限りです)。


  2. What's cool?
     そもそも「クール」とは何でしょう?彼ら「クール」と呼ばれる人達の魅力とは一体どこから来るのでしょうか?それは一種のスマートさというやつだと私は考えています。落ち着き払って騒ぎ立てず、常に周囲に目を向け、物事を冷静に見極めた上で計算を行い、自らの望む結果を得ることができるようなキャラクター。「もの静かで知的」というのが一般的なイメージでしょう。
     しかし、「cool」には負の意味合いもあります。つまり「冷めていて無関心・無感動」「熱意がない」「冷淡」といったものです。これは「クール」の性質の一つには違いありませんが、前述の「クールの魅力」とは異なるものです(「クール」の魅力だけを持った、あるいは負のイメージをあまり感じさせない「クール」は確かにいます)。しかし、不幸にもこれらは混同されることが多く、それが往々にして「クール」を魅力に乏しいキャラクターにしてしまうことが多いようです。勿論、自己表現が苦手だったり、冷淡な印象を与えてしまいがちだったりするキャラクターも一つの形ですし、それはそれで一つの魅力があるのは確かですが、不用意にやってしまうと感情欠落的な非人間的キャラクター、あるいは冷め過ぎてて気力のない老人のようなキャラクターができることでしょう。
     また、初心者によくある間違いですが、「物静か」というのを意識し過ぎて喋らないのも問題になります。RPGで喋らないというのは、何もしない=存在しないも同じになってしまうのです。映画や小説、漫画などの「クール」は確かな存在感を持っているはずですから、そこは注意が必要です。


  3. クールの実践
     さて、先ほどの章で「クール」のイメージと問題点が見えてきたと思います。では、実際に演じるに当たっての一般的な注意点を考えていきましょう。
     まずは、「クール」を演じるには落ち着いていなくてはいけません。これはキャラクターとして喋るときに、あまり慌てないように意識することです。やたら早口で喋りたくるのは雑魚や熱血馬鹿のすることです。落ち着いた話し方を心がけましょう。驚くときでも、「馬鹿な、ありえん!」と声を荒げて言うよりは「馬鹿な………!」といった具合に、静けさを保ちつつ感情を表現するのがコツです。心もちゆっくり喋るだけで、それなりに印象が変わります。ただ、あまりノンビリ話し過ぎて、頼りない印象を与えないようにピリッとした、ハッキリした口調で話す方が賢明です。あとプレイヤーとしての冗談発言も抑えた方が良いでしょう。イメージというのは刷り込まれるものですから。
     二つ目は積極的にプレイヤーが話をするように心がけることです。「クール」は往々にして物静かなため、逆にプレイヤーはキャラクターを表現する機会に貪欲である必要があります。でないと、キャラクターが何を考えているのか周囲にはわかりませんし、最悪の場合は存在を忘れられかねません。無口なキャラクターならば、口を開くときには皆の印象に残るような台詞を言えるように心の準備を常にしておきましょう。また、台詞以外の部分でキャラクターを表現するのも忘れないほうが良いでしょう。口を開かずとも、感情や意図を伝えることはできます。怒りを表現したければ黙って拳を握り締めて微かに震えてみたり、黙って相手を睨みつけたりすればよいでしょう。悲しかったり、いたたまれない想いに駆られたときは目を伏せたり、顔を背けることでそれを隠そうとすればよいでしょう(逆に、それが「クール」の内面を表現するわけです)。嬉しいときや喜んでいるときには、少し顔を綻ばせて微笑むなり、いつもより優しい目を向ければいいのです。これで大体の感情は表現できますし、あとはこれにいくらかのトッピングをしてやれば、だいたいの状況に対処できるはずです。
     三つ目は可能な限り、「無感動・無関心」という「クールの負のイメージ」を避けることです。これらを表現して、かつキャラクターを魅力的に演出するには並々ならぬプレイヤーの力量と、周囲の理解と協力が必要になります。あえて挑戦するならば、まずこのタイプのキャラクターは「無感動・無関心ではない人間らしい自分を取り戻すこと」が主題であることを改めて自分の頭の中に叩き込んでおくべきです。それから、少しでも関心を持てる条件、何か昔に忘れてしまった激情を思い出させる要素をあらかじめ設定しておくとよいでしょう。そうすれば、完全に周囲と孤立する状況を多少は避けやすくなります。
     それから、他のPLとGMに協力をあらかじめ頼んでおくこととよいでしょう。そして、そう言ってきたのなら、周囲は可能な限り協力してやるべきです。周囲をしらけさせるクールを作るPLにも責任はあるかもしれません。しかし、相手の生み出したキャラクターの魅力を初めから冷めた目で見る輩と、彼らが嫌う「つまらないjクール」と一体どれほどの違いがあるでしょうか?相手がふざけていたり、よほど身勝手なことを言っているのでないかぎり、話に乗ってやる寛容さはあってもよいでしょう。大丈夫、そこまでやる気になっているのであれば、協力することで素晴らしい物語ができるはずです。
     結局のところ、RPGにおいて「クール」を上手く(無難に)演じるポイントは、より多くの「クールの魅力的な点」を演出し、「クールの負のイメージ」を与え過ぎずにおくか、ということに尽きる気がします。


