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平成16年5月5日録音
講師 : 田中康夫長野県知事

 どうもこんにちは。日本列島の背骨に位置しあまたの水源を擁するというのは脱ダム宣言の文章でございます。県議会から脱ダム宣言の前に脱ゼム宣言をしろとずっと言われたわけでございますけれども、信州長野県で県知事を務めております田中康夫でございます。
 ちょっとここの電気を暗くしてください。この画面に写っておりますのはもう皆様ご存じのようにカモシカヤッシーと申しまして、信州長野県の、見えますか、大丈夫ですか。の動物がカモシカでございます。カモシカにしては少しお腹も出ておりますし、足も短くて太いという、だれかに似ている動物なんでございますね。安齋肇さんというテレビ朝日の「タモリ倶楽部」という番組で空耳ストというので出てくるので、今日は平均年齢が18.9歳ということなので、お若い方なので、皆さんご存じかと思いますけれども、彼が私の年来の友人のイラストレーターでありまして、彼が知事選に出るときに書いてくれたんでございます。
 私がちょうど3年半前に知事選、まだ3年半しかやっていないんですけれども、早くも2期目という大変に全国で珍しい知事でございまして、長野県の県議会は大変に開明的にございますので、アメリカの大統領に多くの巨大な権限を持った知事は2年で中間試験をするべきだという新しい方策を考えたわけなんでございますね。
 当時120市町村があったんでございますけれども、120のうちの119の市町村長が副知事だった人間にわざわざ副知事室まで会いに行って、出てくださいと言って、議会も大半の人がわざわざ副知事室まで行って出てくださいと言ってですね、そういうかたちで知事選が行われるかたちになったんでございますね。そのときに地元の地方銀行の当時頭取だった方が、やはりこのような翼賛政治ではいけないということで、私に立候補してほしいと。
 私はご存じのように東京でずっと小学校1年まで、1956年に生まれまして1964年の東京オリンピックの年に長野県の上田というところに移ったわけでございます。父親が信州大学で教えるようになりまして、2年、3年と上田におりまして、4年から高校を出るまで松本でございました。ですので、私の東京の原風景というのは都電とかトロリーバスが走っている東京を私は知っていて、日本橋の上がコンクリートの橋脚ができて、高速道路が通るというような時期から逆に信州で過ごしまして、高度経済成長が一段落した後、再び予備校で東京へ戻ってきたわけでございます。予備校のときは下総中山にちなみに住んでいたわけでございます。
 で、私に立候補しないかと言ったその銀行の頭取の銀行の周りには、突如黒塗りの街宣車が囲みまして、あのような非国民が、小泉さんにも言われそうでございますね。あのような非国民を候補者にしちゃいかんと言われたんでございますけれども、この頭取は座敷牢に入るというふうにうそぶきまして、まあ支持をしてくれたわけでございます。
 本県は全国で4番目の広さでございまして、木曽谷だけでも大阪府と同じ大きさでございます。今申し上げたように、ほとんどのいわゆる団体と称する方は対抗馬の副知事を応援しましたので、ごくごく一般の県民が私を応援してくれると。で、モモセアケミさんという塩尻市に住んでいる女性がおりまして、彼女は7年前にお子さんを産むときに、お子さんは無事に出産したんですが、全身不随になられてしまって、手足が動かなくなってしまいまして、ずっと3年ほどリハビリをして、少し手が動くようになったときに私の知事選だったわけでございます。その間にご主人も事故で片腕をなくされて、そうしたご主人が木曽谷の道なき道を道案内をしてくれたと、そのときに彼女がこのアップリケを安齋さんがデザインした絵から起こして作ってくれたわけでございまして、常にそういう方と共にあるということで、このブローチを付けているんでございますけれども、余り県議会や地元のマスコミには評判はよくございません。(笑)
 私が今日は合併の問題と、実は信州長野県はですね、全国で唯一、恐らく県知事自ら合併はしないに越したことはないと、自立していくべきであるということを言っている県でございます。総務省、外務省も私は外ムノウ省と呼んでおりますけれども、総務省が日本を駄目にしてきた総ムノウ省でございますけれども、ここからすると大変に目の上のたんこぶのような存在でございます。
 その目の上のたんこぶの信州では今どんなことをやっているかというのを合併を後半にお話にいたします。といいますか、合併をしていくようなことがいかに問題の先送りで、いかに霞ヶ関の頭でっかちの人たちが富国強兵型、中央集権型で作り出してきた行政というものを改めようとしないか、そこに合併の問題が現れているということを後でお話ししたと思いますので、最初にこういうものでございまして、ちょっと自慢しますと、信州というのは老人の医療費が全国で一番低いんでございます。今、男性が全国で長寿1位でございまして、女性3位でございます。お家で亡くなる率が全国で一番高いんでございますね。これはPPKと呼んでおります。PPKというのは何かというと「ピン・ピン・コロリ」と申しまして、(笑)前日まで野良作業をしていた人が翌日畳の上でコロッと亡くなると。ただ、これは本来理想型なわけでございますね。老人の施設ではいっぱいチューブを付けられてですね、天寿を全うするのが本当に人間的かということでございます。
 ただ、昔は本県は非常に塩分を取り目で野沢菜とかおみそ汁を飲むのですね、そして岩波書店や筑摩書房が出たんで大変議論好きでございまして、農家の人たちも夜中まで議論をしてお茶を飲んで、お酒を飲んで、生理現象でトイレが外付きでございますので、庭を歩いてトイレに行こうと思う間に、白い雪の中で永遠の眠りの着くという方が多かったんでございます。(笑)
 これは、本県は保健士の数が非常に一番多いんですね。今、例えば乳ガンに関しても、マーモグラフィーを設けようというようなことを自治体でやっているところがあります。しかしながら、マーモグラフィーを設けたからといって乳ガンの検診率で分かるという率は非常に決して高くはございません。一番大事なことは、例えば保健士の人の意識を変えて、毎日ご自分で胸を触ってみる。あるいはご主人であったり、ご主人以外もいるかもしれませんが、パートナーが触ってみることによって分かると、そういう検診、そしてそれで身近なお医者さんに行って、そこで分からない場合にはすぐに大きな病院にという病診連携が本当は一番お金の掛からない、そして保健士の方にそういうサービスをすることがより良い行政サービスになりますし、また、このことが雇用の拡大になるわけですね。福祉や医療や教育、環境というのは、これは人が人の背を押して初めて成り立つわけでして、ここにこそ21世紀型の新しい労働集約産業があるはずのわけなんでございます。
 本県はそうした地域の諏訪中央病院とか佐久総合病院。諏訪中央病院というのは、皆さん、2年ほど前に頑張らないという西田利行さんが主演したテレビのドラマがございましたけれども、これを書いたカマタミノルという医師がおります。こうした医師が保健士と一緒に私の車座集会の先駆けのようなことを各集落に行って、お豆腐の上からおしょう油を掛けちゃいけませんよ、お皿に取るっておしょう油をそこに付けるんですよと。塩分控えめのお料理をみんな作ろうと言っても、塩辛いのが好きだろうから1品だけは塩を使わないお料理を作りなさいというようなことをやって、このような非常に老人医療費が低い県になってきたんですね。高齢の人が働く率も一番高いし、女性の人も働く率が高いわけでございます。
 ところで、これがですね、いや、私も先ほど見ていたらですね、本県はご存じのように1兆6600億円も借金があるんですよ。でも、この数字を見ていて、皆さんのパンフレットを見ていて、あれ、近い数字があるなと思ったら、千葉県の千葉市が1兆3000億円も借金があるんですね。確か千葉市は今91万人で、長野県は220万人でございますから、千葉市の方が大体2分の1以下なんですね。なのに借金の額が一緒ということは、随分と千葉市は借金があるんだなと思っているわけでございます。本県のように1兆6600億円の借金がありますと、これは都道府県のレベルでいいますと、起債制限比率というんですが、借金を返すのがどのくらい動脈硬化を起こしているかと、予算構造の中でと。これが全国でワースト2なんでございますね。そして職員の人件費が3割も占めているんです。借金を返すのが全体の予算の2割を占めておりますので、9000億円ほど年間予算がありますけれども、そのうちの半分はこれは固定費と呼ばれる借金の返済と人件費になっているんですね。
 皆さんもご存じだと思いますけれども、四街道も多分役場に行かれると、必ずしもそんなに愛想がいいサービスをなさるばかりの人ではないかと思うんですね。だから千葉市になるともっと愛想が良くなるんじゃないかって、バラ色のことをおっしゃる方がいますけれども、逆だと思っておりますけれども、行政というのは大変、皆さんご存じように、普通は皆様のお勤めの企業は良い商品を開発して、良い営業をして、良い接客をして、初めてご納得いただけると、後からお金が入ってくるんですね。行政は逆でございまして、先に皆様から前払で徴収いたします。ガソリン税といって、道路特定財源だといいますけれども、一体どこの道路を直してくれるのか、老人ホームの前なのか、山の中の道なのか、さっぱり分からないわけでございまして、明確じゃございません。
 そして、江戸の参勤交代をしていたころに、江戸の気っ風が全国に色濃く自治体には残っておりまして、すなわち年度越しの金は持たないという、宵越しの金は持たない制度があるので、3月の末にはきれいさっぱり使い切っちゃうんですね。このように行政というのは皆さんの常識を逸脱したところでございます。
 信州も私が就任するまでは戦後にたった3人しか知事がいませんで、みんな役人上がりでございましたので、県知事と県議会と県職員と地元の新聞社と地元の経済界が仲良く、そこだけで物事を決めるというかたちだったんですね。どこかのようだというふうに言われるかもしませんが、そのとおりございます。
 今の日本はこれは豊かなんですね、本当?と言うかもしれないですけれども、食うや食わずじゃございません。イラクやアフガニスタンの子供は今日も食べるものに事欠いているかもしれません。皆さんのお嬢さんも、ああ、ボーナスが減っちゃったからお洋服が買えないと言っているかもしれませんけれども、押入を開ければ、押入なんて言うと怒られちゃう。クローゼットを開けるとですね、今日とは違うお洋服が1個か2個は入っているんですね。着の身着のままという社会もあるわけでございまして、それに比べれば少なくとも豊かにはなったわけです。
 しかしながら、日本は今やもう740兆円も借金を抱えているわけですね。一体こんな借金を返していけるんだどうかと、皆が疑問に思っているわけです。つまり豊かなはずなのに未来が見えないという閉そく感でございます。そして、今までは物質主義の社会でした。例えばですね、私がちょうど本県、長野県に移ったとき、1964年は東京オリンピックの年でしたので、東海道新幹線ができました。脱ダム宣言というのもまだ出ておりましたので黒部ダムができました。その前年には名神高速道路が滋賀県から兵庫県まで部分開通しております。そのころ、私もちっちゃなころ、皆さんも、皆さん18.9歳だからまだ生まれていないですか、世の中が変わっていくなと、血湧き肉躍るなと、社会というのは進歩するんだと私も思いました。
