富山医科薬科大学病院 肝臓病患者会「肝寿会]の発足とその活動

富山医薬大付属病院 渡 辺 明 治

平成12年5月の第10回肝臓週間の記念行事を私達の病院で開催し、富山県下の肝臓病患者さんに集 まっていただき、学習会や医療相談会を開催しました。その折、富山協立病院にはすでに「肝よう 会」という肝臓病患者会があることを初めて知り、日本肝臓病患者団体協議会(日肝協)の富山の代 表として活動しておられることを聞きました。早速、その事務局の方や代表者にご参加いただき、 「肝よう会」の活動についても紹介していただきました。その後、富山医科薬科大学病院でもそのよ うな患者会をつくったらという話しが出ました。

 なお、日肝協はすでに26年前に設立されており、その支部は全国に100近くもあって各地域で活動 しており、毎年の肝臓週間を機会にその数が最近増加している現状と聞いています。なかでも「東京 肝臓友の会」の活動は非常に活発で、その会報として「東京肝臓のひろば(40ページくらい.今では 120号を越えている)」が発行されています(図1)。日本肝臓学会の役員が行った講演の内容とか、 会員のひろばの欄とか、新しい治療法の情報、肝炎ニユースなどの最新情報がいつも満載されていま す。目肝協としては、これまで厚生労働省に働きかけ(請願など)、肝炎の治療法に関する成果をあ げていると伺っています。平成12年4月には制限つきながらインターフェロン(IFN)の再投与が保 険適応になりましたし、いよいよリバビリンやコンセンサスIFNの承認が近づいています。それらに も大きな力になっているものと想像しています。

 肝臓柄の専門医でつくる富山肝臓セミナーのメンバーにも呼び掛け、メンバーが所属する富山県下 の各病院を中心に肝臓病患者会が誕生することは望ましいことであり、肝臓セミナーとしてもそのよ うな活動をサポートしていくことの是非についてアンケート調査を行いました。その結果、われわれ は各病院で患者会を立ち上げるサポートをしていこうという多くのポジティブな返事をいただきまし た。とりあえず各病院で患者会を発足させ、将来的にはそれらを横に連携させて日肝協の富山支部の ようにして行けばよいのではないかと考えました。患者の方々が自然発生的にその上うな会が必要だ と思えば、その運動の輪は広がるのではないかと期待しました。

 まず、富山医科薬科大学病院で患者会をつくるに当たって、「富山医科薬科大学病院 肝臓手帳」 を発行し、患者の皆様にそれを配布し、内科外来の前の医療相談室で生活指導や栄養指導を受けてい ただくことにしました。自分の肝機能検査の数字を自ら記入し、その意味を手帳の記事から学び取ろ うとする患者さんの数が増加してきました。そこで、平成13年2月24日(土)に第1回肝臓教室を開い て、患者会を立ち上げることを決めました。「肝臓友の会」という名前は全国各地にありますので  「肝寿会」という名前にしたらどうかと提案され、了承されました。当分の間は会費をとったり役員 を決めたりすることはしないで、第3内科教室で「肝寿会だより」を発行して、会員のお宅にお送り することにしました(図2)。

 不適切な医療行為によってC型肝炎がわが国で蔓延し30〜40年後の今日、60〜70歳の高齢者でC 型肝癌が多発しています。平成14年度からは、C型肝炎ウイルスキャリアの掘り起しをするため に、国民健康保険や政府管掌保険の検診にHCV抗体検査の導入が決まっています。IFN治療を中心に 肺癌を予防することが可能になったことから、今年の肝癌撲滅キャンペーンでは医療従事者へのC型 肝炎の啓蒙活動に力を入れています。患者会とのパイプも大切にして、自らがHCVキャリアと知ら ない人を1人でも多く見つけて肝疾患の進展を予防できるよう医療従事者としての責任をはたしたい ものです。

 第2回目の肝臓教室は10月6日(土)に開催されることになってり、メインテーマとして肝臓病に おける食事の注意点が取りあげられることになっています。同門の先生方にもこの会に対するご理解 とご支援をよろしくお願いいたします。また、皆様の所属する病院においても患者会の発足をご検討 いただけたらと思っています。なお、肝寿会のホームページはhttp://homepage2.nifty.com/kanjyukai/で アクセスしてください。

図1 図2


この資料は第30回肝臓教室で出席者に配布されました。内容は平成13年11月発行の第三内科同門会会誌 第3号に掲載されたものです。記載病院名、肝寿会HPのアドレス、図等そのまま転記しました。


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