第34回「肝寿会」肝臓教室

講演:肝臓病の食事について

2017.12.9

講師:江尻 尚隆

要旨

内臓の中で一番大きい肝臓は、食事からとった栄養素を、体が必要としている物質に作り替えるという大きな働きを担っているため、肝障害と言われたら放置せず、肝臓を労わる食事をすることが必要です。

三大栄養素である糖質は、腸管でグルコースに分解吸収され、肝臓に運ばれ、グリコーゲンに作り替えられます。大部分はエネルギー源として利用されますが一部は肝臓内に蓄えられ、体の機能が円滑に働くためにエネルギーの供給と血液中の糖分調整という重要な働きをしています。また蛋白質は、消化酵素によってアミノ酸に分解され、肝臓の1個1個の肝細胞で人間の体に合った蛋白質に作り替えます。脂質は腸で脂肪酸とグリセロールに分解され、腸管から吸収されます。肝臓内で中性脂肪に変えられ、体内の脂肪組織に貯蔵されます。それ以外にも肝臓で作られる胆汁は、脂肪の消化吸収に欠かせないものですし、アルコールや薬剤の解毒作用など体の中の不要なものを排泄する役割も果たしています。そのため肝臓の働きが悪くなると様々な代謝異常が起こります。

肝障害の種類を大きく分けると、アルコールによる脂肪肝、又はウイルス・自己免疫・先天的なものによる肝炎、又は肝硬変、又は肝細胞癌などがあります。中でも食生活の乱れ・内臓肥満などから肝臓に中性脂肪がたまる非アルコール性脂肪肝が増加しています。放っておくと、徐々に肝臓の中の環境が悪くなり、炎症が起こり、硬くなり繊維化する現象(NASH)が起きることがあると言われており、肝臓病の食事療法をお勧めします。食事療法の基本は、1日3食、規則正しく均等に栄養バランスの良い食事をとること、栄養バランスのよい食事とは、毎食、主食・蛋白質・野菜類を組み合わせることが大切です。

<1日の肝臓を労る栄養バランスの良い食事の取り方について> ・1日3食、規則正しく、均等に食事をとる ・毎食、主食・良質蛋白質食品・野菜類を組み合わせる ・良質蛋白質の1食の目安量は、魚60g又は、肉60g又は、卵1個又は、豆腐1/2丁程度 ・野菜類は、毎食100〜150g以上(きのこ、こんにゃく、海藻を含む) ・主食ご飯は、男性150〜200g、女性100〜150g程度(活動量や体格に合わせて) ・乳製品(牛乳200ml)、果物(バナナ1本)、油(大さじ1杯ほど)は毎日とる ・1食に食塩2〜3g程度(例:味噌汁1杯2g+醤油小さじ1杯1g=計3g) ・禁酒をおすすめします

また、NASH又はC型肝炎では肝組織内に鉄の沈着が多くなり、酸化ストレスにより、肝炎を増悪させると言われています。国民健康栄養調査(2015年)では60〜69歳の1日平均的な鉄の摂取量は8.5mgほどです。全体的な平均摂取量よりも多いため、取り過ぎに注意しましょう。 <鉄制限のポイント>  ・1日の鉄摂取量は6〜7mg以下にする  ・鉄分の多い食品(レバー、牛肉、小魚、貝類、その佃煮類など)  ・大豆製品は一度に食べる量を少量に  ・毎食、野菜類を多めに摂る  ・鉄製品の調理器具は避ける  ・緑茶、紅茶、コーヒーなどは適量とる  ・ビタミンCが多い果物などは食間にとる

スライド

目次

ページ 1 肝臓病の食事について

ページ 2 肝機能障害といわれたら

ページ 3 肝臓とは

ページ 4 肝臓の役割

ページ 5 肝臓の役割

ページ 6 肝機能障害の種類

ページ 7 生活習慣

ページ 8 労わる食事

ページ 9 1日の適切なエネルギー量の求め方

ページ 10 規則正しく、1日3食、均等に、バランスよく

ページ 11 1日1800kcalの食品の目安量 @

ページ 12 1日1800kcalの食品の目安量 A

ページ 13 食事の注意ポイント

ページ 14 鉄とC型肝炎、又はNASH(脂肪肝炎)

ページ 15 鉄分の摂取状況

ページ 16 鉄分の多い食品(100gあたり鉄分含有量)

ページ 17 鉄分の多い食品(100gあたり鉄分含有量)

ページ 18 鉄分の少ない食品

ページ 19 鉄制限食のポイント

ページ 20 塩分の取り過ぎには注意

ページ 21 塩分の取り過ぎには注意

ページ 22 塩分の取り過ぎには注意

ページ 23 塩分の取り過ぎには注意

ページ 24 1日の食事 1800kcal/日

ページ 25 まとめ

要旨(PDF)

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