 でも、今はどうでしょう。それは自分の近くに騒音が出なくて、立派な高速道路ができれば地方に住んでいる方は喜ぶかもしれませんが、けれども、その人も日本全体で言えば740兆円も借金を抱えているのに、こんなに道路を続けて作って平気なのかなとだれもが思っているんですね。でも、だからと言って、何かどうも日本が躍動感がないなと思っているわけです。
 これは一番下に書きましたが、新しいケインズ、ご主人たちの中には経済学をお前のように知らないやつが何を言うかと言うかもしれませんが、昔イギリスにジョン・メイナード・ケインズという経済学者がおりました。この方はイギリスがいわゆる殖産興業、富国強兵、産業革命で冠たるイギリスになったあと、同様の作業をもっと人件費の安いところが行うようになってきたので英国病にかかってきちゃったわけですね。そのときにジョン・メイナード・ケインズはどういうことを言ったかというと、公共事業をやって景気浮揚をしようと言ったというふうに表層的にとらえられていますが、これは大きな間違いであります。
 ジョン・メイナード・ケインズが言ったのは何かというと、こんなに豊かな国であるはずなのに、ロンドンのイーストエンドという東南アジアや中近東から移り住んできた人たちの所にはほとんど下水道もなくて劣悪な状況だったと。そうしたものを直すことこそが新しいインフラ整備だということを言うんですね。あるいはオックスフォードやケンブリッジへ行くまでの田園都市の空間もわい雑な場所があると、そうしたところの風景をより自然と調和して人間的な風景に変えていくということにこそ税金を使うべきだということを言っているわけです。ですから日本のように、巨大な橋脚を建てて、トンネルを作ったり、橋を造るという公共事業ではないケインズは公共投資をしようというふうに言っているわけです。これがすなわち成長ではなくて成熟の社会になるということじゃないかと思っております。
 皆さん、先ほども申し上げましたように、信州長野県というと脱ダム宣言と。私が知事に就任したときに九つのダムの計画がございました。そのうちの一つはゼネコンと契約書まで交わしていたので、こんなものはUターンできるはずがないというふうに言っておりました。この九つのダムは、このダムを造らないと本件の経済は破たんしちゃうというふうに、大変に私に県議会議員や当時の土木部長は教えてくれたんですね。
 ところが一方で、住民の多くの人、流域の7割、8割の人は世論調査をするとダムは要らないと言っているんですね。ダムなんか造るよりももっと護岸の補修をして、護岸の所にちゃんと桜の木を植えて、護岸を丈夫にして土砂の浚渫もしてちょうだいよ。山の植林をしてちょうだいよというふうに言っていたわけです。
 ところが職員と話していますと、これはもう既に決まったことだからUターンできませんというふうに言っていたんですね。どう考えても私は余りダムを造る意味がないんじゃないかと思っていたわけです。ただ、今申し上げたように巨大な公共事業をやると地元の経済が潤うというふうに県会議員が言っていたものですから、そうかあ?と思って調べてみたんですね。それがこちらでございます。
 県営ダムを造る場合には国から72.5パーセントのお金が来るんですね。50パーセントは国庫負担金といって最初にお金が来ます。次は借金した額が返していくときに22.5パーセント分、つまり借金した額の半分は国が面倒を見てくれるんですね。ですから地元は27.5パーセントしか負担しなくていいから、何百億円の公共事業やっても国が面倒を見てくれる。国が面倒を見るということは、北海道から沖縄までの人の税金でございますけれども、国が見てくれるからいいやと言っていたんですね。そうかと思ったんですけど、ところが調べてみますと、いわゆる巨大な公共事業をする場合にはジョイントベンチャーといって、ジェネラルコントラクターと呼ばれている公共事業をやるゼネコンが三つくらいの会社でチームを組むんですね。まずチームを三つで組むということ自体が談合の温床のようなものなんでございますけれども、上位2社が例外なく長野県に本社がある以外の東京や大阪に本社がある会社です。ここが80パーセントお金を持っていっちゃうんですよ。ということは国から72.5パーセントお金が来て、天下りの人が来てですね、東京から鉄やセメントがやってきて、地元から見て分かるように7.5パーセントお金を巻き上げてですね、80パーセント中央にお金が戻っていっちゃうんです。つまり租庸調の時代のようなものでございます。したがいまして、幾ら大きな公共事業をやっても地元の企業はかつかつのままというかたちなんですね。これを先ほど申し上げましたように、私の体に似せて太ったブーメラン現象というふうに呼ばれていたわけなんでございます。
 そこで、私はどういうことをやったかというと、皆さん、そうですね、この後出てきますかね、この前のこっちへ行きましょうかね。では、これだけやっておきましょう。例えば小学校を建て替える問題というので、去年のちょうど2月くらい、滋賀県の豊郷小学校の建て替え問題というのがありました。ご存じのようにですね、オオノワサブロウさんという町長が学校を建て直した方がいいんだと言ったのに対して、お父さん、お母さんやおじいちゃんやおばあちゃんが自分たちの愛着のある学校を使おうと言ったんですね。あの建物はですね、昭和11年にできております。ウイリアム・ボーリーズというメンソレータムを創設した人が、これはもともと宣教師だったんですけれども、メンソレータムを近江教団社で作った後、建築もたしなんでいたので、東京のお茶の水にある山の上ホテルとか、大阪の心斎橋にある大丸の百貨店とか、白金にある明治学院大学の校舎をデザインした人なんですね。・・・あっ、ヤッシー、何しに出てきたの?(笑)何?大丈夫?ちょっと山から出てきて、こんなにいっぱい人を見ると焦っているようでございます。何か用事?いいの?いいの?・・・はい。で、その建物をちゃんと耐震構造にして、手すりのところにウサギやカメの彫刻が付いている建物を残そうと言ったんですね。
 ちなみにですね、埼玉県に玉川村という村がございます。ここの村はですね、せっかくいい村なのに、合併すると言っているので、私は少し頭を冷やして考えた方がいいんじゃないかというふうに村長に言っているんですけれども、ここの村は小学校と中学校が1校ずつありまして、4年前から壁と床を全部木質化したんですね。そこの地域の村の村産材、村で取れた木を使って木質化しました。どうなったかというと、PTAや教員にアンケートを取ると、子供が大変落ち着くようになったと。これは主観的な考えですね。ところが過去3年間インフルエンザに罹る率が床と壁を木にする前の約5分の1に減ったんですね。これは客観的な数字なわけでございます。で、あの校舎も床や壁が木造でできているので耐震構造にしようと言ったんです。
 これをご覧いただきますと分かるように、建て替えをする場合には、町の負担は3分の1以下、26.7パーセントで済みます。あとは国がお金を出すんです。繰り返しますけれども、国がお金を出すたって全員のお金ですよ。だけど国が出してくれというと何となく気が大きくなっちゃうんですね。下の方は耐震構造にする場合、この場合には町の負担が3分の2になります。したがいまして新校舎を建てるのが21億円ぐらいと言われていました。耐震構造にするのが7億円、8億円だと仮にすると、下手をすると耐震構造にしてあの立派な校舎を補修して維持する方が町の負担は多くなっちゃうんですね。
 そこで、あの町長は、そんなことならゼネコンももうかる、建て直した方がいいわって、言い出したということです。こういうことをきちんと新聞やテレビは伝えてくれればいいんですけれども、社説を開くと無駄な公共事業はやめよう、自然環境を守ろうと言いながら、ああいう具体的な事例のときには何も言ってくれないので、恐らくテレビをご覧になっていた皆さんは、やっぱりピンカラ兄弟の親せきのような顔をした町長だから校舎を建て直したいんだろうと思ったと、こういうことで話が終わってしまっているんですね。日本を一番構造改革していないのは、掛け声だけの小泉純一郎さんだけじゃなくて、そういう真実を伝えない日本の記者クラブ制度の下のマスメディアだけだったりするんですけれども、そういうことばかりいつも言っているので、地元の信濃毎日新聞にはかわいがってもらっているわけでございます。(笑)
 これが道路を作る場合、例えば道路を作る場合には、上にありますように地元の負担は40パーセントです。市道を作る場合、県道を造る場合、国が6割お金を見ます。しかしながら、道路を作ってもでこぼこの穴になっちゃいますね。学校の前がでこぼこだったら車が飛び込んで来ちゃうかもしれません。こうした道路の補修工事の費用というのは100パーセント地元負担なんです。ところが、こういう地元負担の公共工事も私が就任したときには東京や大阪に本社があるような大きな舗装の専門メーカー、往々にしてゼネコンの子会社ですけれども、こういうところだけが入札に参加していたんですね。実際にやるのは地元で技術者がいたり、機械も持っている会社が孫請、ひ孫請でやっているので、その会社まで来る間にですね、シュルシュル、シュルシュル、水道の漏水のようにお水が漏れていると思ったら、実は永田町の近くの余りおいしくない料亭の畳の上に、福沢諭吉や聖徳太子や、板垣退助もあったかどうかは分からないけれども、紙が落っこっていたということですね。
 そこで、私は就任当初に70箇所、現在はもう300箇所以上ですね、直接今まで実績のある、孫請、ひ孫請をやっているんだけれども県の入札に直接参加できなかったような県内の土木建設業の人たちが道路の維持補修に直接入札参加できるようにいたしました。希望参加型入札と言っているんですが、この結果はどうなったかというと、今まで大きな会社が落札していたときの落札率は7掛けから8掛けになりました。これは採算割れじゃないんですね。直接県内の会社がやるようになれば7掛け、8掛けでも採算が取れているということです。すると今見たように100パーセント地元の費用ですから、残りの2割、3割のお金はもっとほかのところの道路の補修や歩道の整備に使えるわけですね。公共事業がいけないんじゃなくて、大きな公共事業をやってもみんなブーメラン現象になっていると。もっと地元密着でできるところは地元でやっていこうといことが信州長野県における公共事業の変革です。
 ところが余りこういうことは伝えてもらえないで、単にダムを中止したと。そればっかり言われているわけですね。ここで1個、このあいだも何かサンデープロジェクトで、田原総一朗さんは最後のところで、農業用水というのがありますけれども、農業用水を工業用水に転用していたところがばれてしまったら、また新たに農業用水は今はもう田んぼも少なくなったので余っているのに、わざわざ工業用水用の管を何十億円も使って通すという、確か岐阜県か何かの例を挙げていました。どうしてこんなことが起きるんでしょうかと言ったら、田原総一朗さんが「小泉さんは一生懸命やっているんだよ。官僚が抵抗しているんだよ。」と言ったんだけれども、多分、小泉さんは私はこんなことは何も知らないと思うんですね。官僚から嫌われないということは、すなわち官僚の既得権益に手を突っ込んでいないということなわけでございます。
