C型肝炎の検査を受けよう−肝がん予防のために

富山医科薬科大学医学部教授 渡辺 明治

肝がん予防のために,健康診断時あるいは血液検査を受ける機会にC型肝炎ウイルス(HCV)検査を受け,自分のHCV感染状況を知っておくことが重要である。

とくに過去に輸血(非加熱血液製剤を含む),手術や血液透析を受けたことのある人,滅菌・消毒が不充分な注射器を用いての医療を受けられた高齢者などでは,HCV抗体検査を是非とも受けることを勧めたい。

現在全国でHCV感染者は二百万人くらいいると推定されており,20〜30年の長い歳月を経て,知らない間に肝炎から肝硬変に進み,さらに感染者の二割もの人が肝がんになると考えられている。胃がんや肺がんに次いで肝がんで亡くなる人は多く,今日一年間で約三万人を越え,さらに増加している現状である。

肝がんの原因の八割以上がC型肝炎ウイルスによるものである。最近の治療法の進歩によって,早期に治療を始めればC型肝炎の進行を阻止することができ,肝がんになるのを予防することが可能となってきた。

富山医科薬科大学病院では,開院(昭和54年10月)から平成元年11月までに輸血をした人に,今年の9月,HCV検査を受けるよう手紙で呼びかけたところ,受診した約400人のうちの51人(13%)が陽性とわかり,現在,当院および他院の外来で,定期的に経過を追跡している。

平成14年度からは国民健康保険と政府管掌健康保険の検診で,40歳以上の人にはHCV検査が組み込まれることになっており,県内4保健所でもこの検査を受けることができる。

当院では肝臓病患者会(「肝寿会」ホームページhttp://homepage2.nifty.com/kanjyukai/)を定期的に開催して,C型肝炎の正しい知識の普及に努めており,多くの方々の参加を募っている。
 また、当院第三内科では肝がんについての情報をインターネット上で提供しており,ご参照いただければ幸いである
(http://www.toyama-mpu.ac.jp/md/inter3/index-j.html, e-mailアドレス:inter3@toyama-mpu.ac.jp)。

(富山市住吉)

上記は2002年(平成14年)1月17日(木)の北日本新聞「談論自由席」に掲載されました。


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