  4. クールの根源的な問題点
     さて、以上のことを頭に入れておけば、それなりに魅力的な「クール」を演じる助けにはなるかと思います。しかし、「クール」というのは潜在的に大きな難点を持っています。
     「クール」が難しい最大の理由は、「クール」全般の特徴である「静けさ」「冷静さ」をアピールしつつ、キャラクターの人間らしさを表現しなくてはならない点にあります。これは想像以上に難しい話です。
     というのも、RPGにおいてはキャラクターは会話の中、つまり参加者の想像の中にしか登場しません。ある印象を与えてイメージを共有するには並ならぬ演技と言葉が必要になります。皆さんは「熱血漢」「思いやりのある少女」といった設定がなされていながら、それらしく見えないキャラクターに遭遇したことはないでしょうか?それは、恐らくはキャラクターの特徴を伝えるような演技や言葉が強調されていないからです。RPGのセッションでは小説や映画などのメディア以上に伝えたい要素を強調して(多少オーバーに)やらなければ伝わりません(演劇の演技・声だけで表現しなければならない声優の演技が全体的にオーバーなのはこのためです)。
     そして、ここで問題が生じます。それは「クール」のような二律背反要素を表現しなくてはならない場合、それが極めて困難だということです。先ほども言った通り、キャラクターの特性は強調して演技しなければ伝わりません。しかし、人間らしい感情の起伏を表現し過ぎれば「クール」の魅力は容易く失われ、精密機械のごとき冷静さを表現すれば一人のキャラクターとしての魅力を損ないます。要はバランス感覚が強く要求されるということです。
     当然ですが、同時に表現はできません。なので、各シチュエーションごとに「冷静さ」や「計算高さ」と「人間味」のどちらを表現するべきなのか見極める必要があります。先にも述べた条件を設定しておくとやりやすいでしょう。
     「冷静さ」を多めにとって、時折「人間味」を垣間見せる「憎い男」をするのか、「人間味」を多めにとって、ここぞというときに「冷静さ」を発揮する「頼れる男」を演じるのか(無論、女性であってはいけないわけではありません・笑)は好みと周囲の兼ね合いで決めてください。


  5. 終わりに
     いかがだったでしょうか?正直、クールというのは魅力的ですが、そこに払うコストはかなりのものがあります。私自身、完全に満足いくほど演じきった記憶はありませんし、納得いくほど魅力的な「クール」には数えるほども出会ってはいません。しかし、小説や映画の諸作品の中には厳然として存在するキャラクターであり、やりがいのあるタイプだとは思います。皆さんも、「クールなんてつまらない」と冷めた目で見ずに、「カッコいいクール」に挑戦してみてはいかがでしょうか?
     ご意見、ご感想などをお待ちしています。



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