 私は長野県では、いまだに支持率が6割を超えておりますけれども、多分、県職員に支持率を取ったら私は2割か3割じゃないかと思っております。(笑)でも、職員が困ってしまうようなことをやらなければ納税をしている人たちの幸せはやってこないというふうに思っているわけでございますけれども、この辺りも地元の新聞には理解されないところでございます。
 ここに書いてありますように「新規大規模補修」と書いてあります。何?大規模補修、ちょっとこちらをご覧ください。大きく道路を補修する場合には国が税金で面倒を見てくれるんです。いいですか?大体5.5メーター以上の道路で1.5キロを平地で直すと6000万円掛かります。この場合には1500メートルは県負担は2400万円、4割で済むんです。つまり、この上の方の例になりますから。ところがですね、私のように心臓に毛が生えていないような気弱な県知事でございますと、仮に学校の前、養護学校前が800メーター、道がでこぼこで大変だと、これは国の採択要件にならないんですね。ならないとすぐには直すことはできません。もう少し壊れるまで待っていなきゃいけません。でも、そんなわけにはいかないので、やっぱり1キロだけ直そうということになると、1.5キロで6000万円ですから1キロで4000万円ですね。これは国から補助がありませんので、自前で一生懸命すぐに行政がやろうとすると4000万円県の負担になっちゃうんです。
 こういう点をきちんと税制上、補助金上直さなければいけないのに、単に三位一体の改革って。三位一体というのはこれはキリスト教徒の言葉でございますから、小泉さんはいつからキリスト教徒になっちゃったんだろうかという感じでございますね。三位一体、三位一体というけれども、これはやっぱり首長と族議員と役人の三位一体の責任を明らかにしないといけないんですね。
 総務省は税源移譲、税源移譲と言っています。でも、冷静に考えていただきたいんですけれども、この1点だけは財務省が言っていること、元の大蔵省ですね、正しいんですね。大蔵省が、財務省がきちんといろんな補助金の要件をチェックしても、無駄な建物が全国にできちゃったじゃないかと。税源移譲を今のような都道府県知事や市町村長や議員の下で税源移譲だけしたら、もっととんでもない箱物ができちゃうよと言っているんですね。これは確かでございます。
 ですから、長野県だけじゃなくて、どこも財政破たんしているんですから、ちなみに四街道市というのは皆さんのこのチラシの中にも書いてありましたけれども、これは週刊ダイヤモンドが調べたんですが、全国に695の市があります。695の市の中で財政の悪い方から数えて612位なんですね。いいですか、ですから四街道市は695ある市の中では83番目に財政状況はいいということです。ちなみに千葉市は695ある市の中で、財政状況の悪い方から18番目、ワースト20ですよ。ということは、財政状況のいい方からすると677番目ということなんですね。
 皆さんは、そういうかわいそうな町が横にあるときに、1国平和主義じゃいけない、横の人たちのために私たちの貴重な財産を持ち出してでも千葉市を救ってあげようという大変志の高い方々が今日、このホールの中にも3名くらい紛れ込んでいらっしゃるんだそうでございます。
 ですから、財政再建プログラムというのをみんなすべての国も含めて作ってですね、責任の所在を明らかにして、それをハゲタカファンドとは違う客観的にきちんと見てくれるところが、この財政再建プログラムならやっていけると、うちの県はもう既に職員の給料10パーセント下げております。私は30パーセントお給料を下げています。ですので職員には評判が悪いんですね。でも、財政が手元不如意なんですから、そんなことは当たり前の話でございます。県民が税金を払ってくれて初めて仕事ができていますし、60歳までクビにもならない、倒産しないと思って入ってきたような方々ばっかりでございますので、そのくらいのことをしないといけないわけでございます。
 だったら、そういうプログラムを作ったところに税源移譲をするというのではなくて、単に税源移譲をすれば改革をやっているかのように見えている。これは逆にそれぞれの役人が思う存分お金を使い放題にできるということであります。これはふるさと農道、段々時間があれですけれども、ふるさと農道という予算がありました。ウルグアイラウンドというのができていまして、そのときに日本の農家を救おうというんで8兆円日本の農業のためにお金を使ったと言われているんですけれども、具体的にいい農作物を作っている人にきちんと報償したんじゃないですね。
 こういうふるさと農道というのがあるんですけれども、これは川上村というレタスの村のところに行きましたら、まだ、これは橋脚が架かっていなくてコンクリートだけ建っていました。バンジージャンプの台を作っているのかと思ったんです。78メートルもあるんですね。これがこんなのはもう作れませんよと言ったら、もう上の橋まで全部発注していますと言うんですね。予算書には平成12年にはゼロ円と書いてあるのに。橋脚、上の鉄橋は発注していないじゃないと言ったらですね、これがですね、債務負担行為というのがあるんですね。行政というのはつぶれないという前提の下に、みんな製鉄メーカーにただで発注しているんです。製鉄メーカーも手付金ももらっていないんです。行政はつぶれないという話で。13年度になると、表返し裏返しで、何か上山田温泉のような話なんですけれども、債務負担行為でちゃんと金額が表に出てくるんですね。これもまた鉄橋のとして使わないで、横に置いておいたりすると目的外使用で課税されちゃうんです。
 ところが見たら、これは63億円、こんな橋を造るのが。ところが当初計画は19億円と書いてあったんですよ。私が全部書類を見たら。で、当時の農政部長の中村さんという人に、これはどういうこよと言ったら、知事、分かっていませんねと言うんです。公共事業は小さく産んで大きく育てるものですと言うんです。(笑)ばか言っちゃいけないという話。これが行政の常識なんです。こういうことが大きな建物になるほど、私は県の職員を今、去年138人、今年はもう190人、県内の117の市町村に派遣して駐在させています。まだ市役所というのは住民票を取りに来るので、1階はオープンスペースなんですね。県庁、千葉県の、何か私がここに来るなって電話までかけてきた立派な女性の県知事がいらっしゃるんですけれどね。私の言論の自由を奪おうとしたという方でございます。(笑)住民投票というのは、どんな戸別訪問も含めて、どんなこともやってもいいんですよ。どんなことって、人殺しはいけませんよ。アメリカ兵みたいにリンチはいけませんよ。だけども、自分の意見を述べることができるんで、私も今日お呼びいただいたんで、喜んで来たんですけれども、県庁の建物というのは、皆さん、1階が大体何で私がガラス張りの知事室を1階に移したかというと、1階にほとんど県民が来ないんですね。来るのはみんな建設業の業者の方が頭を下げに来るんです。だから県の本庁舎の中にいると、自分も同じ県民なのに、県民のことじゃなくて霞ヶ関の補助金のことばっかり考えるようになっていっちゃうんです。そこで、私は小さな市町村に今190人の職員を派遣して駐在をさせています。すると本当に直の声でおじいちゃん、おばあちゃんが考えている福祉の在り方が分かってくるということです。
 これも時間があれですけれども、こういう決まりがあります。都市計画法、開発をしちゃいけませんよと、こういう場所はね。災害危険区域や急傾斜地、崩壊危険区域には開発しちゃいけません。当たり前の話ですよね。ところがこの都市計画法の29条にこういう決まりがあるんです。社会福祉施設や医療施設はこういう場所にも作っていいですよと書いてあるんです。つまり、姥捨て山はこういうところに作りましょうと。(笑)こういう決まりが国の法律にあるんです。なので、これは浅間温泉というところでございます。ここの老人ホームが30年前くらいに建てられた。上が土石流危険渓流地域という。ところがこういう場所に作っていいというんで、私の前にこういう場所を許可していていたんですね。出来上がると今度どうなるかというと、地元の市長がこんな危険な場所なんだから、でっかい砂防堰堤を作ってくれって、万里の長城みたいなものを作れと来るわけです。だけど、今やそういう時代じゃないということで、この施設も古くなったので、この田んぼのある方、休耕田だったりしますので、こっちに移ってもらうと。すると、ここは砂防堰堤を作らなくても、砂が普通に一般的に貯まるような場所にしていくことができるんですね。これが新しい税金の使い方だということを私は言っているんです。
 ところが、こういう作業は国からの補助金がありません。県がみんな見るんです。うちは実はですね、皆さんの地域もそうかもしれませんけれども、自治体がなぜ小さい方がいいかというとですね、特養、大きなのができます。老人の施設、どうして皆さん町の中の商店街のしもた屋が空いたような場所に作るんじゃなくて、郊外のところに、それも崖っぷちのところに老人施設があるか分かりますか。4000万円以上、建物だけで4000万円以上の立派な老人施設を作ると、初めて国から半分補助が来ます。4000万円以下のグループホームだったりすると国からお金が来ません。
 けれども、うちの県の場合にはですね、駅前の商店街が2軒、3軒店じまいしたら、元気がなくなりますね。農家の集落の中でも2軒、3軒空いたら元気がなくなります。こうしたところを回収して、軽い痴ほうの方も含めて、10人から15人、きちんとデイサービスができるようにするのを「宅老所」と。自宅の「宅」に老人の「老」に「所」というかたちにしています。保育士の資格を持った人がいると、これは「宅養老所」になります。ゼロ歳から3歳までのお子さんも老人と一緒にお預かりすることができます。ところが、こういう施設を作る場合も100平米以上あると緑のあの、ああいう消防のランプを付けなくちゃいけないので、500万円から600万円掛かります。こうしたことに関して最大750万まで、うちの県は支援をするというかたちで、現在小学校の学区が310ありますので、300箇所にこうした場所を作るということで、既に100箇所以上になってきています。ところがこれは国からびた一文お金が出ないんですね。こういうような細かいサービスをやっていこうということを私たちは行っています。
 この辺はずっといいでしょうね。こういう具合にですね、昔は建設省、運輸省、農水省というのが困った省庁だったんですけれども、最近は環境省、労働省、総務省、文科省が困った省庁です。何が困ったかと、環境庁も環境省になったら何が始まったかというと、全部ですね、尾瀬とか上高地にビジターセンターというのを作るようになったんです。ところが尾瀬と上高地にはパークレンジャーと呼ばれる自然保護員は国家公務員ではたった一人ずつしかいません。農林水産省で土地改良事業で、田んぼを変えたり、コンクリートの三面張りの水路を造るような仕事をしていた人が、こういうところに60までクビにならないんですから、100人単位で回ればいいんですね。3年やってみたらどうも愛想がないんで、その人たちはもう1回今度はもっと北海道の網走に行ってもらおうということになると、その部分はNPOがやるというふうにしておけばいいわけです。行政はいったん決めたことがなかなか変えられません。
 ここからですね、公共というのは何か、皆さん、公共事業という言葉があるので、公共というと何か国がやることだと思っていらっしゃいますでしょう。公共というのは公の共同体なんです。つまり一人一人の顔が見えて、体温が伝わる緩やかな集合体が公共です。政官業、政治家と官僚と業界、この人たちが今まで利権分配の三角形を作ってきたんですね。それに対して、政・官・業・学・報、これは御用学者と記者クラブで守られた報道機関、これが現状追認をする五角形、ペンタゴンを作ってきたんです。
 よく皆さんは環境問題に関心がある方、ない方も含めて、よく新聞に、例えば何とかの公共事業、環境アセスメントへ着手へと書いてありますよね。すると私なんかはですね、ああ、これでまた着工に近付いちゃうんだなと思ったんですね。環境アセスメントというのは環境的に問題がないかどうかを調査することなのに、その調査に行くと一歩先に進んじゃったように思えるんですね。よく大きな、例えばですね、何か千葉市と一緒に大きなゴミ焼却場を作ろうとしていらっしゃると。そのためにも合併しなきゃというけれども、そんなことないですね。ゴミに関してはですね、今までも一部事務組合というのを作って、合併している、していないに関係なく、幾つかの町村で連合でやってきたんですね。
 そして、今はご存じのように日本は世界で一番焼却をしていて、ダイオキシンを発生しているところです。あのアメリカやなんかとは比べものにならないぐらい出しているわけです。今は段々ゴミのもっときちんとした分別化をしてですね、減量化をしていくという時代になっているわけでして、その上でゴミ焼却場を考えることなのに、ガス加工融炉と。環境に関してだと幾らでもお金を使えるというので、製鉄メーカーを、いや、造船メーカーが作っています。ところがこうしたメーカーが台湾であったり、シンガポールやアメリカやカナダで、同じゴミの焼却場を作る場合の日本の値段は5倍なんですね。
 つまり環境という言葉の下、新たな利権になってきているわけです。で、ゴミの焼却場を作りましょうというような場合に、地域で説明会を200回やりましたというけれども、皆さん、食うや食わずじゃないから、余り関心がないうちに200回開かれちゃうんですね。審議会が開かれましたって、地元の御用学者の人が集まって、最初から答えが決まっているんですね。そして公聴会が開かれましたと。うちの県では公聴会は基本的にはですね、だれもが自由に参加できて、だれもが発言し終わるまで基本的に公聴会は止めません。その中に車椅子の方が二人いて、障害者の方の発言があったというなら分かりますけれども、よく公聴会をやると、私が就任したころは、ちゃんと障害者の代表の人も発言もしたんです。一体だれが決めたんですか。匿名性で守られた役人の人が懇意な障害者の団体の人、行政と仲のいい団体の人を連れてきたのかもしれないですね。そして議会で議決を経たので、これは着工になっています。一つ一つは民主主義の手続を踏んでいるのに、実際には現れた答えはねじれているんですね。ねじれているのは、ピサの斜塔はねじれていても世界遺産ですけれども、こういうかたちでねじれた公共事業をやっても、ちっとも、だれも食べようとはしません。むにゃむにゃむにゃ。
 私たちは今まではこういうふうに、国から県、市町村、地域というふうに上意下達でピラミッド型だったんですね。そうではなくてコモンズというふうに呼んでいますが、地域から始まる。地域で町内会をやったときも、今までは町内会のお歴々の人がいう意見を聞いて、変だなと思いながら、家に帰るときの田んぼのあぜ道で、どうなの?あの意見って言っていたわけですね。
 それをむしろ、みんなおじいちゃん、おばあちゃんや小さな子供が行政は何でこんなことをしているの?いまだに。こんなことしてくれたら逆にいいのになということにきちんと答えられるような行政にしましょうということを言っております。まだちょっと理解していない職員がいたりしますけれども。このように地域から市町村、県、国というふうに改革を広げていくということが必要だということです。
 皆さんのお手元の中にですね、このような、私どもの、ここ何か書いてあるんですが、120市町村の選択と書いてある、これは広報長野県で去年の5月くらいに出したものだけをちょっとプリントさせていただきました。裏側には私がもう1回まとめてくださいと言ったのでですね、千葉市の人口とかですね、市長の報酬とか書いてある紙があります。これは是非、皆さんコピーをしてご近所の人にも配ってください。住民投票というのはだれもが参加できます。つまり、役場が税金を使って印刷したパンフレットは立派だけども何だかうさんくさいなと、皆さん、思っていらっしゃるけれども、同時に皆さんがご近所の人に10軒でもご自分でコピー代、10枚100円かもしれません。それを出して、多くの人に、今日お越しになっていない方にも知っていただくことが大事なことです。
 では、なぜ市町村合併ということが全国で突如言われるようになったのかということからお話ししようと思います。1998年、参議院選挙がありました。この時にですね、もともと自由民主党が弱かった大阪だけでなくて、愛知県においても東京都においても、都市部において自由民主党は参議院で壊滅状態になってしまうんですね。そのときにマスメディアは何て書いたかというとですね、自由民主党は無駄な公共事業を地方でやっているから都市の納税者たちが怒ったんだということを言いました。これは一面当たっていると同時に、当たっていない部分もあるんですが、というのはですね、先ほども街頭で申し上げましたけれども、市町村合併は小さな自治体だと経営効率が悪いからすると言っていますね。合併をすると経営効率が良くなると言っています。
 先ほども申し上げましたが、一例を挙げれば、お隣の埼玉県のさいたま市、大宮市と浦和市と与野市が合併しました。どうなったか御存じですか。確かに変わりましたよ。どういうふうに変わったか。市議会議員のお給料と市の職員のお給料は、三つの市の中で一番高い水準に合わせました。余り反応がないから、皆さんよく御存じですね。今日は優等生がいっぱいそろっています。在宅福祉と乳幼児の保育は三つの市の中で一番低い水準に合わせました。これがさいたま市の合併の現実です。
 合併をすると、合併特例債が全国で20兆円使えると言っています。静岡市と清水市というのが合併して、駿河市にしたほうがちょっと雰囲気が出てよかったと思うんですけれども静岡市のままです。総務省は、いやー、君たちのような大きい町同士が合併して、いい子だ、いい子だと言ってですね、450億円合併特例債を使っていいよと言ったんです。静岡市は大変に謙虚だったので、そんなに多くは使えませんといって、もっと私たちは謙虚に430億円だけ使わせてもらいますと、20億円だけ使わなかったんだから大したものですね。ほんとかよという話ですけれども。で、合併特例債は何に使えるかというと、基本的に道路とか箱物を作ることです。例えば乳幼児の保育だけじゃなくて、訪問介護のヘルパーが足りない。それを雇うための人件費が手元不如意であると。だから大変申し訳ないけれども、この高齢な、今まで社会に尽くした人のために借金をしてもヘルパーの数を増やしたいというんだったら、まあ130歩くらい譲れば分かるかもしれませんが、このような福祉や教育や医療のための人的な充実のためには合併特例債は一切使うことができません。
 そして、このパンフレットの中にも書きましたが、合併特例債はあとで地元の人たちが3分の1お金を負担するんです。残りの3分の2も国からといっても、それは国の借金ですけれども。合併特例債を使っても、あとで皆さんがお金を返していくかたちになるんですね。静岡市は430億円の合併特例債を使う。新幹線が通っていて、高速道路が通っていて、立派な文化施設がたくさんある町が今更一体何に使うのだということなんですね。
 話を戻すと、98年に自民党が壊滅状態になりました。そこで自由民主党は都市基盤整備ということを言い出します。都市基盤整備というのは何かというと、町をいっぱいコンクリートで、下水道を造ったりいろいろしようということです。今までダムで使っていたコンクリートや鉄を都会でそのまま使おうという話ですね。でも、そして地方においては公共事業は減らしていこうというかたちです。
 ただ、今までの公共事業のかたちがいけないので、例えば農林省の林野庁というのがあります。林野庁というのは森林を整備してくれるものだと皆さん、思っているかもしれませんが、林野庁の予算の7割は治山事業と呼ばれるものです。山を治めると書きます。どんなことをやっているかというと、植林じゃないんですね。山にコンクリートで、いろんな谷留溝という、こういうのを作って土砂が落ちないようにするというようなことに7割のお金を使っているんです。でも、その内のお金を半分に減らして、それを山あいに住んでいる人の所得補償で150万から200万年収を補償すれば、山あいに住んでいる人たちは里に下りてこなくても、そこで森林整備をして暮らすことができるわけですね。山が荒れてしまえば川が荒れて、空気が荒れて、水が荒れて、人の心まで荒れちゃうわけです。ですから、公共事業同様に森林整備のやり方も変えなきゃいけません。
 しかしながら、自由民主党は都市基盤整備にお金を使うと言いました。けれども、自分たちの選挙の基盤はいわゆる地方と呼ばれているところです。そこで合併をしたいい子の村には合併特例債を20兆円あげますよということを言い出したということです。つまり、公共事業のかたちを変えて単に問題の先送りをしようとしているに過ぎないということなんですね。
 この表を御覧いただくと分かると思いますが、合併しないと交付税が減る、減ると言われています。これは大きな嘘です。ここの表はですね、大変に慎み深いんで合併特例債も出していいよという金額の半分しか使わなかったという自治体が合併した場合としなかった場合で、交付税の額がどのように変化していくかということを示しています。図表ですね、素朴な質問Q&Aのところの下の図表です。と、合併後16年後には、合併をした自治体のほうが合併しなかった自治体よりも交付税は減るというかたちになっています。なので、多く合併をしたあとの10年間の財政状況の表しか合併推進をする人たちは書いていません。今申し上げたように、特例債を多く使えば使うほど、皆さんのお子さんやお孫さんがその負担は多くなっていってしまうということですね。
 そして、この表の裏側を御覧いただきたいと思います。これは是非分かりやすいようにということで付けました。千葉市の人口は今91万人。四街道の人口が8万4000人。合わせるとちょうど100万人くらいになるわけですね。市長の報酬は千葉市は125万円、四街道93万円ですね。市長の報酬、今や私よりもいいですね、これね。私は3割カットしていますから。議員の報酬御覧になってください。四街道の議員は移行期間があるとはいえ、合併をすると突如千葉市と同じ約2倍のお給料になってしまうんですね。合併は行政サービスをよくして行政コストを下げるためだというふうに総務省は言っているんですね。でも、先ほど言ったさいたま市のように、合併すると一番高いところに職員や議員のお給料は合わせていってしまいます。人口1000人当たりの職員数、千葉市は1000人当たり9人職員がいます。四街道は8人です。すると、千葉市になると千葉市の借金を皆さんが抱えるだけでなくて、職員も多く抱えるようになっていってしまいます。そこで市民一人当たりの職員の給与をどのくらい小さな赤ちゃんも含めて負担しているかというと、千葉市は7万5000円、四街道市は5万6000円なんですね。
 私は長野県の、長野県は先ほど言ったように南北に長い全国4番目の広さの県です。下伊那郡というのが伊那谷の南にあります。飯田市というリンゴ並木でおなじみの町から更に20分ほど行ったところの泰阜村という村の私は住民であります。泰阜村唐笠と。実は長野県は上田とか長野市とか佐久とかはお正月のお魚が鮭です。松本や諏訪や伊那谷はお正月のお魚は鰤(ブリ)なんですね。つまり東西の分岐点なんですね。南へ行くと経済的にも名古屋や大阪の経済圏になります。ここの泰阜村という村の唐笠という、いわゆる中国の唐と竹冠の笠という、なかなか京都にあるような地名です。ここの4139番地、ヨイ・サンキュウバンチというところの、私は松島貞治さんという村長の家に間借りをして、そこから週3回高速バスで通っております。
 この泰阜村は人口2200人の村です。高齢化率が4割です。森林の面積が全体の9割を占めます。年間の予算はわずか20億円です。ところがこの村は約1億円財政のカットをしたんですね。それは合併しないで私たちの村を持続しようという心意気からです。
 どのようにしたかというと、助役を置かない条例を作りました。職員の数を、例えば福祉を担当している人は、特養等は別の、別の特養に関しては福祉法人を作って、そこに移管してもらいました。議員の数を減らしました。そして議員は基本的には農業や商業をやっていたり、あるいは飯田市で働いているサラリーマンだったりしますので、夜間と週末に議会を開くようにしました。そして、議員は自分の農業や商業の収入があるんだから、議員が職業になってしまうと職業を維持するために妥協してしまう。利権に動いてしまうということで、基本的に議員は別の仕事を持っていて、これはボランティア的な性格なんだということで、1回議会に出てくる度の実費の費用だけを払うようにしています。
 で、このようにして浮かしたお金が1億円なんですね。小さな金額のように見えるかもしれませんが、この泰阜村の努力は霞ヶ関に置き換えると室戸岬の東大を出た、方角を間違えた、法学部の課長級の霞ヶ関の職員が3万5000人一夜にして消滅するのと同じコストカットをしているんです。で、じゃ、このコストカットを単にしただけじゃありません。この1億円を松島貞治村長はですね、在宅福祉、訪問介護にすべて費用として、人件費として使っているんです。
 で、彼はこういうふうに言っています。皆さんの中にも、四街道に移り住んでこられた方もいると思いますし、あるいは四街道で生まれ育った方もいると思います。私も松島さんと同じ考えなんですが、お年を召した方にとって原風景というのは二つあります。自分の家から見える伊那谷の天竜川の景色、あるいは四街道であっても、宅地化が進んでもなお残っている鎮守の森のような所と、その周囲の畑や田んぼ、これも原風景です。けれども、原風景にはもう一つあります。御自分といつも口げんかしていたけれども、連れ合いの方がみまかってから半年たつとですね、今になれば懐かしい、その人と一緒にご飯を食べていた古びたテーブルであったり、その後ろの古びたタンスというのも、もう一つの心の中の原風景です。
 私が宅老所ということを長野県で始めるようになったのも、老人の施設が先ほど言ったようにみんな郊外にある。お家では畳の生活をしている人がバスに乗せられて、今、私どもの県は小学校の30人学級を4年生までやっています。5年生、6年生は市町村が一緒に協力をしてくれるところは、この春から6年生までやっています。でも、子供は30人規模学級になったのに、老人のデイサービスに行くと40人一緒に座って、家では畳の生活なのに、椅子の生活で折り紙をしたりパッチワークをしているんですね。夕方になるとまたバスに乗せられて畳の生活に戻るわけです。1日の中で毎日遠足しているようなものです。子供は遠足の前に思わず興奮して鼻血を出しますけれども、信州の老人は慎み深いので鼻血も出さずに精神的にたままっていってしまうわけです。なので、身近なところにデイサービスができるように宅老所を作ろうという考えをしたわけです。やはり行政は身近なところにないといけません。
 でも、例えば特養に入った場合に、遠く離れた特養に入れば24時間介護かもしれませんが、そこから見える景色は同じ天竜川の景色であっても、今まで連れ合いと一緒に使っていたタンスはそこにないし、そこはベットの部屋なわけですね。子供も遠くに転校すればすぐには学校になじめないように、老人はそうした心の原風景が変わってしまえば痴老の度合いは進んでしまうと。だから自分の、とりわけ村で生まれ育った場所で天寿を全うできるために1億円をねん出しようとしているわけです。
 この春に、交付税が全国の市町村や都道府県は約平均12パーセント削減されたので、みんなアップアップ言っています。この泰阜村は既に交付税が17パーセント削減されても自立的にやっていけるだけの財政状況にしています。先ほども街頭で申し上げましたが、立派な勉強机を買ってくれたら勉強するというふうに、よくいたずらっ子は言ったりします。でも、そうじゃないですよね。みかん箱じゃなくても、普通の家のテーブルはあるわけで、そのテーブルを使っていい成績を取ったらお駄賃でテーブルを買ってあげるはずなのに、今の市町村合併が何ら自治体が努力しないまま、図体が大きくなれば行政のサービスはよくなりますよと言っているわけです。
 でも、逆ですね。図体が大きくなるほど行政のコストは高くなっているんです。それは四街道と今の千葉市を比べた場合に明らかです。そして行政のサービスは千葉市のほうが四街道よりも低いわけですね。それはこの医師会の人たちが入れたチラシも同様ですね。2歳半の歯科検診というものも、千葉市では実施をしていないけれども四街道では実施をしているわけですね。
 これはうちの県で、私が再選後言っていることなんです。実は私の住んでいる泰阜村の隣は天竜川を隔てて下條村という村です。伊藤喜平さんというのが村長で、実は峰竜太さんの親せきです。村に行くと峰竜太さんのでっかい看板が付いています。この村は下水道の普及率がゼロパーセントです。皆さん、驚くでしょう。下水道というのは国土交通省が所管しているんです。農業集落排水といって農林水産省が同じように下水道をやっているのがあります。これの普及率もゼロパーセントです。何てとんでもない村だと皆さん思うでしょう。
 そうじゃないんですね。環境省が所管している合併処理浄化槽というのがあります。それぞれの家で水洗用の処理槽を作って薬を入れて、ちゃんとお水が流れるきれいな水洗トイレ、この普及率は98パーセントです。全国、恐らく四街道が千葉市と合併すればなお起きてきますけれども、全国、国土交通省が一律大きな企画の下水道の管を通しなさいとやっています。作るときには先ほど言ったように国から6割、7割お金が来ます。維持をすることはみんな自治体の責任です。そして、その下水道を直すときには、日本下水道事業団という国土交通省の100パーセントの天下り団体がみんな請け負うようになっています。
 その下條村は山あり谷ありの農家が点在しているところです。ですから、そこに農林水産省や国土交通省の下水道を都会と同じような企画で作ったら、うちは財政が破たんしちゃうと、その峰竜太さんの親せきの伊藤さんは言って、けれども、みんな水洗にしたいんだと、下水道率と水洗率は違うんだと言って、みな水洗にする人にはちゃんと村が支援をしているわけです。ですから、ほかの下水道管をなまじ通したところよりも98パーセントの普及率になっているんですね。で、こういったことは小さな自治体だから説明することができます。小さな自治体だから住民も関心を持つことができます。大きな自治体になればなるほど、そのことは皆が関心を払わなくなっていってしまいます。
 このパンフレットを御覧いただければよくお分かりのように、今言ったように、合併をした場合はむしろ交付税は減っていってしまう。そして先ほど言った合併特例債というものは箱物にしか使えません。そして、その3分の1は皆さんがこれから負担していくということです。そして往々にして合併したところは議員のお給料や職員のお給料というのは、今までよりも高い水準になっていってしまうということです。そして行政サービスは落ちていってしまうということです。この紙にもあるように、水道料金も大きな企画で千葉市は作っていると、小回りの効く小さなというか、程よい大きさの四街道よりも高い金額になっていってしまうんですね。
 皆さんがお勤めの会社もみんな分社化ということをしています。幾つかの会社に分けて小回りの効くようにしているのに、なぜ行政だけ大きくするのかということです。実はフランスというところは、人口5000人以下の町村が全体の9割を占めています。あのイラクでとんでもないリンチもやっているようなアメリカとて、人口5000人から1万人規模の町村が全体の8割を占めています。例えばニューヨークの郊外、30分から1時間行った所に、日本の駐在員も住んでいるような5000人から1万人くらいの町があります。こうした町はその町長と呼ばれる人はボランティアなわけですね。自分でお医者さんをやっている、商店をやっている、弁護士をやっている、農業をやっていると、こういう人が町長をやっている。議員も基本的に泰阜村と同じように実費の費用だけ払っている。そして夜間や土・日にやってケーブルテレビで流れるので、皆がカウチポテトしながら、それを見ているわけですね。
 例えば5000万以上掛かるような金額のもの、学校を建て直すのか、それとも先ほど豊郷小学校のように補修をして使うのかというようなことは、幾つかの国政選挙が行われるときに一緒に住民投票をしているわけですね。これが住民がきちんとチェックできるということです。日本だけがずうたいの大きな自治体を作ろうとしています。
 ただ、これは四街道の場合は既に10万人近い人口でありますから、自前で行っていくことができますが、信州で今行おうとしていることは、今までは人口500人の村も、長野県には人口1000人以下の村が五つあります。これがみな下伊那郡という、私が住んでいる、飯田よりも下の所にあります。全国で大体今40ぐらい、5000人以下の町があります、村がありますので、その中の大体10パーセント近くは本県が占めているということですね。
 で、今までは人口500人の村も人口50万人の市も同じ行政サービスをしなさいというふうに総務省は言ってきたんですね。つまり、みんな同じ百貨店のサービスの品揃えをしないといけませんよと言ってきたんです。でも、先ほど言ったように、ゴミに関しては一部事務組合を作って幾つかの町村が連合でやってきているわけですね。そこで本県でやろうとしていることは、そうした人口1000人、2000人の小さな村に関しては、例えば僻地診療所というようなものも、幾つかの村で例えば月曜日と水曜日は泰阜村、火曜日と木曜日は下條村、水曜日と土曜日は横の阿南町で、お医者さんが回る。その代わりに今は電話もあるから、一緒に夜間は緊急でやりますと。で、このようにしてそれに対して市町村の側から県に要請をして、県に対しても少し負担金を払うと、県がそうしたお医者さんを派遣するというような制度をしています。つまり、うちの村は福祉に特化した三十貨店なんだと。そのほかの土木とかそうしたことは県から職員を派遣してもらって駐在員をやることで一緒に直していくんだというふうに、うちはどこに特化したブティックにするんですよというかたちを出すようにしています。
 これは四街道の場合には、今も申し上げたようにある程度の人口がいますから、ある意味ではすべての部分を自前でやっていくことができます。けれども、ガス加工融炉などというダイオキシンを発生するようなものを大きな自治体になって作るのではなくて、もっと環境に配慮した分別、そしてもっと環境に配慮した、なるべくダイオキシンを発生させない焼却場を、合併しなくても近隣の市町村と一緒に一部事務組合を作ってやっていくということは、合併をせずとも十分にできることなわけですね。合併をすればすべてがバラ色になっていってしまうというのは大きな間違いです。
 皆さんは通勤をされる途中にちょうど江戸川区のところを通られると思いますが、東京で皆さんのお友達で、まだ若い20代から30代半ばのくらいでお子さんがいる人たちに、どこの23区の中の区に住みたいですかというアンケートを取ると、必ず1位になるのが、これは港区でも世田谷区でもなくて江戸川区です。御存じの方もいると思いますし、知らなかった人は、ええー、どうして江戸川区なんだろうと思われるかもしれません。確かに私が小さいころは、江戸川区は何となく暴走族がいっぱいいそうとかですね、倉庫がいっぱいありそうとか、工場がいっぱいありそうと思われていました。けれども、江戸川区の2年半前ぐらいにお亡くなりになった区長は、江戸川区はそうした固定資産税がきちんと入るんだから、その分、乳幼児の保育や乳幼児の医療を充実させようということを行うようになりました。
 三井物産という会社があります。三井物産は西葛西に社宅があります。東西線の。そしてもちろん世田谷区辺りとか、田園都市線の沿線にも社宅があります。東横線の沿線にも社宅があります。一番人気があるのはどこかというと、これは西葛西の社宅なんですね。というのは、西葛西からだと大手町や日本橋のお買物にも比較的近いわけです。まあ、ディズニーランドは私は余り好きではありませんけれども、そこにも近いわけですね。世田谷区に住んで御主人が通うよりもはるかに充実しているわけです。そして今言ったように、同じ税金を納めていても乳幼児の保育や乳幼児の医療ははるかに世田谷区よりも充実しているわけですね。
 すると、ついの住みかを建てるわけではない人は、江戸川区を選択するわけです。私が今行おうと本県でしていることは、今皆さんは多分日本にみんな不満を持っている。でも、だれが首長になっても余り変わらないと思っているんですね。でも、そうじゃなくて、首長が変われば4年間で町の景色が一変する、町の福祉が一変するというかたちにならないと、みんなは投票に行くようになりません。
 先ほど言った宅老所も国の補助は一切ありません。そして宅老所の場合には、県と市町村が半分ずつお金を出して最大750万円まで融資ではなくてお金を差し上げているんですね。なぜ融資にしなかったかというと、融資を100箇所すれば、その融資の出し入れをするために職員を一人増やさなければいけません。そうではなくて、県民が社会福祉協議会だけじゃなくて、NPOもやっているような人たちがこういう福祉をしたいと言ったら、それを信用してお金を渡すということです。けれども、半分市町村が出しますから、もしかすると私と違う考え方の市長村長は、いやいや、それよりも国の融資ががいっぱいある、国の補助がいっぱいある、でっかい4000万以上の老人施設を作るんだと言って、住民から宅老所の要望が出ても、それを長野県に申請して来ないかもしれません。
 横の町は大きな施設を作るよりも農家のしもた屋を使ったほうが活性化するよと言って、たくさん申請を出してくるかもしれません。風景も同じことです。教育も同じことです。そのようになれば、市長村長が代わることで、市町村境を越えたら福祉や教育や医療の内容が変わるようになってくるということです。こうした形にしないといけないと思っています。
 私が泰阜村に暮らしているというのも、週3日ぐらい泰阜村です。週2日ぐらいは東京でいろいろな会合があるので出て来ます。両親は軽井沢に住んでいるので、軽井沢で週2日ぐらいを過ごしています。皆さんの御主人の中にも、単身赴任をなさっている方もいるかもしれません。
 私は将来的には、これは今回の合併と違うかもしれませんが、今泰阜村が行おうとしているのはホームタウンドナー制度といって、ホームタウン、おうちのある場所ですね、ドナーというのは寄付ですね、を作ろうと。小さな2000人の村だけれども、これだけいい福祉をやっている、これだけ森林整備をやっているところに、例えば自分の税金を寄付できるようなかたちが行われるべきじゃないかということです。今は交付税もみな頭でっかちな現場を知らない総務省の人が全国の交付税を分けているわけです。
 例えば軽井沢町というのがあります。皆さん御存じのように大賀典雄さんというソニーの経営者であった人が、退職金16億円を使って軽井沢町にコンサートホールを寄付するということになりました。軽井沢町には今まで皆さん御存じのようにコンサートホールはないんですね。小さな公民館があるだけです。小さな役場があるだけです。なぜでしょう。軽井沢町は別荘が多くあるので、固定資産税が入るので、交付税の不交付団体なんです。軽井沢以外の全国津々浦々には多く立派な箱物がたくさんあります。軽井沢は不交付団体なので、建物を作る場合には国の支援がありません。ですから国際観光都市だと小泉さんは言ってビジットジャパンだなどと言って、国土交通省がいっぱい宣伝費を掛けても、国際観光都市として世界に知られている軽井沢にふさわしいような音楽をやるような施設すら国は建てる気はなかったということです。町が自前で作ろうにも、町の税金を全額使わなければいけなかったから、だれも作れなかったということです。そして大賀さんが16億円でホールを作って町に寄贈すると、そこで寄贈することでまた税金を取られてしまうというのが日本の摩訶不思議なところです。こういった現場の状況から変えられるんだったら、小泉さんの改革も構造改革です。でも、先ほど言ったように、小泉さんはこういった事実はほとんど知らないわけですね。役人にも指示をしていないわけです。
 泰阜村に話を戻します。私は税金というのが、今皆さんの御主人が単身赴任なさっている方もいる。皆さんのお子さんで京都とか名古屋の学校に行っていらっしゃる方もいる。ここに住民票はあっても、それぞれの場所に住んで、そこでゴミも出しているわけですね。自分の住民票があるところに半分の税金、でも残りの半分の住民税は、自分が例えば学生時代にヒュッテで働いていた美しい山のある村に10パーセント、自分の好きな海のあるところに20パーセント、あるいは昔付き合っていた女の子が住んでいる町に、こんなこと言うと田中康夫らしいかもしれませんけれども、そこに10パーセント、こういうふうに税金を分けて払えるようにしていくべきだということです。
 もしかすると、そこで電通や博報堂を使ってきれいな山の写真を作ったところに、みんなが付和雷同的に、ああ素敵な町と、お金を払っちゃうかもしれません。でも、お金を1万円でも税金を払うようになることで、住民は意識を持つんですね。
 皆さんは、自動車やパソコンの広告が何で新聞や雑誌にあんなにいっぱい載っているか分かりますか。パソコンや自動車を買う人は新聞やテレビや雑誌の広告を見て買っているのでしょうか。そうではないはずです。買った人が私の何十万円で買ったパソコンや何百万円で買った車は、その選択は賢明で間違いではなかったということを確認するためにあの広告を見ているんです。これだけ売れているんだから、あるいは次にまたこんな新しい機能が付いたから、買い換えるときもこれにしようと思っていくということです。つまり、同じように税金をどこかの町に5万円でも10万円でも払うようになれば、そこのホームページを見て、そこの財政状況を見て、そこのサービスを見るようになります。
 行政というのは、先ほど言ったように、大きな建物になるほど、だって首相官邸に皆さんは自由に行くことはできません。千葉の県庁所在地の県庁だって、パスポートを取るのは別の場所にありますから、県庁の建物に入ったことのない人がこの中の大半です。市役所には行ったことがあります。
 ですから、自治体が小さくなっている、そして住民から常に行政がさらされているということが私はサービスが変わっていくということだと思うんですね。そのとき、自分でここの町に納めているんだということならば、その町のサービスが違えば、もっと別のところに納めますよというふうになります。霞ヶ関の総務省は交付税が近い将来自分たちが区分けするんじゃなくて、全国の住民がここに払いたいということの事務センターになっていかなければ、私はいけないと思っています。人口の規模が違うと言われるかもしれませんが、飯田市という私の住んでいる泰阜村のすぐ北側の市は、昭和30年代の合併のときに、千代とか三穂という幾つかの村を合併しました。こうした場所は今でも下水道がそれほど完備されているわけではありません。ケーブルテレビが行き届いているわけでもありません。道路がものすごく広くなったわけでもありません。これだけ見ると、何だと、合併しても行政サービスはよくならなかったと思っているかもしれません。
 でも、そうした物質のインフラだけではなくて、千代の支所や三穂の支所には飯田の町の真ん中に住んでいる職員が昼間だけ車でやって来て、夕方5時15分になればまた戻って行ってしまうんですね。今までは自分たちの中の人が職員で働いていた。ただ、往々にして職員はいばっていたかもしれない。だけれども、先ほど言ったように、こういうふうにフラットなかたちになれば、職員も住民も同じ平場で意見を言えるようになってきます。大きな自治体になると、その分見えない部分が多くなってきてしまうということです。ですから、千代や三穂の人たちは道路が広くならなかったインフラだけではなくて、逆に合併したことで心が何か小さな集落になっていってしまったということです。
 先ほど、千葉の人口は91万人だと言いました。皆さんの町は8万4000人です。合わせて約100万人になるといいます。でも、どうでしょう。皆さんの御主人やお嬢さんが勤めている会社、10倍の規模の会社と御主人やお嬢さんが勤めている会社がもし合併したとします。本当に対等の合併ができた会社はありますか。10万人の規模だから、逆にものすごくみんなの議論があって、やろうと思う商品の開発ができたり、あるいはお客様と常に接しているから、お客様のニーズを知って商品の変更をすることができたと。そうした心意気のある会社がその10倍の100万人の会社と合併したら、そこで行われる目線は100万人の立派な何十回建ての建物からの目線の行政になっていってしまうということです。民間で常識的に考えられていることが行政になったときに異なるということは、私は余りないんじゃないかと思っています。
 最後に幾つか。今までの私たちの社会は富国強兵型でした。そして中央集権型でした。官僚統制型でした。今回行われようとしている合併は、先ほど言ったように国の財政の失敗。1990年バブルが崩壊したときに、日本の都道府県と市町村の借金は68兆円でした。11年たった2001年、21世紀の最初に都道府県と市町村の借金は188兆円、約2.8倍に膨れ上がっています。何で膨れ上がったのか。財政出動と言われて公共事業をいっぱいやったからだと言われていますが、そうではありません。それ以外に総務省が地域総合整備債、地総債という名前で、国土交通省や農林通産省がやるような土地改良事業とか道路を作ったりダムじゃないですよと。これからは文化の時代ですよと言って、バブル以降に総務省がどうぞどうぞと言って立派なコンサートホールを作りなさい、どうぞどうぞ立派な体育館を作りなさいとやっていったんです。それに乗っかってしまった自治体の責任もあるかもしれませんが、それがわずか11年間で、バブル崩壊後に地方自治体の借金が2.8倍に増えた、私は主たる理由だと思っています。その落とし前というか、その責任を明らかにしないで、こんな具合だから更に借金ができる合併特例債でしのぎなさいと言っているのは、問題の先送りにすぎないんですね。
 私は県知事になる前に、神戸空港の住民投票と、この問題は日本全国の納税者の問題だと思って、私は自腹で100往復神戸との間をしました。神戸市というのは地震の前から3兆円も借金を抱えていたんですね。そして神戸市の空港、伊丹の空港に30分で行ける、関西空港まで船で30分で行けるのに、新幹線の駅もあって高速道路もあるのに、もう1個市営の空港を作ろうと言い出したんですね。でも、そのとき住民の多くの人たちはそれが国営だか県営だか市営だかも知りませんでした。別に国営や県営だって、これは税金で作られるんですね。ところが市営だと知れば、神戸の多くのおじちゃん、おばちゃんも、何で市営で、伊丹まで近いのにわざわざ造るんだとなるわけですね。陸地に作れば400億円ぐらいで作れる空港でした。ところがわざと海を埋立てて埋立て費用だけで4000億円、総額1兆円を掛けて空港を造ると言ったんですね。
 これは何かと言えば、3兆円の借金が返せないので、なるべく大きなお金の掛かる事業をやれば、その分が自転車操業で前の借金が返していけるということです。でも、こういうことを私たちの国が本当にしていていいのかということですね。もっと私たちが使うべきところは、先ほど言ったように、福祉や医療や教育や環境のような人が人のお世話をして初めて成り立つところに税金を使うほうが私の村長の松島貞治も言っていますが、福祉の予算というのは三、四パーセント増やすだけでも画期的に変わると。そのことによって新たな雇用も生まれていくわけです。こうした点をやはり皆さんはきちんと考える必要があろうかと思います。私は県内の市長村長に言っているのは、常に的確な認識、迅速な行動、明確な責任を取りましょうということを言っています。
 よく合併を協議している機運になってきた市長村長はこういうことを言います。私は市長村長としては今意見を差し挟む時期にない、住民の方々に情報提供をして住民の方々が議論をした上で私は判断すると言います。一見民主主義のように見えます。でも、そう言いながら、任意合併協議会を作ったり法定合併協議会を作ってきます。それはだれが考えたことかと言えば、みんな総務省が作ったお盆の上なんですね。総務省にとって都合のいい合併後10年間の財政状況、決して20年間の財政状況は示さないかたちで皆さんに情報を与えて、私、首長は情報提供だけして皆さんが考えてくださいと言っている。その情報は既に合併という方向のお盆の上に乗っているということです。住民投票は賛成の人も反対の人も1票というふうに言っています。けれども、賛成の人も反対の人も自分の意見はあるということです。
 私は首長として、長野県は合併をしないでやっていけるようにしなさいということを言っています。合併したほうがいいというふうに言っている首長は、逆に言えば総務省が与えた情報だけではなくて、そうではない情報も合併のメリット、デメリットを示した上で意見を言わなくてはいけません。そして、その合併という問題のみならず、住民投票というときには、私はずっと思っているのは、長野県は長いものには巻かれないという考え方です。ここに書いたように、今までは富国強兵でずっと来ました。長野県は満蒙開拓軍に行けば未来があると言われて3万2000人もの人が行きました。泰阜村からも1200人の人がいて600人の人は二度と泰阜村に戻って来ることがありませんでした。
 国破れて山河ありという言葉があります。でも、今まで私たちが行ってきたことは、山河を壊して人々を非人間的にして、そして国家は果たして残るのかということです。人がいなくて山河もないところには水も空気もありません。月や火星になってしまって、そこには国家などという概念も残らなくなってしまうということです。手続民主主義ではなくて成果民主主義、つまり手続を踏んでいくと同時に、きちんと未来、私たちの目指すべき未来をまず提示するということです。未来を提示した上で、現実からどう変えようかいうことを考えないといけません。
 他律的か自律的か、皆さんも自立のリツを立つという字を書いていますけれども、私たちの県ではこのリツを行人偏の律を書いています。どうしてかというと、このリツは立つという字を書くと二十歳にして立つ、お隣りの町も48億円で体育館を作ったから、うちも52億円でコンサートホールを作ろうという感じで、みんな金太郎飴になっていってしまうんですね。そこで自ら律すると、身の丈を知る、自分の町の売り物は何なのかなと、全部百貨店の品揃えじゃなくて、ほかの人がわざわざ移り住んでくれたり、観光に来てくれるような魅力を出すということです。他律って書いたのは何かというと、前はずっと他力本願と使っていたんですけれども、そのたびに、しばらくたつと浄土真宗の西本願寺から内容証明がやってきて、そういう意味ではないと言うんですね。広辞苑とか広辞林を開くと必ず三、四番目には他人任せと書いてあるんですけれども、余りにいつも内容証明が来るんで、最近は「他律的」という言葉を使っております。問題を調整するのではなくて、問題解決型の首長でないといけません。
 で、演繹法か帰納法か、ちょっと難しい言葉ですけれども、演繹法というのは現在から未来を見るということです。そういうことをしていると、今の知識と経験を使いますので、教養がある役人の人に限って法律がこうだからできませんというようなことを言い出しちゃうんですね。前例がないからできませんてなことを言います。
 でも、法律はだれのためにあるんでしょう、皆さん。住民のためにあるんですね。法律が法律を守るためにまた法律を作っていくようなことではいけません。で、帰納法というのは、みんながこういうのを目指したいという未来を示した上で、それを実現しようということです。
 米国追従じゃなくて国連中心かということもありますね。日本はだんだんハワイの次のアメリカの州になろうとしているみたいなんで、もう大変な話であります。
 そして最後、真の国益はというふうに書きました。矜持と諦観、矜持というのはプライドですね。でも、これは唯我独尊のものではいけません。諦観というのはあきらめです。でも、これは自暴自棄なものではありません。人間にはできないことがあるからこそ努力をするわけです。人間には話しても分かり合えないことがあるからこそ話すわけです。そして、これは知性・感性・オンセイというのは私が勝手に作った言葉です。何かというと、今までは知識・経験・感覚と言われていたんですね。知識を経験は両方合わせて知性です。例えば柿右衛門のところに壷を作りたいんで弟子入りしたとします。最初は上薬の塗り方も紙に書いてあるのを覚えるわけですね。知識です。失敗しながらお尻をたたかれてろくろを回すのはこれは経験です。でも、その知識と経験をもって師匠を超えるためには、感覚ではなくて勘どころがないといけません。そうか、ここでもう1回最後に上薬を塗ろうとか、ここに少しくぼみを作ろうというのは論理ではありません。知識と経験の中で、あるときひらめくわけです。けれども、それを次の弟子に伝えるには人間の体温や目線がないといけません。
 先ほど言ったようにアメリカという国は、もうとんでもない国になってきていますけれども、ヨーロッパやアメリカの病院に行くと、一人が担当する患者の数が少ないこともありますが、このベッドの高さまでお医者さんはこうやって基本的に降りて、ブラウンさん、今日の具合はどうですかと聞くんですね。だからブラウンさんは、ちょっぴり痛いところがあっても、先生ちょっとここがまだ痛いよと言うんですね。
 日本の場合には、田宮二郎さんみたいに、後ろのほうに何かフェラーリとポルシェで事故をしたような学生を、医学部の学生を連れてこう来て、どうだね、山田君、調子は?というので、婦長さんに言われてビール券まであげたのに、ほんのちょっぴり痛いと、いやいや、もう先生、大分いいですよなんて言ってしまうんですね。とっても痛ければ言いますけれども。だから、これは相手の目線に常に合わせる必要が役人はあります。ガラス張りの知事室が1回にあるというのもそういう意味です。建物の何階も上のほうにあって、窓もなくて、扉で閉ざされている所にいると税金を払っている人の気持ちが分からなくなってしまうということですね。
 そして、ただし、そのか弱い側の人も、自分は今日は具合がよくなったので少しベッドを立てて上半身を起こして、医者や看護士の同じ目線に近付くようにしようという相互扶助の気持ちがないといけません。ところがこういう話をうちの職員にしますと、いつも新人研修で看護士の人が手を挙げるんですね。知事はそんなことを言いますけれども、今まで福祉予算を長野県は使ってこなかったので、県立病院のベッドはみんな電動式ではありませんから、起き上がるのが大変ですとかって。そういう意味ではないんですね。そういう言葉面をとらえているのではなくて、心意気の問題を言っているわけです。なかなか日本の教育は難しいと思われます。
 そして愛国心ではなくて愛郷心、愛民心ということを書きました。つまり隣人を愛したり、自分の郷土を愛したりする気持ちです。国という言葉、私は県民益という言葉を使っています。国益という言葉があります。国益はだれのためでしょう。国民益のはずですね。ところがこれが国家公務員益だったり、国会議員後援会益になっているということです。県民のための益というのは県民益でないといけません。ところが民という字が抜けてしまうと県益になってしまって、いつの間にかいばる人になってきちゃうということですね。
 最後に、これは私は大変すごいなと思っているんですけれども、フランスでリュックフェリーというこのあいだ代わったのですが、国民教育大臣、哲学者でもありました。これはバカロレアという問題があります。高等学校を出て大学の、日本のセンター入試みたいにマークシートではなくて、試験があります。
 三つ出た文章の中から一つを選んで、4時間を掛けて自分で考えを書きなさいという問題が高校を卒業して大学を受ける人たちの共通試験で出たんです。1番目が対話をすることはきちんと真理が分かることへの道かと、全面的自由という観念に果たして意味はあるか、自己を意識するということは自分に対して他者となり得ることかと書いてあるんですね。これはみんな弁証法ということです。対話をしても真理へ近付くことが難しいからこそ対話をする必要がある、自分をきちんと意識することで唯我独尊ではなくて自分の中にもう一つの手鏡を持つことができるかどうか、これを4時間掛けて自分の考えを書きなさいというんですね。こういう試験を大学試験のときに高校生にやらせているところと、マルバツ式をやらせているところでは大分違うなという気がします。
 大分時間が過ぎましたが、私は最後に行政の職員としていつも思っていることは、行政の人は皆さんもそうだと思いますけれども、これはできません、これは前例がありませんというようなことを言います。私が脱ダム宣言を出したときにも、もう既にダムはここまで決まっています。知事、こんなことをUターンしたら違約金が幾ら掛かりますというようなことを職員がみんな言ってきました。
 でも、私は住民の多くが疑問を抱いているんだから、私は変えますと言いました。首長がきちんと変われば、今回は住民投票ですけれども、先ほど言ったように首長がきちんと住民に立脚して、そして住民の願いを実現するためには、前例にとらわれずに屈せず、いい意味で方向を変更したり、いい意味で方向をUターンできる人ならば、どんなにか進んでいてもそれを変えることができます。同時に、住民がそれをきちんと支えなくてはいけません。
 私は阪神淡路大震災のときに・・・ああ、カンパ袋、そろそろ時間だね・・・阪神淡路大震災のときに、こういうことを感じました。東灘区というところに地震の4日後に行きました。1日目、みんな避難所は小学校や中学校だったんですね。でも、小学校や中学校の校長先生も用務のおじさんも、避難所の運営の仕方なんてだれからも聞いていなかったんですよ。そんなマニュアルも何もなかったんですよ。地震なんか起きるわけがないと思っていましたから。でも、私の昔付き合っていた、そんなこと言うとまた怒られちゃう、女の子も小学校に行って、学校の先生は避難所の訓練なんて何にも受けていないのに、もうトイレも水が出ないし貯まって行っちゃうので、じゃあ、みんなで一緒に校庭に穴を掘って、そこに汚物を埋めましょうというようなことを、ルイヴィトンやシャネルのバッグを持っているようなお母さんも一緒に、1日目はやったわけですね。2日目になって、やっと一人にお握りが1個来るようになった。3日目になって電気も付くようになって、そして当時は携帯電話が余りないけれども、電話もつながるようになった。今までは現場の裁量で全部やっていたわけです。連絡が付かないですから、役場と。ところが3日目になったらどうなったか。一々三十何階建ての市役所から、こういうふうにしなさいという連絡が来て、一々市役所に連絡を取ってやらなければいけなくなったんです。
でも、東灘区と長田区では老人の人数も違うし、独居の数も違うわけですね。やはり自治体というのは、命令を一々大きなところ、現場の実情の分からないところに聞くのではなくて、現場にいる人がきちんと判断していくようにする必要があります。そして、もう1個地震のときに、多くの人が警察や行政は一体何をやっているんだと言いました。サミットのときには警察は1分1秒たがわず車両をコントロールできるのに、行政も警察も会議だけやっていて何もできないじゃないかと言いました。
先ほど言ったように、行政というのは、これをしてはいけませんとか、これをしなさいと言う機関です。ところが消防や救急の人には、ほとんど私は避難所やテント村で苦情を聞かなかったんです。なぜか?消防や救急の人は法律を守りながらも、人として何ができるかを考えるわけです。長田区というところは、東灘区は直下型だったのですぐに家が潰れて多くの人が圧死をして死にました。東灘区は家が傾いたりしたので、お父さんはいち早く出たけれども、お母さんは朝のお料理の準備をしていたので、火を消して出ようとする前に家がぐしゃぐしゃになって、家の梁が壊れてしまった。でも中では生きている。手を伸ばせば届く。でも、電動ノコギリが電気がついていたとしてもノコギリを使ったら壊れてしまうんじゃないかと思って助け出せない。大丈夫だ、今すぐ救えるようになるからと言っているうちに、風の向きが変わって火が押し寄せて来るわけです。
 そのとき消防団の人も消防隊員の人も、一緒に川から管を持ってきても管が届かない。消火栓を開けても、消火栓は全部壊れていて水が出ない。御主人がもう気も狂わんばかりになっているときに、中で生きているその奥さんが、あんたはちゃんと寝たきりのおばあちゃんと子供の世話をするんだよと言って、その人が火に巻かれていってしまう。つまり、消防の人と住民が共通の無念さがあったということです。そして消防や救急の人は法律を超えて、人が人として何ができるかということを考えているということです。私は職員に常に言っているのは、皆さんも一人の県民として、じいちゃん、ばあちゃんや子供の疑問に、あるいは子供やじいちゃん、ばあちゃんの願いに応えられるようなことをしましょうというふうに言っています。
 けれども、それができることは、常に住民と行政が身近にあるということが必要です。大きな図体になってしまうと、霞ヶ関や永田町と同じように、住民の願い、住民の憤りや悲しみを喜びに変えるということからは私は遠く離れた場所に行ってしまうと思っていまうす。
 是非、私の考えに御賛同なさる方もなさらない方も、やはり一人一人が四街道の人がきちんと考えるということです。千葉市という名前になったほうが何となく格好がいいと思われるかもしれません。でも、そうではなくて、こうした郊外のベッドタウンである町が、そして古くから住んでいた人がいて、その歴史や文かというものに誇りを持っている人たちに対して、移り住んできた人たちがその文化や歴史をもっと外に開かれたものとして、良いところは継承していこうという中で、私は新しい郊外のベッドタウン化している住民たちがより身近な行政をしようということで、私は自律型を選ぶということがあれば、これは同様の思いを抱きながらも、なかなかみんなが無関心で難しいんじゃないかと思っている全国の人たちに、皆さんが四街道から勇気や希望を与えることになり、そのことは四街道という地名を、千葉という地名よりもより輝かしいものに私はする絶好の機会なのではないかと思っています。(拍手)
 是非、一人でも多くの方々に、皆さんがお感じになっていること、そして今日お配りしたようなチラシを、100円、200円掛かるかもしれませんが、一人でも多くの皆さんの住民に、私たちの思いは同じ目線にあるのだということをあらゆる機会でお伝えをいただければと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
【司会】
 どうもありがとうございました。田中康夫知事にお願いがございます。私たち、今、署名とカンパを皆さんにお願いしているところなんですけれども、是非、田中康夫知事の方から皆様にも、カンパと署名のお願いをしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【田中知事】
 署名はこれはどこに出すのだね。・・・ああ、千葉市長に出すのね。署名、いや、それはした方がいいと思います。だけど、同時にさっき言ったように署名をしたことで終わっちゃうわけではないです。だから長野県の人にも言っているは、私を選んだことで民主主義が実現するわけではないんです。皆さんが、今言ったように一人でも多くの人に住民投票に一人でも多く冷静な的確な判断を持った上で住民投票に行っていただくように声を掛けるということが、最大の皆さんが行うことです。(拍手)
 お任せ民主主義だったり、傍観民主主義だったり、観客民主主義であってはいけません。民主主義というのは、実現するためには、その分、よい意味での皆さんの努力が必要です。その一貫として署名をなさるということを、是非、署名をしたことで何か完結してしまうというかたちではないようにしてほしいと思います。
 カンパ、カンパはちょっと入れるけど、私もご存じのように、難しいんですね、私は書類送検されている身なんですよ、知っていますか。心臓移植の子供が長野市にいまして、お父さんが心臓移植のカンパのポスターを張らせてくださいと。私も銀行に振り込んだんです。そうしたら、それがまた私をかわいがってくれる県会議員が知るところとなって、お父さんは有権者なんですね、お父さんが有権者である人間にカンパをしたので、お前は公職選挙法違反だと、そうしたら長野県警もそのとおりだと言って、私は書類送検されたんです。
 いやー、日本の法律というのはすごいですね。心臓移植をする子供がいても、私は公職選挙法に違反したくないからって、お金を払わないと立派な県知事だという、まさに今まで金欲ばっかりだった政治家が作った法律というのは、ほんとなぞだということです。
 私は長野県から、こういう先ほど言ったような細かい無駄な補助金のディテールから、現場から発信をして、そしてそれが全体の日本の制度や仕組みを変えていかないと、小泉さんのようにお題目として税源委譲とか三位一体と言っていても、結局は役人にとって都合のいいようにさせられていってしまうとことだと思います。
 今日は会場のいろいろな準備もありましたし、皆さんもお仕事があったり、家庭があったり勉学があると思います。みんなもそういうものがありながらも少し努力なさっている方々に皆さんもカンパをすることで、同時にそれはより今日お帰りになって、一人でも多くの方に今日の会合でお伝えしたことをお話しいただいて、より多くの人が正しい認識を持って16日に臨んでいただければと思っています。どうもありがとうございました。(拍手)
 あと、温泉が200箇所、スキー場も100箇所ありますので、是非、本県にいらっしゃったときは、善光寺は拝観料を取りますけれども、税金も払っているかどうか知らないのに、ガラス張り知事室は拝観料無料でございますし、お越しになれば、今は連休とかだと1日500人、600人の方がいらっしゃるのですけれども、皆様にもれなく、折り代なしの名刺を差し上げておりますので、お越しのときにはお持ち帰りいただければと思います。どうもありがとうございました。(拍手)  (終了)

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・ 『自立だワッショイ、ガンバ四街道フェスティバル』 に掲載の
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